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俺が親父の仕事を気にする件について

今回は遊が遊斗の職業に疑問を持つ話です

今更感がすごい話ですし、多分、ツッコミ所満載な話になっていると思います

では、どうぞ

 俺はこの世界に来てから興味のないものに興味を持つようになった。家事や料理なんかはその典型的なものだと思う。でだ、俺はもう1つ興味を持ったものがある。それは、親父の仕事だ。考えてみれば親父の仕事なんて10年前の世界にいた時も別に興味なかったからな。俺、藤堂遊は初めて父親の仕事に興味を持ちました


「家にも帰って来ないし、親父ってどんな仕事してんだ?」


 幼少の頃は親父の仕事に興味を持って本人に聞いたが、結局最後ははぐらかされて終わったなぁ……


「遊華なら知ってるかもしれないが……」


 ダメ元で聞いてみるか……いや、それとも羽月さんに聞いてみるか?


「父さんの仕事を調べるだけでこんなに考え込む事になろうとは……はぁ……」

「あれ?遊ちゃんどうしたの?こんなところで」

「美月か……」


 リビングで考え込んでるところで美月に声を掛けられた。ちょうどいいや、美月に聞いてみるか


「どうしたの?遊ちゃん」

「美月は父さんの職業って知ってる?」

「ごめんね~、私もお義父さんの職業は知らないんだ~」

「そっか、ごめん」

「ううん、それはいいんだけど、いきなりどうしたの?」

「別に、飯を作る時にいきなり帰って来られても迷惑なだけだからな。せめて職業を知っていれば作り置きとかできるなと思っただけだ」


 俺は嘘は言ってない。というか、家に帰って来なくても平気な仕事か……羽月さんは声優で事務所の社長もやっている。が、それでも家に帰らない日が多い。


「こんな事ならもう少し父さんの仕事に興味を持っておけばよかった」


 自分で言っておいてなんだが、俺って親父の事に興味なさすぎだが、本当に親父の事だけか?俺って敬と浩太とどうやって仲良くなったっけ?


「こんな時、小説なら友人との思いでとか、身内との思いでに浸るようなシーンだぞ」


 うわ、マジか……確かに秋野さんのストーカーを退治した時にも俺はナイフで刺されるという予想はしていたが、ひょっとして自分にすら興味ないとか?


「だあぁぁぁぁぁ!考えたら余計わからなくなる!止めだ止めだ!」


 親父が家にいないのなんて10年前からの事じゃないか。考えるだけアホらしい


「どうしたの?お兄ちゃん?そんなに大きな声を出して」


 今度は遊華がリビングに入ってきた


「いや、別に何でもない」

「そう?」


 よかった、遊華にはばれてないようだ。


「さて、俺は家事でもするか」


 俺は悩みがあろうとわからない事があろうと俺は自分で調べる。遊華もそうだが、周囲の人間には必要最低限しか頼らない。過度な依存はしない。俺は今付けでそう決めた


「さて、父さんの書斎の整理でもするか」


 俺は書斎に向かい、書斎の整理をする。それは建前で本当は親父の職業を調べる。これが目的だ


「さて、着いたな」


 俺は早速書斎に入り、適当に本棚から探りを入れる


「仕事に関する本が一冊もない」


 ここは書斎なんて大層なモンじゃない!ただのエロ本貯蔵庫だ!


「はぁ、ちゃんと羽月さんを見てんのかね……父さんは」


 本棚にエロ本しかないとなると、次は机か……


「頼むから机はまともであってくれよ……」


 俺は最後の希望は机しかない。机の中までエロ関係だったら俺は心の中だけじゃなく、口でも父さんとは呼ばん。


「ここにもないか……」


 俺は順番に引き出しを開けるが、仕事に関係しそうな物が何一つない


「はぁ、諦めるか」


 どうせ親父の事だ簡単には見つからない場所に隠してあるんだろ


「簡単には見つからない場所か……例えば、引き出しの底が二重底になってたりして」


 なんてマンガみたいな事あるわけないか……いくらなんでも親父だってそんな事……


「あの性格ならするな。例えば、この机の引き出しが二重底だったりしてな」


 俺は机の引き出しを再び開け、底を調べる。


「やっぱり、1番下の引き出しが二重底になってたし」


 俺は1番下の引き出しの底を叩いてみたが、案の定、音が下に響いた。


「普通ならこんなに音が響くはずないんだが……何が入っているんだ?」


 本が入っているという感じではなさそうだが、とりあえずは開けてみるか……


「マンガじゃないんだからボールペンの芯ををしたから入れて開けるなんてベタな事なんてないよな」


 ボールペンの芯では引き出しのカラクリは解けなかった。さすがにそんなベタじゃないか


「じゃあ、何をしたら開くんだ?」


 ボールペンで開かないとなると……何で開くんだ?試しに引き出しの底をスライドさせてみるか


「まさか、引き出しの底をスライドさせたら開くなんて……」


 いやそんなことないよなぁ……なんて思いながら俺は引き出しの底をスライドさせた。すると……


「開いた……え?ボールペンの芯で開けるなんてカラクリより単純なんですけど」


 親父がここまでして隠したいものって何だ?飲み屋のねーちゃんの名刺か?


「……どこの住所だよ」


 俺の予想は大ハズレだった。意外にもどこかの住所が記されたメモだった


「ん?メモがもう1枚?」


 住所が書かれているメモとは別のメモがあった。


「何が書いてあるんだ?えーっと“遊へ、とうとうこのメモを見つけたようだね。1枚目のメモは僕の仕事場の住所だよ。遊がそろそろ気になる頃かなぁって思ってこれを残しました。遊の愛しの父より”」


 愛しの父ではないが、親父には俺の行動パターンは全部お見通しだったというわけか……


「とりあえず、父さんの仕事場にでも行ってみるか」


 俺は遊華たちに出かける旨を伝えてから家を出た。じゃないと心配するし、遊華たちが暴走する。特に遊華が


「家を出てきたが、俺は父さんの職場に行って何をするんだ?」


 俺が親父の職場に行ってやる事があるのか?という疑問に今更ながらブチ当たる


「行ってから考えるか」


 俺の人生って行き当たりばったりのような気がする。誰かにそう言われたのではなく、何となくそう思う


「でも、この住所ってマンションだよな?」


 俺は事前に住所をネットで検索したが、そこに記されていたのはマンションの住所だった。


「ここって10年前は空き地じゃなかったか?」


 皮肉な事に俺は親父の仕事を探って住所を調べた事で10年前にはなかった場所に建物が建っている。その事実を見てようやくここは10年後の未来の世界に来たという実感が現実になった


「とりあえず歩くか……」


 そんな皮肉は置いといて、親父は何のために俺にあんなメモを残したんだ?


「サッパリわからん」


 理解できないまま俺は親父のマンションを目指す。どうせ親父の事だ大した理由じゃないだろう


「着いたな。っていうか、意外と家から近いのな」


 徒歩30分ってところか……さて、親父の部屋はどこかな


「父さんの部屋は5階か」


 俺はエントランスのオートロックに親父の部屋の番号を入れた


「501っと」


 いきなり来たが、親父の都合は大丈夫なんだろうか……


『はーい、どなたー』


 インターホン越しに聞こえてきたのは女性の声だ


「遊斗の息子の遊です」


 できれば息子と名乗りたくはなかった。いろんな意味で


『あ、なんだ、遊君か』


 俺の事を知ってるのか?この人?


「俺の知り合いですか?」

『それは置いといて、入ってきていいわよ』


 俺の質問を全力スル―してエントランスを開けてくれた。だが、この声どこかで聞いたような気が


「ふむ、中に入ったはいいが、階段で行くか、エレベーターに乗るか」


 浩太の家に行った時の事があるからな、エレベーターに乗るのは止めとくか


「途中で止まったら嫌だし、階段で行くか」


 運動不足解消に階段で行くか。この年で運動不足とかシャレにならんし、5階くらいなら階段でも行けるだろう


「意外といけるもんだな」


 最近は激しい運動をしたりしてない。それこそ高校にも通ってないので体力測定とかもしていない状態で5階まで登ってきたが、意外と疲れていない


「父さんの部屋は501号室だったな」


 俺が501号室の前に着くと、そこには“藤堂”とプレートにあった


「さて、呼び出しますか」


 オートロック式のマンションってめんどくさいな……エントランスで1回インターホン鳴らして部屋の前でもインターホンを鳴らさなきゃいけないなんて


「本格的に俺は何しに来たんだ?」


 自分がここに来た意味が本格的にわからなくなってきた。と思いつつもインターホンを鳴らした


『あ、遊君来たの?』

「はい。なので入れてくれると助かります」

『すぐ開けるね』

「はぁ、わかりました」


 インターホン越しにパタパタと歩く音が聞こえたところからするに親父がいるこの部屋はスリッパ着用のようだな


「お待たせ、遊君」


 本当にすぐ来た。そして、その相手は羽月さんだった


「なにしてんすか?羽月さん」

「何って遊斗のお世話としてこの部屋に一緒に住んでるの」

「はぁ、そうですか」


 毎回思うが、家に隠し部屋を作ったり、マンションの一室を借りたりできる親父の職業って一体……


「ところで遊君」

「はい、何ですか?」


 羽月さん、久々に義理とはいえ息子に会えて嬉しいのかな……この人はこの人なりに俺の母親になろうとしてくれているのかな?


「遊斗の予想通り早かったわね」


 俺、この人を母親って思うのやめようかな……


「何ですか?ひょっとして俺がいつ来るか賭けてたんですか?」

「そ、そんな事ないわよ?」


 羽月さんは大量の汗をかきながら目を反らした。おいコラ、目を合わせろ。こっち向け


「賭けてたんですね?」

「い、いや、それは……」

「賭けてたんですよね?」

「そ、そんな事は……」

「か・け・て・た・ん・で・す・よ・ね?」

「はい……」


 このババア……あの親父(バカ)……ここに来るという目的は達成したし、マンションを借りるだけの職業を俺1人で考えればいいし。結論、俺は帰っていい


「じゃあ、俺は帰ります。父さんと2人きりの生活満喫してください。さようなら」


 俺は玄関先で回れ右をしてすぐさま帰ろうとした。しかし─────


「待って!私が悪かったから待って!」

()()?違いますよね?羽月さん。()()()()ですよね?」

「はい……私たちが悪かったです」


 最初から素直にそう言えばいいのに、全くこのババアは


「最初から素直に謝れババア」


 俺はもうこの人たちを父親とも母親とも思わん!心の中で羽月さんと呼んでいたが、もういっそババアとかおばさんでいい気がする


「遊君、今のババアってどういう意味かしら?」

「言葉の意味ですけど?」


 羽月さんは怒りモードだが、今、この状況で俺に逆らえんのか?あ?


「いい年して人の訪問時期を賭けの対象にしている人をババアもしくはおばさんと呼んで何か悪い事でもありますか?」

「うぐっ!」

「ほら、さっさと父さん(バカ)のところに案内してください。羽月さん(おばさん)


 俺はあえて親父を父さんと呼ばず、羽月さんを羽月さんとは呼ばなかった


「ごめんなさい!賭けてたのは謝るから、羽月さんと書いておばさんと呼ぶのは止めて!」


 ほう、このおばさんは俺が心の中でなんて呼んだかわかっているようだ。


「ほら、早くしてください。おばさん」


 俺はこの後、羽月さ……このおばさんをこのネタで数分間弄り倒した。


「ここが遊斗の部屋です……」


 やりすぎたか?羽月さんは完璧にへこんでいた。この人には弄る人間を選んでほしい。親父ならいざ知らず


「父さん、いるか?」

『ああ、遊かい?入っていいよ』


 部屋の中から親父の声が聞こえてきた。中にいるのはわかったが、親父は何をしているんだ?


「入るぞ?」

「おお、遊。いらっしゃい」


 親父は笑顔で俺を迎えてくれたが、親父の部屋は……予想以上に汚かった






今回は遊が遊斗の職業に疑問を持って実際に乗り込む話でした

いやいや、父親の仕事くらい理解しとけよ。ってツッコミ全然ありです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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