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俺が男同士で語り合う件について

今回は遊と浩太が2人きりで語り合う話です

この話以外にも男同士で語り合うシーンや話はありましたが、大抵が相手の部屋だったり、外だったりしたんで、今回は遊の部屋での語り合いです

では、どうぞ

 自己紹介と晩飯を済ませた俺、藤堂遊は食後を優雅に過ごしていた。洗い物は遊華たちがやってくれている。本人たち曰く、晩飯を俺が用意したから洗い物は自分たちがやるという事らしい。そんなわけで俺は特にやる事がなく、こうして食後の時間を過ごしているわけなんだが


「風呂の順番を決めなきゃな」


 女性陣は1階の風呂を使うとして、俺と浩太は地下にある俺の自室の風呂を使う事になるだろうし、早めに決めなきゃいけないと思う。


「洗い物終わったぞ、遊」

「ご苦労、浩太。さて、俺たちは部屋に行くか」

「え?もう寝るの?早くないか?」

「違う、俺の部屋にある風呂に行くんだよ」

「またまた~、自室に風呂があるなんて聞いたことがないぞ」


 普通はそうだろうが、俺が今使っている部屋は元は親父の緊急避難部屋だ。そこで生活できるように娯楽含めて生活できるものが揃っているんだよ


「行けばわかる」

「お、おう」


 俺と浩太は俺の部屋へと向かう。女性陣には声を掛ける事はなかった。いや、声掛けたら絶対に行きたいとか言い出しそうだし


「さて、ここが俺の部屋だ」


 部屋に着いた俺は浩太に今の俺の部屋を見せる。別に自慢したいわけじゃないが、他人から見たら羨ましいことこの上ないだろうな


「す、すげー」


 浩太は驚きのあまりにコメントが短く、顔は呆けている。予想通りのコメントありがとうございます!


「初めて入る人は大体そう言う」

「ここって何でもあるのか?」


 呆けた顔をしていたと思ったらすぐに目をキラキラさせる浩太。呆けたり目を輝かせたりと忙しい奴だな


「何でもはないが、防犯セキリュティはしっかりしているし、風呂もトイレも冷蔵庫、キッチンもある。俺は1階に上がらなくてもここで生活できるんだよ」

「すっげぇ!」


 子供の様に目を輝かせているが、コイツはそれがどういう事か解ってないようだな


「浩太、はしゃいでるとこ悪いが、俺がこの部屋から出ない。もしくは、俺がこの部屋に引き籠る事になるなんて事になったら遊華たちはどうなると思う?」

「止めてくれ、想像したくない」


 理解が早くて助かる。さすが、俺とつるんでただけあるな。食事の事は心配ないと思うが、メンタル面での心配が多すぎる


「理解が早くて助かるよ。浩太」


 浩太の肩に手を乗せる。コイツは妻帯者なわけだが、俺はコイツを見ていて思うところがある。それは、俺が万が一にも結婚したらどうなるだろう……


「何かこのままだと彼女すらできない気がする」

「遊、彼女候補なら身近にいるだろ?」


 今度は浩太が俺の肩に手を乗せてきたが、彼女候補って誰の事?今の状況だと彼女候補の心当たりがない


「彼女候補どころか異性との出会いがあんまりないんだけど?」

「遊、香月さんや美月さん、遊華ちゃんは彼女候補にならないのか?」


 香月と美月はともかく、遊華を彼女候補にしたらいろいろマズイだろ?世間体とか、法律とか


「香月と美月はいいとして、遊華を彼女候補にしたら俺は本格的にヤバい奴なんだが?」

「あ、ああ、そうだな。遊華ちゃんはマズイよな……?」

「何だ?その彼女にするなら遊華でも問題ないような反応は」

「何でもない。気にするな。遊は遊の信じた道を行け」


 なんかいい事を言っているようだが、スゲー勢いで捲し立ててるだけだからな?


「応援してくれるのはありがたいが、すごい勢いで捲し立てなかったか?」

「気のせいだろ」

「はいはい、今はそれで誤魔化されてやるよ」


 このままだと俺は間違いなく浩太から無理やりにでも答えを聞き出してしまいそうになるが、その答えは俺が自分で見つけなきゃいけない。そんな気がする


「遊、俺はお前のそういうとこ、結構好きだぞ」

「そうか、俺も自分のこういう聞き出そうと思えば聞き出せる答えをあえて自分の力で見つけようとするとこ結構好きだ」

「「ははっ!」」


 俺と浩太は2人で笑いあう。あれ?この状況って何か青春ドラマとか小説みたいじゃね?


「でだ、浩太」

「ん?何だ?」

「先に風呂入れ」

「おう、わかった」


 特に譲り合うなんて事をせずにあっさり風呂の順番が決まる関係っていいもんだな。彼女ができたらこんな関係になりたい。譲り合うでもなく、どっちかに遠慮するでもない。だからと言ってどっちかが一方的に尽くすでもない。ごくごく自然な関係に


「遊、1ついいか?」

「何だ?」

「覗くなよ?」

「早く行け!!」

「痛い!?」


 さっきまでの青春的な雰囲気が台無しだ。そもそも、誰が覗くか!こんな普段暑苦しい男の風呂なんて。暑苦しだけなのは過去というか、10年前の話だが……


 浩太が風呂に行ってから俺は話す相手もいない。必然的に暇になるのは当然であり、この部屋では家事をする必要もない


「アイツも親父と同類なのか?」


 一瞬だが頭に過る嫌な予感。はぁ……まともな身内というか、俺を弄らない。そんな人が1人でも近くにいてくれたらな……


「はぁ、出会いがほしい」

「そんな事言ってると遊華ちゃんたちに殺されるぞ」


 いつの間にか風呂から出た浩太にツッコまれた。風呂から出るの早くね?


「出るの早くね?ちゃんと洗ったか?」

「失礼な!ちゃんと身体と頭を洗って湯船にも浸かったわ!」

「そうか」


 まぁ、男の風呂は早いってよく言うし、微かだがシャンプーの香りもするし、嘘は吐いてないんだろうな


「遊、風呂行ってこいよ」

「そうする」


 俺は浩太に言われたからと言うのもあるが、汗を流すべく風呂へ向かった


「ああ、遊に1つ言っておくことがあるんだが」

「何だ?」

「俺が入った風呂の残り湯飲むなよ」

「ふんっ!」

「あいたっ!」


 俺は浩太を全力で殴った。俺には好き好んで男の入った風呂の残り湯を飲む趣味はない。女の入った風呂の残り湯を飲む趣味もないが


「浩太、俺は今から風呂に行ってくるが、大人しくしとけよ?してなかったらここに明美さんを呼ぶ」

「わ、わかった」


 念の為に明美さんの名前を出して浩太を脅しておいたが、効果ありそうで何よりだ。


「はぁ、この際だから本格的に引き籠ろうかな……」


 脱衣所で引き籠ろうか検討する俺……ひょっとして末期かな?


「何か今日1日でどっと疲れたな」


 シャワーで身体を流してから湯船に浸かる。今日は浩太を拾ったり、帰宅したら内野さんが家にいたり、冬野さんがいきなり家に来たりと訪問者が多かった


「今まで1日で家にこんなに家に人が来た事あったっけ?」


 少なくとも俺の記憶ではこんなに家に人が来るなんて事はなかった。例外として遊華の友達2人が来た事は除いておこう。あくまでも俺がちゃんと対応したのだけにしよう。主に悪戯とか放置とかしてない事を前提にしてカウントしたら今日が初めてだな


「まぁ、いろいろあるだろうけど、とりあえずは身体と頭を洗おう」


 不思議だな……風呂に入ってると何て言うか、ごちゃごちゃ考えてる事が全部流れていくような気がする


「風呂でこんな気分になるなら川や海に飛び込んだらどうなるんだろうか……」


 今の俺は危ない奴だが、何か試してみたい。今度試してみよう。無論、遊華たちには内緒で


「アホな事考えてないで出よう」


 夜1人でいるとネガティブな事かアホな事しか考えられんのか俺って


「おーい、出たぞ~」

「おう、出たか。遊」

「おう、浩太。大人しくしてたか?」


 25歳だから変な事はしてないと思うが、ほら、俺の周りって変な事してもおかしくない人の方が多いし


「俺は何もしてないが、携帯は鳴ってたぞ」

「そうか、確認してみるわ」


 浩太はここにいるし、敬は……彼女とイチャイチャしてるだろうし、明美さんの番号とアドレスは知らないし。誰だ一体?


「何で遊華と香月と美月から着信が?」


 同じ家にいるんだから直接言いに来たらいいのに、何で電話?


「どうせ大した事じゃない。放置放置っと」


 見なかったことにして俺は携帯をそっと机に置いた。今日は男子会だ!女子禁制!


「遊、誰からだった?」

「遊華と香月と美月から」

「へぇ~、なんて?」

「折り返さないで放置してきた」


 薄情とか言うなよ。たまには俺だって男子会とかしたいんだ。あっちはあっちで女子会だろし、別にいいだろ。


「いいのか?放っておいて」

「いいのいいの、どうせ大した用じゃないし、あっちは女子会してるだろうし……それに」

「それに?」

「様子が気になったら監視カメラで確認できるし」

「そ、そうか……」


 何考えてるか知らんがドン引きはやめろ。俺が設置したわけじゃない。この家を建てたのもカメラ設置したのも親父だ


「ここを部屋に選んだのは俺だが、カメラとかつけたのは俺じゃないぞ」

「そ、そうか……で?この部屋を選んだ理由は?」

「遊華たちの突撃から逃れたいから」

「遊、お前って奴は……」


 浩太が呆れた様子でこちらを見てきたが、誰だっていきなり部屋に来られたら部屋を移りたいと思うだろが。家出しなかっただけまだマシだと思ってほしい


「別にいいだろ?俺だって1人の時間はほしいし、遊華たちと常に一緒だと15歳の俺にはいろいろときついんだ。それに、見られたくないものだってあるしな」

「エロ本か?」


 コイツ、追い出してやろうか?というか、今から明美さんに突き出してやろうか?


「明美さんに突き出してほしいならその解釈でいいぞ」

「ごめんなさい!」


 浩太は未だかつてない程の綺麗な土下座を披露した。こうなるなら最初から言わなきゃいいのに


「俺はもう寝るが、浩太はどうする?」

「時間も時間だし、俺も寝るわ」

「わかった。じゃあ、浩太は部屋のベッドで俺はそこのソファーをベッドにして寝るな」

「いいのか?お前がベッドじゃなくて」

「ああ、遊華たちはここへは侵入できないが、万が一という事もある。お前は部屋のベッドでゆっくり休むといい」


 遊華たちを信じていないわけじゃないし、侵入できないと思うが、部屋の前で騒がれても困る。そして、浩太が勝手に遊華たちを部屋へ招き入れないとも限らんしな。


「遊がそう言うなら遠慮なく使わせてもらうが、あんまり遊華ちゃんたちを邪険に扱ってやるなよ。遊華ちゃんは遊がどんな形であれ戻ってきてくれて嬉しいみたいだし」

「別に邪険に扱っているつもりはないが、態度かなんかに出てたか?」

「ああ、今日は特にな」

「ごめん、気づかなかった」


 遊華たちを邪険に扱ったつもりはないが、無意識のうちに態度に出てたらしい……今度から気を付けるか。


今回は遊と浩太が2人きりで語り合う話でした

途中語り合いというよりも別の何かになったような気がしないでもない

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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