俺と遊華が共同で作業する件について
今回は遊と遊華が共同で作業する話です
今回は・・・・最後の方に遊が次回どこに行くかが決まりましたとしか言えない・・・・
では、どうぞ
香月、美月の要求を聞き、残りは遊華を残すのみとなった。そもそも、この要求を聞く事は俺が遊華たちに仕掛けたドッキリのお詫びという事になっている。俺はドッキリを仕掛けた事は覚えているが、説教だけで許されたものだとばかり思い、3日越しにお詫びをしろなんて言われるとは思わなかった
「それで?あーんするのはいいが、その飯は誰が作るんだ?」
もう諦めた。10年後であるこの世界に来てわかったが、こうなった遊華は絶対に意見を曲げないし、妥協もしない。何を言っても無駄だということは俺は学習済みなのだ
「当然、お兄ちゃんが作るんだよ」
「遊が作る」
「遊ちゃんが作るんだよ」
3人とも揃いも揃って同じ意見ですか。そうですか。わかってたよチクショー!はぁ……
「じゃあ、適当に作ってくるから」
もう逆らう気も起きない。というか、もうどうでもいいや。ドッキリで言った事を本当に実行しようかななんて思い始めている自分もいるから怖いな
「何でアイツ等は俺が自立しようとするとあんなに必死に止めるんだ?」
普通自立するとかっていうのは喜ばしい事なんじゃないか?そもそも、何で遊華たちは家にいるんだ?
「それはお兄ちゃんとずっと一緒にいたいからだよ。何回も言ってるでしょ?」
いつの間にかキッチンに来ていた遊華によって理由を解説された。遊華には俺の前にいきなり現れる能力でもあるのか?
「はいはい、俺も遊華とずっと一緒にいたいから大人しく待ってようね~」
慣れてきた俺は遊華を適当にやり過ごし、キッチンからそれとなく追い出す
「お兄ちゃん、適当にやり過ごして私を追い出そうとしてない?」
「…………別に」
最近、遊華に俺の思考が読まれる事が増えましたが、俺ってそんなにわかりやすいでしょうか?
「今の間は何?お兄ちゃん、私邪魔かな?」
「邪魔じゃないから安心しろ」
俺の思考が読まれる事が多くなったのと比例して遊華が俺に依存してるような感じになりつつあるのは気のせいかな
「じゃあ、私もお兄ちゃんのお手伝いしちゃダメ?」
「好きにしろ」
俺にはこれしか言えない。追い出す理由がないし、無理にでも手伝ってくれという理由もない
「うん!好きにするね!」
こうして俺は遊華と昼飯を作る事になったが、俺としては妹と一緒に料理をする程度にしか思っていなかった。だが……
「こうして2人で並んで料理していると新婚夫婦みたいだね」
遊華はそうは思っていなかったらしい。っていうか、新婚夫婦って……意識し過ぎだと思うんだが……
「そうか?俺は仲のいい兄妹にしか思えんが」
「バカッ!」
なぜか遊華にそっぽを向かれてしまった。なぜだ?別に兄妹でもいいじゃん。
「はいはい、昼飯は何がいい?」
「ハンバーグ!」
「了解」
何だかんだで遊華にも子供っぽいところがあるんだな。ハンバーグならあーんするにも楽だからいいから俺としては大助かりだがな
「お兄ちゃんはハンバーグをよろしく!私はサラダを作るから」
「ああ、わかった。作る前に香月と美月にも確認してくるから」
いくら何でも香月と美月に確認しないと後で違うのがいいとか言われても困るし
「それなら私が確認したし、2人ともそれでいいって言ってたから大丈夫」
「あ、そうですか」
遊華の行動が早すぎてもう俺はツッコむ気もしない。だが、遊華が確認する手間を省いてくれたと思えばいいか
「どう?お兄ちゃん、少しは私を見直した?私偉い?」
何だ?どうした?遊華ってそんなキャラだっけ?あ、わかった。これ褒めてほしいやつだ。そんな褒める事でもないと思うが、妹が褒めてほしそういこちらを見ているんだ。素直に褒めておこう
「ああ、スゲー見直したし、遊華は偉いな。俺はこんな妹を持てて幸せだよ」
今はひき肉をこねている最中なので頭を撫でてやるという事はできないが、褒め言葉は送っておこう
「そ、そう?」
言葉こそ普段通りだが、顔はリンゴみたいに赤いし、表情はにやけている。
「ああ、だから早く昼飯作るか」
「うん」
いつもは1人で料理するのだが、たまにはこうして妹と料理するのも悪くない。
「こういった部分ではこの世界に来てよかったな」
10年前の世界にいたらこんな事を思う事もなかっただろう。10年後であるこの世界に来たからこそわかる事だってあるって事か
「何か言った?お兄ちゃん」
「いや、何でもない」
「?」
遊華がわからないといった表情をしているが、これは俺にしかわからない事だろう……多分
「さて、ハンバーグを焼くとしますか」
「うん!あ、こがさないでよ?」
「そんなミスはしないって」
さすがに慣れてきたからな。ハンバーグをこがすなんて事しないさ。ボーっとしてない限りはな
「期待してるよ!お兄ちゃん!」
「任せとけ!」
俺がハンバーグを焼いている間に遊華がサラダを盛り付ける。いつもは1人でやる作業だが、今回は遊華と2人でやっているため、いつもよりは作業が分担され、楽になる。それに心なしか遊華も楽しそうだな……遊華って料理好きだったっけ?
「遊華って料理好きだったか?」
「料理自体はあまり好きじゃないけど、お兄ちゃんと料理しているから楽しいだけ」
「そ、そうか……」
妹とはいえ、女性にそう言ってもらえると嬉しく思う。俺って男は案外単純なのかもしれないな。
「お兄ちゃん、こっちは完成したよ」
「こっちも完成だ」
ちょうどいいタイミングでハンバーグが焼けた。もちろん、生焼けかどうかも確認したが、バッチリ中まで火が通っているのも確認済みだ。後は盛り付けるのみだ。
「よし、完成だ!」
「うん!」
特に滞りなく昼飯が完成し、盛り付けの時にも問題なくできた。1人の時でも問題なくできたが、手伝ってもらうと更に捗る
「さて、全部揃ったし、手を合わせて」
「「「「いただきます」」」」
この調子であーんするって事を綺麗さっぱり忘れてくれてると助かるんだが……
「お兄ちゃん、あーんするの忘れてないからね?」
「…………」
チッ!覚えてやがったか!そのままの流れで忘れてくれてればいいものの
「お兄ちゃん、あーんってしてくれるよね?」
「はい」
「じゃあ、早く」
香月はマッサージだから実行するまでに時間が掛からなかったから忘れるわけがない。美月は洗髪だったから着替える間の時間を考えると時間は少なからず掛かった。それでも、忘れるわけがない。しかし、遊華はどうだろう?調理の時間、盛り付け。そして食べる。その間で忘れていてほしかったが、覚えていたか……俺としては忘れていてほしかったよ
「最初は何から食べるんだ?遊華」
「じゃあ、最初はハンバーグから」
「わかったよ」
俺はハンバーグをフォークで一口サイズに切り、それを突き刺した。
「ほら、あーん」
「あーん、んぐ、んぐ」
「どうだ?」
「うん!おいしいよ!」
「そうか、それはよかった」
昼飯の間はずっと遊華にあーんし続けた。その間の香月と美月の目はとてもじゃないが、直視できるものじゃなかった。恐怖的な意味で
「「「「ごちそうさまでした」」」」
俺の精神にとてもよろしくない昼飯が終わり、俺は食器を食洗機に放り込み、ソファーでグッタリした。昼飯を食うだけでこんなに疲れるとは思わなかった
「昼飯を食うだけでこんなに疲れるとは思わなかった……」
よく食べた後にすぐ寝ると牛になるって言うが、今の俺にはそんな事は関係ない。だって昼飯を食べた気がしないんだもん……
「後片付けの手伝いはしてくれないのな……」
作る時は手伝ってくれた遊華だが、後片付けの時には遊華もそうだが、香月も美月も手伝ってはくれなかった。3人とも仕事のチェックがあるとかで早々に部屋へ戻って行ったからだ。別に後片付けくらいは1人でも十分なんだがな
「遊華たちがいないおかけで俺はのんびりできるから文句は言わないが……3人とも仕事が溜まってるなら無理しなくてもいいのに……やっぱり俺が自立するのは当分先って事か?」
今の遊華たちを見ているとまだ俺が傍にいなくちゃいけないような気がする。本人たちに頼まれたわけじゃない。遊華からはずっと一緒にいたいと言われた程度だ。だが、俺がそうしたいだけかもしれない
「香月と美月は10年前はいなかったからいいとして、遊華とは10年前は碌に会話すらしてなかったし、絶対に家を出て1人暮らししてやるって思ってたんだがなぁ……」
変わったのは遊華だけじゃなく、俺も変わったという事か……年齢的には変化してないはずなんだが……認識が変わったのか。
「そうか、10年前の遊華は無愛想だったが、今の遊華は無愛想じゃなくなっているから戸惑っている部分もあるのか」
来たばかりの時も……というか、今も時々そうだが、遊華限定で言えばあまりの変化に俺はついて行けてないのか。多分
「なんだろう……こう、温泉とか行きたいな」
唐突だが、俺は温泉に行きたくなった。だが、温泉に行く機会なんて簡単に得られるわけが……
『お兄ちゃん?いる?』
ノックと共に遊華の声が聞こえてきた。ん?何の用だ?仕事でしばらく家を空けるとかか?
「ああ、いるぞ。鍵も開いてるし、入ってきていいぞ」
『うん』
遊華がパンフレットらしきものを持って入ってきた。仕事で行く場所の資料かな?それとも遊華が関わったアニメかゲームの設定集とか?
「どうした?しばらく仕事で家を空けるのか?」
「うん、仕事で家を空けるには空けるんだけど」
「どうした?家を空けるならその間、遊華の部屋の掃除とかしとくけど」
「いや、仕事で家を空けるのはお兄ちゃんも一緒なんだけど」
「はい?」
遊華はなんて言った?え?仕事で家を空けるのは俺も一緒だと?って事はこの家には香月と美月だけって事になるのか?
「だから、私と香月お義姉ちゃんと美月お義姉ちゃんとお兄ちゃんで温泉に行くの!仕事で!」
遊華、香月、美月はわかる。何で俺は俺の知らないところで勝手に仕事が決まっていて、それが温泉に行く話になってんの?いや、確かに俺はさっき温泉に行きたいとは思ったけど
「何で俺の知らないところで勝手に仕事が決まっているのかな?」
「そんなのお兄ちゃんの仕事は基本的に私たちと一緒の現場になるようにお義母さんに言ってあるし」
俺はこの日、自分に仕事があまり来ない理由を知りました。同時に過去2回だけだが、仕事での遊華たちとのエンカウント率の高い理由を知りました
今回は遊と遊華が共同で作業する話でした
最後の方で遊が次回温泉に行く事が決定しました。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました