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俺が3日越しにドッキリのお詫びをさせられる件について

今回は遊が3日越しにドッキリのお詫びをさせられる話です

ハグじゃお詫びにならないと思い、今回は少しだけ変えてみました

では、どうぞ

 ドッキリを仕掛け、遊華たちから説教をされてから早3日が経過した。冬野さんも無事に帰宅し、俺はようやく平和な日常を取り戻せたはずだった。はずだったというのは今朝までの話だ。現在の状況は平和とはかけ離れている。どうしてかって?


「遊ちゃん!次は私だよ!」

「へいへい」

「返事ははい!」

「はいはい」

「はいは1回!」


 俺は遊華たちに振り回されている。なんでもあのドッキリを仕掛け、不安にさせたお詫びをしろとの事だ。何で3日越しにそのツケが回ってくるのか些か疑問なところはある。


「お兄ちゃん!私が最後に控えているんだからね!忘れてないよね?」

「忘れてないから安心しろ」


 どうしてこうなった?いや、俺がドッキリを仕掛けたせいなんですけど。何で3日越し?昨日でも一昨日でもよかったじゃん。


「わけわかんねー」


 力なく呟く今の俺は例えるなら、必死で接待するサラリーマンか、ご機嫌斜めな彼女の機嫌を取る彼氏または必死に埋め合わせに励む夫だな


「遊、わけなら遊がよくわかってるはずでしょ?遊が3日前に仕掛けたドッキリが原因だって」

「いや、あのドッキリは俺が悪かったけど、その埋め合わせが3日越しっていうのが納得いかない」


 そもそも、今朝は平和だったんだ。そう、今朝までは……


 俺は3日前までいた冬野さんが帰宅し、女性4人に男が俺1人という世の男子からしてみれば羨ましいが、この人たちの本性を知っている俺からすると精神によろしくない状態から解放され、惰眠を貪っていた。そんな時である……


「ん?誰だ?俺の惰眠を邪魔する奴は……」


 俺は突如として鳴った携帯の着信によって起こされた。誰だ?俺の携帯を鳴らす物好きなんて


「香月か……」


 着信画面には“香月”と表示されており、出るか否か非常に迷うが、香月なら出ても問題ないだろう


『あ、遊?』

「どうした?朝飯か?」

『いや、今部屋の前にいるんだけど、入れてもらっていい?』

「ん?ああ、今開けるわ」


 香月1人なら入れても問題ないだろう。これで遊華と美月がいたら嫌な予感しかしないが、電話口から察するに遊華と美月はいなさそうだし


「香月、どうし……た?」


 部屋のドアを開けると香月がいた。しかし、いたのは香月だけじゃなかった。


「おはよう、お兄ちゃん」

「おはよう、遊ちゃん」


 なんでいるの?電話してきたのって香月だよね?え?俺ひょっとしてハメられた?


「どうして香月だけじゃなく遊華と美月もいるんだ?」

「何?お兄ちゃんは私がいちゃいけないって言いたいの?」


 そんな事は一言も言ってない。ただ遊華と美月は自室かリビングにいると思っただけだ。


「俺は香月1人だけだと思っただけだ」

「そっか~私はてっきり遊ちゃんが私と遊華ちゃんを邪険に扱ってると思ってたよ~」


 まさか、そんな事するわけないだろ?純粋にビックリしただけだって言うのに酷い言われよう


「遊、3日前のドッキリのお詫びをまだされてない」

「はい?」


 ナンノコトデショウカ?ナニイッテルカワカンナイ


「3日前に俺がドッキリを仕掛けたのは確かだが、何で3日前のお詫びを今頃なんだ?」

「遊、私たちは昨日と一昨日は仕事だったし、3日前は遊華ちゃんの友達もいたし」


 OK、何を言いたいか大体わかった。要する家に家族しかいない状態の時に俺に何かさせようって魂胆だろ?


「俺に拒否権は?」


 ないとわかっていても一応は聞いておこう。ドッキリを仕掛けたのは俺だしな


「「「ないよ」」」


 知ってた!拒否権がないのわかってた!はぁ、あの時のドッキリで言った事マジで実行しようかな


「はぁ、マジで家を出るか……」


 家を出る気はないが、このまま振り回されると俺の体調に関わりそうだし、冗談でも言ってなきゃやってられない


「お兄ちゃん」

「遊」

「遊ちゃん」


 さすがに2回目だし、遊華たちもその辺は冗談だとわかってくれているはず。呼ばれたのだってそういう冗談はよくないよ的な注意をするためだと思ったが……


「ん?何だ?さっきのは冗談───」


 注意されるどころか、3人とも顔は笑顔だが目が笑っていない。っていうか、俺いつかこの3人の内の誰かに殺されるんじゃないかな?


「「「出て行くのは許さない……離れたら絶対に許さない……」」」


 わお、今度は目が笑ってないどころか光がないよ!俺ここで死ぬのかな……


「何でもするんで許してください!」


 これ以上光の宿ってない目で見つめられたらたまったもんじゃない


「「「へぇ~、何でもしてくれるんだ?」」」

「俺にできる範囲でなら」


 俺はこの時、できる範囲で何でもするなんて言った事を心の底から後悔した。というか、どうせいつもの満足するまでハグしろとか、一緒に風呂入れとかそんな程度の要求かと思ったが……


「遊、マッサージして」

「はい?」


 意外だ。いつもは何だかんだ言って俺にハグとかのスキンシップを要求するが、今回はマッサージを要求されるとは……


「お兄ちゃん、どうしたの?」

「いや、いつもならハグとかなのに今回はマッサージなんだなと思って」


 明日は雨かな?それとも雪?いや……槍が降るかもしれない。またはあれだな……


「世界が滅ぶな……」


 なんて事があり、香月をマッサージをして満足して頂いた。そして、冒頭に戻るわけだが……


「遊ちゃん、私は遊ちゃんに私の頭を洗ってもらいます!」


 マッサージじゃないのかよ!しかも、何で美月の頭を洗わなきゃいかんのだ!俺は理容師でも美容師でもねーんだよ!


「頭なら自分で洗えるだろうに何で俺?」


 理由はともかく、頭を洗うくらいなら何の問題もないはず。うん、ないよな


「たまには遊ちゃんに頭洗ってほしかったから」

「そうか、じゃあ、洗面所いくか」

「え?洗面所で洗うんじゃなくてお風呂で赤ちゃんみたいにして洗うんだよ」


 ですよね~、普通に洗えって言われるとは思ってなかったが、赤ん坊みたいな洗い方を要求されるとは思わなかった


「美月、水着着て風呂場で待ってろ」

「うん!」


 洗面台で頭を洗うんじゃなくて、風呂場でしかも赤ん坊のようにして洗うなんて予想外ではあったが、これやらなきゃ永久に終わらないやつだと理解している俺は美月に水着着用で風呂場で待機させ、俺も水着に着替える


「俺、何やってんだ?」


 本格的に自分が何やってんのかがわかんない……はぁ、何してんだ?俺。何はともあれ美月の待つ風呂場に行ってさっさと終わらせよう


「美月、入るぞ?」

『うん』


 風呂場に入るとなぜか美月が正座して待ってた。別に正座して待っている事なんてないのに……あ、水着は前回と同じなんだ。こうしてみると美月もスタイルいいんだな……


「さて、じゃあ、さっさと終わらせますか」

「むぅ~、私の頭を洗うの嫌なわけ?」

「嫌じゃないが、人の頭洗うのは慣れてないんだ」

「ふ~ん」


 さて、じゃあ、やりますか……さっき軽くネットで検索してやり方も大体わかったし、問題ないなくできるはずだ


「じゃあ、美月、膝に乗ってくれないか?」

「こう?」


 俺は正座した状態で膝に乗ってくれないかと言って、美月は抱き着く形で俺の上に乗ってきた。


「ごめん、俺が悪かった。俺の膝の上に頭を乗っけてくれないか?所為膝枕ってところだ」

「あ、うん……」


 何でちょっとガッカリしてんの?頭洗うんでしょ?


「さて、じゃあ始めるぞ」

「うん」


 俺は手にシャンプーをつけてそれを泡立てる。そして……


「洗うぞ」

「うん」


 特に会話もなく俺は美月の頭を洗う。何だろう、理髪店とかに行って頭洗う時に陥る独特の雰囲気……


「かゆいところないか?」

「うん」


 かゆいところがないかどうかを確認してまた沈黙……何で無言になるんだろう


「流すから頭少し上げるぞ」

「うん」


 流す時はさすがに無言だよな……口に泡入ったら困るし……さて、さっさと流して終わらせますか


「さて、終わったぞ」

「うん。やけに早かったね」

「そりゃ、赤ん坊とほぼ同じやり方をしていても相手は成人した女性だ。髪の毛は赤ん坊の方が少ないが、聞き分けは美月の方がいいだろ。早く終わったのはそのせいだ」


 さて、美月の要求は叶えたし、最後は遊華か……何を要求されるんだか……俺としては気が気じゃない


「たかがドッキリを仕掛けたくらいで何で3日後にお詫びとして俺はいろいろやらされてるんだ?」


 着替えながら1人愚痴る俺……俺が元の世界に帰れなかったらどうなる事やら……


「それはお兄ちゃんが私たち……いや、私から離れていこうとするからじゃない?」


 着替えてる途中と言っても後は髪を乾かすだけなんだか、そんな中、遊華が後ろから話しかけてきた。


「いや、俺だっていずれはこの家を出て1人暮らしするかもしれないぞ?」

「ダメ」


 いや、ダメって遊華さん……俺が自立するのが悪い事ですか?


「ダメって言われましても……」

「ダメ!絶対に!お兄ちゃんが出て行くなら私もついて行くから」


 マジですか……遊華さん……このままじゃ俺はまともに結婚どころか彼女すら危うい。浩太は遊華たちを彼女候補としても変じゃないみたいな言い方してたけど、遊華は実妹だしなぁ……


「はぁ、俺が1人暮らしをするどうかもわからんのに完全拒否するな」

「じゃあ、約束して」

「何だ?」

「1人暮らしする時は私も連れて行く事。いい?」

「はいはい、連れてくから遊華の要求を言ってくれ」


 こういう事は早めに終わらせるに限る。罰ゲームやパシリみたいな事をするような連中ではないが、引き延ばすと後々めんどうだし。


「私の要求はお兄ちゃんにあーんでご飯を食べさせてもらう事だよ」


 マッサージ、洗髪、あーんって何かいつもと違う。ハグに飽きたのかな?それならそれでいいがな。遊華の要求は昼飯に持ち越す事になった。あれ?香月と美月よりもハードル上った気がするのは何でだろう?気のせいかな?




今回は遊が3日越しにドッキリのお詫びをさせられる話でした

マッサージ、洗髪ときて後はあーんを残すのみ!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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