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俺が自室に逃走した件について

今回は遊が自室に逃走する話です

遊が逃走する程の出来事とは一体何でしょう・・・・

遊華の友達2人も久々に登場します

では、どうぞ

 俺が究極の2択を迫られた日から次の日である。正直、親父の部屋は汚かったし、羽月さんの呼び方に関しては親父と同じ事かそれに準ずる事をしたらおばさんと呼ぼう。俺の中でそう自己完結したのだ。そんな俺、藤堂遊の現在の状況は……


「お兄ちゃん!私だよね!?」

「違うよね?遊ちゃんは私がいいんだよね?」

「遊は私がいいよね?」

「遊さんは私がいいんですよね?」

「お兄さんは私がいいんですよね~?」


 5人の女性から熱烈なアピールを受けていた。はぁ、俺の平和な日常が……


「どうしてこうなったんだっけ?」


 俺はこうなった原因について考えていた。そう……あれは30分くらい前の話だ


「リビングの掃除はある程度は終わったし、洗濯も済んだし、やる事なくなって暇になったな」


 家事に慣れてきたのか、洗濯と掃除を終えた俺はやる事がなくなり、暇を持て余していた


「部屋に戻ってアニメか映画でも見るか」


 やる事ないし、アニメか映画を見て過ごす。俺が元の世界に帰る方法を探すのもありか。とにかく、俺は何かしようとと思いリビングから出ようとして……


「お兄ちゃん!」

「遊ちゃん!」

「遊!」

「遊さん!」

「お兄さん!」


 遊華たち女性声優5人組に捕まってしまった。しかも、声掛けられた時の目が野獣の様な目をしていた


「な、何だよ……そんなに大声出して」


 俺は大声で呼ばれるほど悪い事をした覚えはないぞ?


「お兄ちゃんは結婚するなら私だよね!?」

「遊ちゃんは私と結婚したいんだよね?」

「遊は私と結婚したいよね?」

「遊さんは私と結婚したいんですよね?」

「お兄さんは私と結婚したいんですよね?」


 この連中はとうとう頭が狂ったらしい。で、冒頭に戻るわけなんだが……


「いや、誰がいいも何も意味がわからないし」


 俺はいきなり結婚するなら自分がいいよね?って言われてそうですねとすぐに答えられるほど理解力があるわけじゃない。


「お兄ちゃんは黙ってこの5人の中から結婚したい人を選べばいいんだよ!」


 ああ、俺は疲れているんだな……戻って頭痛薬飲んで寝るか……


「ごめん、俺は疲れているみたいだから部屋戻って寝るわ」

「「「「「私も行く!」」」」」


 コイツ等……部屋にまで付いてくる気かよ……


「部屋には戻らんから何であんな事を言い出したか理由を言ってみろ」


 どうせ碌な事じゃないだろうけど、理由を聞くだけ聞いてみよう


「じゃあ、代表して私が説明しますね」


 冬野さんが代表して説明してくれた。話によると、今日は全員がオフの日であり、みんなで家で遊ぼうという事で家に来た。最初は何気ない話で盛り上がっていたが、次第に恋愛関係の話になり、それが盛り上がって結婚の話に。そして、いつしか俺の結婚相手には自分が相応しいと全員が譲らなかったので俺に直接聞きに来たらしい


「話はわかったが、俺はこの5人の中から選ばなきゃいけない感じ?」

「「「「「もちろん!」」」」」


 誰を選んでも俺には不幸な目に遭う未来しか見えない……


「選ぶ前にトイレに行ってくるわ」

「遊さん、戻って来たらちゃんと選んでくれるんですか?」

「そうだよ!お兄ちゃん!」


 冬野さんと遊華が疑いの目で俺を見てくる。今日に限って疑り深いな


「ちゃんと選ぶし、ちゃんと考える為にトイレに行くんだ。当たり前だろ」

「「「「「ならよし!」」」」」


 何とか俺を解放してくれた遊華たちは果たして大人しくしているだろうか?まぁ、俺が行くのはトイレじゃなくて自室なんだけどな


「はぁ……ようやく解放された」


 リビングから俺からは溜息しか出なかった。遊華たちにはトイレと言って出てきたし、しばらく戻れなくても平気だろ


「さて、部屋へ避難するか」


 俺は足音を立てないようにしてリビングから自室に戻った。もちろん、部屋のドアはしっかりとカギを掛けた。


「誰を結婚相手にするかって?そもそも付き合ってすらいないのに選べるわけないだろう」


 自室で文句をぶちまける俺……別に誰にも聞こえてないからいいか


「さて、リビングの様子でも見てみるか」


 パソコンを起動させ、リビングのカメラ映像をチェックする


『『『『『遅い……』』』』』


 遊華たちは苛立っているように見えた。いや、俺がトイレって言って出てからまだ10分も経ってないだろう


「面白そうだし、もう少し見ていよう」


 俺は面白半分に遊華たちの様子をもう少しだけ観察する事にした。


『お兄ちゃん遅くない?』

『確かに、遊ちゃん遅いよね~』


 遊華と美月はそれぞれいつもの口調ではあるが、完璧に苛立っている。


『遊、ちゃんと考えてくれているのかな?』

『遊さんはちゃんと考えて選んでくれますよ』


 香月と冬野さんは俺が5人の中からちゃんと選ぶのかどうかを話していた。


『お兄さんの事だから今頃どこかに逃走してたりして』

『『『『『…………』』』』』


 秋野さんのこの一言で遊華たちが固まった。ん?美月は電話を取り出してどこに掛けてるんだ?


「……電話を掛けてる相手は俺か」


 俺の携帯が震えだしたので確認してみると、着信画面に“美月”と表示されており、俺の中の警笛が出るなと告げているのがよくわかる


『今、遊ちゃんに電話してみたけど出なかった』


 美月は俺が電話に出ない事に対し、不信感を抱いていた。


『じゃあ、次は私が電話してみる』


 次は香月が俺に電話するようだ。誰から掛かってくるかはカメラを見ている俺からしてみれば予想するまでもないんだけどな


「本当に掛かってきたし……」


 本日2度目になる俺の携帯への着信だ。まぁ、その画面には“香月”と表示されているんだが、出るわけがない


『ダメだ、私のも出ない』


 当たり前だ。俺を連れ戻すために電話しているんだろ?そんな電話に出るわけないだろ


「さて、遊華たちの観察もいいが、喉が渇いたな」


 普段ならコーヒーなんだが、今回はコーヒー牛乳をグラスに入れてパソコンの前に戻る


「さて、遊華たちはそろそろ諦めたかな?」


 さすがにもう諦めただろ……多分。諦めてくれると助かるんだが


『次は私がお兄ちゃんに掛けてみる』


 まだ諦めてなかった!?2人が掛けてダメだったらもう諦めようよ!


「随分と執念深いな」


 俺はある意味で遊華たちの執念深さに感心する。うん、ここまで来たらもう感心するしかない


「マジで掛けてきた……」


 着信画面には“遊華”と表示されており、カメラ映像を見てみると遊華は苛立ちを隠せない様子で電話に耳を当てている


『お兄ちゃん出ない……』


 そりゃそうだ。出たら何を言われたもんかわかったもんじゃない。そんな結果が見えてるのにわざわざ電話に出るほど俺はアホではない


『遊華たちの電話に出ないとは……遊さんは一体どこに行ったのやら……もしかして本当に外に出たのかな?』


 冬野さんが俺外出説を唱え始めた。残念ながら俺は外には出ていない。自室に避難しているんだからな!


『もし由紀の言う通りだったら私たちじゃお兄さんを探すの不可能じゃないの?』


 秋野さん、俺を探すのは不可能っていうところは正解ですが、俺は外には出ていませんよ。秋野さんたちの様子をずっと自室で見ているんですから


『じゃあ、私玄関に行ってお兄ちゃんの靴があるかどうか見てくるね』


 遊華が玄関に向かい、俺の靴があるかどうかを確認しに行く。こんな事もあろうかと靴は予めここに運んでおいたのだ。あるわけなかろう


『お兄ちゃんの靴なかった』


 遊華の知らせに落胆する一同。なんか悪い気がしてきた……


「はぁ……そろそろ居場所を伝えるべきか」


 だんだん俺の中を罪悪感が支配し始めているし……そう思い、俺はマイクのスイッチをオンにしようとしたが……


『みんなで遊を探しに行かない?』


 香月が俺の捜索を提案していた。これは大騒ぎになる前に何とかせねばならないな


『そうだね~、一応、事件に巻き込まれてたりするといけないから警察にも連絡しておこうか』


 ヤバい……すでに大事になりかけている……


「いくら何でもやりすぎたか?」


 俺は警察に捜索願を出す一歩手前まできている事実を目前にして初めて事の重大さに気が付いた。だが、しかし、1つだけ言わせてもらいたい


「コイツ等は俺が家の中にいるって考えないのか?」


 ひょっとして動揺しているのか?一瞬だが、俺は遊華たちが動揺しているのではないかと思った。現在進行形で不安にさせている俺が言うのもなんだが、大人5人もいて俺がここにいるという結論にどうして誰も至らない?


『警察に電話するのは一旦自分たちだけで探して見つからなかったらにしない?』


 動揺している中でもまともな意見が出るんだな。まさか遊華からそれが出るとは思わなかったが


『そうだね、一旦私たちだけで遊さんを探そう』


 冬野さんが決意したように握りこぶしを作り言う。そして、遊華たちはみんな外に出て行った。ここのカメラは玄関先まで見えるので、遊華たちが完全に外に出て行った事も確認ができる。


「大変な事になってしまった……」


 この後どうしよう……マジで……俺はパソコンの前で項垂れるしかなかった。


「ん?あれは遊華?どうしたのかな?」


 俺を探しに外に出たはずの遊華が家に戻ってきた。忘れ物でもしたのか?まぁ、いいや。そのまま様子を観察してみよう


「遊華の奴どんどんこの部屋へ向かって来てないか?」


 家に戻ってきた遊華に違和感を感じなかったわけじゃない。むしろ違和感しかなかった。が、家に戻ってきてリビングや自分の部屋じゃなく、俺が今いる部屋に迷わず一直線に向かって来ているのはなぜだ?


『おにいちゃ~ん、ここ開けて~?』


 遊華は部屋の前に来て俺に声を掛けてきた


『おにいちゃ~ん、いないのぉ~?』


 とりあえず無視だ無視。部屋に入れて香月たちに知らされたら誰と結婚するだの嫁にするだの言いかねないし。


『グスッ……おにいちゃぁ~ん……入れてよぉ……』


 遊華は部屋の前で泣きだしてしまった。入れるかどうかは別として、とりあえず声だけでも聞かせてやるか


「遊華」

『おにいちゃん?』

「入れてもいいが、俺がここにいる事は香月たちに内緒にできるか?」

『うん……』

「俺が何でここに籠る事になったか解るか?」

『うん……』


 遊華が自分の靴を持っているところを見ると、俺がここを開けるまで動かないつもりでいる事は明白である。


「はぁ、すぐ開ける」


 俺は部屋のドアのカギを開けに向かった。俺がこうする事解ってるなら最初からしなきゃいいのに……


今回は遊が自室に逃走する話でした

5人の女性から結婚とか嫁とかの話をされたら遊は逃走してしまいます

次回はどうなる事やら・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございます

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