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俺が美月の友達と初めて会う件について

今回は美月の友達との初対面です

類は友を呼ぶ。美月の友達との初対面を書いてて思いました

では、どうぞ

 藤堂遊は憂鬱になっていた。理由は簡単だ。俺の目の前を歩いている友人・浩太と家にいるであろうまだ見ぬ義姉である美月の友人の存在が理由である。普通に遊びに来ているならまだマシだが、家出しているという1点を考慮するととてもじゃないが素直に歓迎できる気がしない


「家に帰りたくねーなぁ……」


 浩太は明美さんという妻がいながら仕事の付き合いとはいえキャバクラに行き、運悪く名刺が見つかったという何ともまぁ、未成年の立場からするとくだらない理由だ。美月の友達は事情は知らんが、話の雰囲気ではどうも親と喧嘩しての家出っぽい。


「どうした?遊、さっさと行かないと置いてくぞ?」


 コイツ……世話になる側だって事を忘れてないか?晩飯はもうスーパーの惣菜を適当に買って並べるだけでいいかな?手抜きってレベルじゃないような気がするが


「おう、すぐ行く」


 もう文句を言う気にもならん。この際だ。晩飯は手抜き、家事はボイコット。浩太は明美さんの機嫌が治ったと思われる時期に帰ればいいし、美月の友達は親と適当に仲直りして帰る。その間俺は何もしないし、この期間だけ部屋に引きこもろうかな


「はぁ……」


 気が重い……帰りたくない……俺の頭はこの2つの考えがグルグルと回っていた。俺は基本的に自分で撒いた種なら自分のせいだが、人が撒いた種は放置する人間なのだ


「おい!遊!家に着いたぞ!」


 考えているうちに家に着いていたらしい。この扉を開けたくない。


「入りたくないが、入らなきゃ始まらんし、入るか」


 俺は入りたくないが入らなきゃ何も始まらないし、部屋に引きこもる事もできない。


「よし!入ろう!」

「何でお前がドア開けようとしてんですかねぇ……」


 家の住人である俺より先に浩太がドアを開けようとしているのにゲンナリしながらツッコむ


「悪い悪い。じゃあ、改めて遊!開けてくれ!」

「はいはい」


 本当にゲンナリしながらもドアを開ける。できれば開けたくなかった


「ただいま……」

「おじゃましまーす!」


 俺と浩太は対照的なテンションで帰宅のあいさつと家の家族へのあいさつをする。本当に今の俺らって対照的だよな……


「あ、遊ちゃん!おかえりなさい」


 美月がリビングから俺と浩太を迎え入れてくれた。


「あ、ああ、ただいま。美月」

「うん、おかえり。遊ちゃん。そちらが今日家に泊まるっていうお友達?」


 美月が浩太にチラリと目を向け、再び俺に目を向ける。何だ?その物珍しそうな目は


「ああ、コイツは浩太。妻帯者のクセに仕事の付き合いでキャバクラに行って名刺が見つかったただのバカだ」

「どうも、佐藤浩太です。って遊!バカは酷くないか?」

「黙れ、お前がちゃんと名刺を処分しないのが悪いんだろバカ」

「何も言い返せないのが悔しい……」


 浩太は図星を突かれたのか、強く言い返してくることはなかった。


「で、この天然系の人が俺の義姉の美月だ。って香月を知っているなら知ってるか」

「ああ、結婚式に来てもらったしな。でもちゃんと話すのは今日が初めてだ」

「どうも~、遊ちゃんと遊華ちゃんの義姉で香月ちゃん妹の美月です。よろしくね~」


 とりあえず、美月と浩太のあいさつはこれぐらいでいいとして、次は美月の友達とのご対面といこうか


「で、美月の友達は?」

「リビングにいるよ~」

「そうか、遊華と香月は?」

「2人とも自分たちのお部屋にいるよ~」


 せめてもの救いは香月と遊華の友達が家出していない事だ。俺にとってはせめてもの救いである


「そうか、じゃあ、リビングに行くか」

「うん」

「ああ」


 本当は行きたくないけどな!行きたくないけど、行かなきゃ始まらない。腹くくるか


「よし!決心がついた!開けるぞ!」


 俺は意を決してリビングのドアを開けた。リビングのドアって意を決して開けるものだっけ?


「美月~遅いよ~」


 リビングを開けて聞こえた第一声は両親と喧嘩するという事とは程遠いほどの天然系のゆるキャラ声で雰囲気も美月とよく似た雰囲気であり、秋野さん、美月と会わせると収集がほとんど見分けがつかないくらいだ。類は友を呼ぶって本当にあるんだな。この言葉はまさに美月の為に生まれた言葉だと俺は思う


「ごめんねぇ~、義弟とその友達を出迎えてて~」

「そうなんだぁ~」


 止めろ、これ以上当事者同士で話すな。マジでどっちがどっちだかわからなくなる。


「美月、紹介してくれないか?このままじゃ日が暮れてしまうし、見分けがつかなくなる」


 隣りの浩太は鼻の下を伸ばしきっている。おい、明美さんにチクるぞ?


「そうだね、じゃあ、紹介させてもらうね。この子は内野亜衣(うちのあい)ちゃんだよ」

「どうも~、内野亜衣で~す。よろしく~」


 何と言うか美月はポワポワ系キャラ収集機か?どうして似たようなキャラの人を連れてくるんだ?だが、前に美月と一緒に寝た時に一瞬だが挑発的な……そう、悪女のような感じになったし、この人ももしかして……


「初めまして、藤堂遊です。こっちが俺の友達の佐藤浩太」

「どもっす」


 浩太は軽く頭を下げた。しかし、浩太よ。中学生じゃないんだから“どもっす”はさすがにねーだろ。なんかこの人にも裏がありそうだな。探ってみるか。本当に天然系の人なら親をその雰囲気でやり過ごせそうだし。ここは浩太に協力してもらうかな


「浩太、ちょっといいか?」

「何だ?」

「ここじゃなんだから一旦外に出よう」

「ああ、それは構わんが」


 浩太に外に出る事を提案し、浩太はそれを受け入れた。後は美月に一声掛けてっと


「美月、俺と浩太は男同士で話す事があるからちょっと出るぞ」

「わかったよ~」


 美月に一声掛け、俺と浩太はリビングの外へ出る。


「遊、俺に何か話があって外に出てきたんだろ?」

「ああ、内野さんの事なんだけどな」

「内野さん?ああ、あの天然系の皮を被った人か」

「やっぱり浩太もそう思うか?」

「ああ、美月さんもそんな感じだからな」


 こういう時だけ勘が鋭いな。その勘をどうして自分の隠し事にうまく使えないんだ?コイツは


「お前、美月の事にも気づいていたのか?」

「ああ、高校時代にお前とつるんでた。と、言ってもお前が失踪する前までだが、分厚い皮を被った奴をそれなりに見てきたからな。あれくらいなら見破れる」

「なら、俺の言いたい事は解るな?」

「ああ、お前に買い出しを頼まれたと言って連れ出すさ」

「助かる」


 10年間会ってないとはいえ、俺の言いたい事が解る奴なんて浩太を除いてはそうそういないだろ。


「あ、そうだ」

「何だ?浩太?金か?」

「いや、買う食材のメモ」

「あー、今渡す」


 俺は魚介類と肉類、野菜、飲み物を書いたメモをその場で適当に書き、浩太に渡した


「ほらよ。じゃあ、美月を頼んだ」

「任せとけ」


 俺と浩太は話を終え、リビングに戻った。後は内野さんと2人で話すだけだな


「あ、遊ちゃんたち戻ったの?」


 美月と内野さんも話し中だったらしく、2人そろって談笑していた


「ああ、話し中だったか?」

「いや、遊ちゃんの事を少し話していただけだから」

「そうか、美月。悪いが浩太と買い物に言って来てくれないか?」

「いいけど、いいの?」

「何が?」

「浩太君、お客様なのに……」


 やっぱりそこを気にするか……ここは浩太に任せるか


「いいんですよ。今日いきなり押しかけてきたのは俺ですし、それに美月さんとは1度ちゃんとお話ししてみたいと思っていましたし」

「そ、そういう事なら、行ってくるけど……」

「どうした?」

「お買いものメモとかないのかなぁ~って思って」

「それなら浩太に渡してある」

「そ、そう……じゃあ、行ってくる」


 俺は浩太と協力して美月を外へ出す事に成功した。後は内野さんが何で家出してきたか?を探るだけだな


「…………」

「…………」


 浩太と美月が家を出て行ってから俺と内野さんは無言になってしまった


「内野さん、どうして親と喧嘩したんですか?」


 黙っていても仕方ないので俺から切り出す事にした。この人はどんな本性を見せてくるかな?


「どうしてって、早く結婚しろって言われて私も我慢できなくなったからですよ~」


 言っている事は本当なんだろうけど、キャラ作っている感がもの凄い。このままじゃ埒が明かないな。仕方ない、攻めるか


「そのキャラって疲れませんか?」

「───!?」


 化けの皮剥がれるの早くない?気のせい?美月もそうだが、素で天然系キャラの人っていないのかよ……


「化けの皮が剥がれましたね。内野さん」

「はぁ~、美月の言う通りだわ。まさか、こんなに早く見破られるとは思わなかった」

「いやいや、美月もそうですけど、あなた達が皮を剥すのが早すぎるんですよ」

「へぇ、何?私を追い出すの?」


 どうしてそうなる?俺は出て行けなんて一言も言ってないだろうが


「出て行けなんて一言も言ってないです。ただ、どうして家出してきたのかな?って思っただけです」

「別に、親に早く結婚しろって言われて頭に来たから言い返したら喧嘩になって家を飛び出して来ただけ。文句ある?」

「文句はないですよ。ただ、結婚が全てじゃないと思っただけです」

「そうよね!遊君もそう思うよね!」


 何だ?この人。急にテンション高くなったぞ。笑顔もさっきの作りものの笑顔よりもキラキラしてるし


「そうですね。結婚してもすぐ離婚じゃ周囲から何のために結婚したんだ?って思われると思いますし」

「だよね!遊君は話せるね!」

「内野さん、1ついいですか?」

「ん?何?」

「さっきまでのキャラはどこ行ったんですか?」


 さっきまでの天然キャラが嘘のようにテンションが高く砕けたしゃべり方をする内野さんに違和感しかない


「あー、あれね。美月から前に聞いてたんだよ。遊君の事は」


 何て聞いたか気になるんですが……遊華、香月、美月は俺の事を美化して話す傾向にあるからな


「なんて聞いたんですか……?」

「私の本性をすぐに見破った義弟って美月から聞いたけど?」

「別に見破ったわけじゃないんだけど……」

「え?見破ってないの!?」

「どちらかと言うと美月が自爆したと言いますか、既に本性を現していたと言いますか……さっきの内野さんと同じです」

「同じなんだ!?」


 あ、そうか、この人は人に嘘を吐けないタイプの人だ。美月の友達は天然系か人を騙そうとして騙しきれないタイプの人が多いんだ。本人があんな感じだから仕方ないか……にしても浩太たち遅いな……

今回は美月の友達との初対面でした

タイプが違っても遊を試すところが美月と似ていると感じて頂ければ幸いです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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