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俺が遊華たちにちょっと厳しくした件について

今回は遊が厳しめの話です

親しき仲にも礼儀あり!今回の話はこれがメインじゃありませんが、こんな感じの話です

大丈夫、後半は優しくします

では、どうぞ

 俺は自分で言うのもなんだが、今まで遊華や香月、美月のする事を見逃していたし、ラジオの生放送に拉致られる等、俺の都合を考えない行動に出た時も俺はある程度我慢してきたつもりだし、それを咎めるつもりもない。しかし、今回は本気で怒りを通り越して呆れた。そんな俺、藤堂遊は……


「遊華、俺が何でここに籠ったか理由は言わなくても解ってるよな?」

「うん……」

「別に俺は怒っているわけじゃないのも理解できてるよな?」

「うん……」

「大人5人でいきなり誰と結婚する?っていきなり迫られて困るのは目に見えるよな?」

「うん……」


 遊華は徐々に泣きそうになっている。少し意地悪が過ぎたかな?


「じゃあ、俺の言う通りにできるな?」

「うん……」

「ここにいてもいいが、香月たちには絶対言うなよ?」

「うん、うん……」


 遊華はとうとう本気で泣きだしてしまった


「俺は怒ってないって言ったはずなんだが……何で泣いてるの?」

「だって、お兄ちゃんが電話に出てくれなかった時すごく不安だった……さっきまで淡々と話すお兄ちゃんを見てとうとう嫌われたんだって思った……」

「電話に出れなかったのは悪いと思ってるが、別に俺は遊華の事は嫌いじゃないぞ」

「本当?」

「ああ、本当だ」

「よかった……本当によかった……」


 別に嫌いじゃないし、香月や美月、秋野さんや冬野さんに居場所ばれたら嫌だから電話に出なかっただけだし


「でも、いきなり結婚だ何だと困らせたんだ。遊華の事はこれで許すとして、他の連中のお仕置きは手伝ってもらおうかな」

「おにいちゃん、それで許してくれるの?」

「許すも何もたった1人の大切な妹だ。嫌いになるわけないだろ?」

「おにいちゃぁ~ん!」


 よく泣く奴だなぁ……ちょっとやりすぎたかな?


「じゃあ、とりあえず携帯は充電しとくか?」

「うん……」


 遊華は俺の後ろをトボトボと付いてくる。まだ俺が怒ってると思ってるのかね?あのパソコンの椅子退かしてソファーを持ってくるか


「この部屋の家具はキャスターが付いてるから動かすのにそんな手間が掛からなくて助かる」


 遊華がいない間に俺は1人用の椅子を移動させ、ソファーを持ってきた


「あれ?1人用の椅子じゃなくなってるけど、どうしたの?」

「いや、さすがに今日はやりすぎたかな?と思って遊華を特別に抱っこしてやろうと思ってな」

「え……?」

「嫌なら別にいいが?」

「嫌じゃない!」

「そうか」


 俺がソファーに腰かけ、遊華が抱き着く形で俺の上に座る


「何だ?遊華、震えているじゃないか。そんなに不安だったのか?」

「うん……」

「不安にさせて悪かったな」

「ううん、元はと言えば私たちがいきなりあんな事を言ったからいけないんだし……でも、しばらくはこうしてて」


 遊華は俺の胸に顔を埋めた。やがて遊華は静かに泣き出してしまった


「落ち着いたか?」

「うん……」

「離れなくていいからそろそろソファーをベッドにするか」


 ソファーの背もたれを倒して簡易のベッドの完成だ。


「お兄ちゃん、このソファーって……」

「親父がベッドに移動するのめんどくさがってソファーベッドを買った。それがこれ。しかも2人用」

「ふーん」

「こんな事もあろうかとちゃんと毛布もある」

「準備いいね?」


 そもそも俺は仮眠するつもりだったしな。遊華は当分離れないだろうし


「さて、香月たちを放置して仮眠仮眠っと」

「何かいろいろ酷いね。お兄ちゃん」

「今回は俺は悪くないだろ」

「うん……」


 遊華はションボリしている。だが、今回ばかりは言い返せないようだ


「そんなにションボリしなくても怒ってないから安心しろ」

「うん……」


 仮眠を取るつもりが結果的には遊華とただ2人でベッドに横になっているだけだった


「あれ?香月お義姉ちゃんたち帰ってきたみたい」


 映像の向こうの香月たちは明らかに沈んでいた。


「本当だ。目に見えて沈んでいるな」

「お兄ちゃん、もう許してあげない?」

「嫌だよ。アイツ等は当分放置。どうせ泊まって行くんだろ?少しは懲りろってんだ」

「おにいちゃん……」


 遊華は泣きそうな表情で俺を見つめている。仕方ない、アイツ等をここへ呼ぶことはしないが、美月の部屋にある隠し部屋に招待してやろう


「わかったよ。ここへは呼ばんが、美月の部屋にある隠し部屋へは招待してやろう」


 ここへ彼女たちを呼んだら遊華もそこへ混ざって大変な事になるのは火を見るよりも明らかだ


「お兄ちゃん、香月お義姉ちゃんたちもここへ呼んであげない?」

「結婚だの嫁だの言わないなら呼ぶが、たまにはアイツ等も反省した方がいいだろ」


 このネタでしばらくは遊華も含めて俺の自由を拘束するのを止めさせよう


「もういい、お兄ちゃんが嫌がるような事した私たちが原因だし……」

「ああ、それに遊華が香月たちをここへ勝手に招き入れたら俺は遊華を本気で嫌いになるところだった」

「嫌いにならないで……」


 俺が遊華を嫌いになると言った途端に目に涙を溜めてしまった。今日の遊華の禁止ワードだな……嫌いって言葉は


「嫌いにならないから大人しくしていような」

「グスッ……うん……」


 遊華が見た目よりも幼くなっているのはツッコんじゃいけない気がする


「じゃあ、香月たちを美月の部屋にある隠し部屋に呼ぶけどいいよな?」

「うん、それでいい」


 ようやく遊華が大人しくなり、俺も安心して動けるようになる


「香月たち聞こえてる?」


 マイクのスイッチを入れてリビングにいる香月たちに呼びかける


『『『『!?』』』』


 リビングの香月たちが勢いよく周囲を確認するが、俺を見つける事は不可能だ


「俺は今、美月の部屋の隠し部屋にいる。会いたいならそこに来たらいい」


 それだけ告げた後、香月たちは大慌てで美月の部屋へ行き、美月が隠し部屋の扉を開ける


「お兄ちゃん……」

「ん?何だ?」

「どうして美月お義姉ちゃんの部屋に隠し部屋がある事を知ってるの?」


 遊華が目に光のない状態で俺に問いかけてくる。普段なら怖いが、今は怖くない


「何でって10年前はあの部屋は物置だったからな。その時に親父に教えられた」

「なんだぁ~そうだったのかぁ~」


 さっきまで目に光を宿していなかった遊華が一瞬で目に光を宿し、上機嫌になった


「納得してもらえて何よりだよ。ところで、香月たちは無事に隠し部屋へたどり着いたようだ」

「お兄ちゃん、そんなに私と2人きりになりたかったの?」

「あ、それはない」

「おにいちゃぁ~ん」


 いっそのこと遊華も香月たちのところへ送り込んでやろうか?


「遊華もそうだが、少し頭を冷やすのにはちょうどいいだろ」


 さて、アイツ等も遊華もしばらく放置して俺はゲームでもするか


「お兄ちゃん、私を放置してゲームしようだなんて考えてないよね?」


 どうして俺の考えてる事わかるの?


「さぁ?どうだろうな。何?放置してほしいの?ならそうするけど」

「嫌!放置しないで!」


 こうして俺のプチ立て籠もり騒動は幕を閉じた。俺はタイミングを見て香月たちをこの部屋へと呼んだが、4人とも泣きながら俺に謝ってきた。


「お兄さんの部屋ってすごいですねぇ~」


 いち早く立ち直った秋野さんがこんな事を言ってきた。この部屋がすごい事は認めるが……


「そうですか?まぁ、普通の部屋と違うとは思いますが」

「いや、十分すごいですよ。遊さん」


 冬野さんも秋野さんと同じ事を言ってきたが、この部屋の使い道が使い道だっただけに俺は素直に喜べない


「確かに、初めて来た人にはそう感じる部分もありますね」


 秋野さんと冬野さんはこの部屋に初めて入ったんだった。忘れてたわ


「初めて入った人にはこの部屋はすごいものだって感じるんだよ。遊ちゃん」

「私も初めて入った時は驚いたよ。お兄ちゃん」

「うん、私も驚いたよ。遊」


 美月や香月、遊華も秋野さんたちに同意しているが、美月にもこの部屋の存在理由をザックリとしか説明してなかったような気がするな


「存在理由が存在理由なだけに俺は素直に喜べないんだが……」

「「「「「理由?」」」」」


 5人は理由を知りたそうなキラキラした目で俺を見つめてきたが、こんな目で見つめられてもどう言ったものか……


「美月には前にザックリと説明したよな?」

「うん、遊ちゃんと2人で家探しした時にね~」

「「「「むぅ~」」」」


 約4名が剥れていますが、それはこの際気にしないでおこう


「で!お兄ちゃん!この部屋ができた本当の理由って何かな!!」


 遊華、そんなキレ気味で尋ねられると怖いぞ。それに美月以外の人たちも遊華と同じ目で見つめてるし……


「遊華は落ち着け!香月たちは俺をそんなに睨むな!今説明するから」


 はぁ……この部屋の存在理由を説明するだけでこんなに疲れるとは思わなかった


「遊、それより説明して」


 香月が唯一の救いに見えるが、さっきまで香月も野獣の一派だったろうに……


「美月にはザックリと親父の緊急避難の為の部屋だって説明したが、実はもう1つこの部屋の存在には意味があったんだ」

「「「「「…………」」」」」


 いや、そんなミステリー小説みたいなノリで黙って見つめられても困るんだが……


「雰囲気出してるところ悪いが、そんな大それた理由じゃないからな?ただ単に親父が俺の本当の母さんと喧嘩……と言っても親父が母さんを怒らせた時に緊急で避難したり、親父が母さんから逃げるために作った部屋だし」

「「「「「…………」」」」」


 遊華たちはやっぱりと言うか、案の定と言うか……まぁ、沈黙していた


「だから、この部屋はみんなが思っている程すごい理由で造られた部屋じゃないし、この部屋の存在理由も親父の隠れ家みたいなものだからキッチンや風呂、トイレが存在する。それだけの理由だ」

「お兄ちゃん」

「何だ?遊華?」

「ここでお兄ちゃんと同棲する練習ってできるよね?」


 いきなり何言ってんだ?コイツ。できない事もないが……それはこの部屋じゃなくてもいいだろうが


「やってやれない事もないが……何?みんな今日はこの部屋で過ごすとか言わないよな?」

「「「「「言うに決まってるじゃない!」」」」」


 遊華たちがこの部屋で過ごす事が決定した瞬間だった。別にリビングでもいいと思うんだが……


今回は遊が少し厳しめでした。

やり過ぎるとどんな人でも怒るか呆れるかするんですね

こんな話でした

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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