表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/116

俺が過去の資料を読み漁る件について

今回は遊が過去の資料を読み漁る話です

さてさて、過去の資料から遊は何を見つけるか……

では、どうぞ

 俺が友人である浩太の家に行ってから次の日、俺が10年後の未来であるこの世界に来た意味や来た理由を探るべく、浩太からもらった資料を読もうと思い、部屋に1日中閉じこもっている。もちろん、遊華をはじめとする女性陣や親父は何があっても部屋に入れるつもりはない。


「さて、浩太からの資料を読むか」


 俺はコーヒーを淹れ、机に向かい資料に目を通そうとするが、こういう資料って何から目を通したもか……


「とりあえず、年代が1番古いものから読むか」


 俺は1番古いであろう1900年の資料を手に取った


「何々、“私は普段通りに仕事に出かける為に家を出た。しかし、気が付いたら全く知らない場所にいて驚いたが、私は近くにいた人に何年なのか?ここはどこなのかを聞いた。その結果、私は未来に来ていしまったようだ……。”未来に来たというところは俺と同じだが、この人は仕事に行く途中で未来に来てしまったという事か……1900年というと俺の歳でも仕事をしていてもおかしくないが、年齢は23歳になってる」


 俺はこの人の資料をさらに読むことにしたが、未来に来た理由が明確ではないな。最後まで読んでみるか……


「肝心の未来に来た理由はっと……おっ、これか」


 俺は1900年に飛ばされた23歳の男性の資料から飛ばされた先の年代と理由を見つけ出した


「飛ばされたのは20年先の1920年で飛ばされた理由はっと……何々?“私が未来に飛ばされた理由は私に片思いしていた女性がおり、未来の世界では私は病で既に亡くなっている。だが、その女性は20年もの長い間、私の事をずっと想い焦がれていたらしい。”」


 この男性の未来に飛ばされた理由は片思いしていた女性の()()()()()()()()ってところか


「この男性は好意を寄せられている女性の想いに吸い寄せられたって解釈で間違いなさそうだな」


 俺はこの後、他の年代の人の記述も読んでみる事にした。この男性だけじゃまだ結論を出すには早い


 資料を読む中で最も多く出てきた単語がある。それは、“想い”という単語である。飛ばされた人の中には女性もいたが、それでも何らかの想いを抱かれていた。それは、好意を伝えたい、仲直りしたい等いろいろあるが、飛ばされた人間に思うところがあったのは確かなようだ


「この資料から推測するに俺が飛ばされた理由と意味は俺が関わった人間の誰かが俺に想いを伝えたい。という事か……しかし、どんな想いだ?謝罪される事なんてないし……」


 わからない……俺が飛ばされた理由と意味が……そもそも、香月、美月、羽月さんは俺がいなくなってから家に来たわけだし……俺の本当の母さんが生きているなら羽月さんはここにいないし……


「父さんか?いや、父さんも同じ経験をしたって言ってたし……」


 親父が俺を未来に飛ばした原因だとして、俺に伝えたい事は何だ?いつもみたいに俺を弄る事か?


「そういえば、敬も父さんも遊華を妹とか実妹って言うとそれに対して含みのある言い方をするな」


 俺をこの世界に呼んだのは遊華?しかし、どうして?遊びに行く時に遊華は不機嫌そうな顔で素っ気なかった。10年経てば人は変わるのは遊華自身もそうだが、敬で実証済みだ


「資料の中には同性の想いが原因で未来に飛ばされたって事も書いてあったな」


 つまり、敬や浩太という可能性もあるわけか……だが、見た感じだと敬や浩太が俺を未来に呼ぶようには見えなかったぞ


「一先ずはこの世界に来てから出会った人間と元々知り合いだった人間を分ける事にしよう」


 俺はパソコンを起動させ、メモ帳を開いて未来で出会った人間と元々知り合いだった人間を分ける作業を開始した


「まず、この世界に来てから出会った人間は香月、美月、羽月さん、秋野さん、冬野さん、明美さんの6人か……次は元々知り合いだった人間は遊華、父さん、敬、浩太、早川の5人か……」


 分けるには分けたが、分けたところで俺を未来の世界に飛ばすほど俺を想っている人間に心当たりがない。というか、何か俺が自意識過剰みたいになっているのは気のせいか?


「未来で出会った人間を除外して考えたとして、早川とは顔見知り程度の関係だったし、敬や浩太ともそこまで仲良くなかった。父さんは家にいる頻度は今みたいに少なかった。じゃあ、遊華か?だが、仮に遊華だとして、俺を呼んだのはなぜだ?」


 考えても仕方ない!一旦、俺の人間関係から離れて元の世界に帰れなかった人の資料を読むか


「おっ、これか?元の世界に帰れなかった人の資料は」


 俺は2000年から2004年の未来に飛ばされた人の資料に目を通す


「何々“僕は元の世界に帰れると思っていたが、そこで出会った女性からも好意を寄せられ、元々好意を寄せていてくれた女性も含め複数の女性から告白された。しかし、僕には1人に絞る事または全員を選ぶ事が出来ず、そのままこの世界に留まる事になってしまった。”」


 他の資料にも恋愛絡みじゃないが、結局は謝罪を受け入れられずにその世界に留まってしまった等の記載がされている資料があった。


「この資料から察するにどんな結果になるにしろいずれは()()()()()()()()()()()という事か」


 早い話が恋愛関係なら1人を選ぶか全員選んでハーレムか。謝罪ならそれを許すか否か、それ以外なら現実を突きつけるか否かという事になる


「何にせよ大変なこった。だが、この資料にある人はそれぞれ幸せな人生を送っていたから不幸だったというわけでもないようだ。」


 俺は一息入れる為にコーヒーに口を付けるが────


「冷めてるし……」


 資料を読む事や思考に夢中でコーヒーが冷めている事に気が付かなかった


「淹れ直すか……」


 冷めたコーヒーの入ったマグカップを持ってこの部屋のキッチンに移動した


「さて、コーヒーを淹れ終わったし戻って資料の続きを読むか」


 だが、資料をいくら読んでも似たような内容しかない。読み漁ったところで結局は無駄と言うわけだが……


「一通り資料を読んだがこれ以上は無駄か……後は遊華の事について調べ直す必要があるが……」


 そう、俺は遊華の事について改めて知らなきゃいけない。俺と遊華が本当はどんな関係かを知らなきゃ俺が未来に来た原因を突き止められないのだが……


「それって今やる必要があるのか?」


 俺は浩太からもらった資料を読んで未来に来た理由と意味は理解したが、遊華との関係を突き詰めるのは今じゃなくてもいい気がする。


「資料を片付けるか」


 俺は読み終わった資料を片付ける事にした。もちろん、この資料はこの家の誰にも見せるつもりはない。


「さて、片付いたな」


 片付けが終わった後でふと考えてしまうのが、俺が未来にやってきた事実よりも遊華の事だ


「最近の遊華のあの暴走っぷりには驚く事ばかりだな……」


 遊華の暴走か……ここで俺は1つの仮定を立ててみる


「もし、仮に遊華が俺の本当の妹じゃなく、異母兄妹かもしくは俺か遊華のどちらかが従兄妹だとする。そうした場合は法律的にも倫理観的にも付き合って結婚しても問題はない。だが、本当の兄妹だった場合、遊華のブラコンは正常と言えるのだろうか?」


 例え10年前に遊華が俺に対して素直じゃなく、10年経った今になって素直になるのは別に変じゃない。その一方で俺が遊華を妹もしくは実妹と言った時のあの含みのある言い方は何だろう?


「今までは気にも留めていなかったが、思い返すとおかしいところはまだある。遊華はブラコン染みたところはあるが、マンガや小説の妹って酷いブラコンは兄のベッドへ侵入したりしている場合が多い。今のこの部屋はカギを俺が持っていて遊華が開ける術がないし、複製も無理だから仕方ない」


 今の部屋は元々は親父の緊急避難部屋であり、カギも簡単には複製できないように特別製なやつにしてある


「さっきはブラコンは正常と言えるのか?みたいな事を言っておいて実は遊華はまだどこか俺に対して遠慮をしているんじゃないのか?」


 遊華の俺に対する態度に僅かな綻びを見つけてしまった。今までのが全部嘘とは言わないが全部本当とも言えない。


「試してみるか……」


 俺は今日1日は遊華を始めとするこの家の人間を誰1人としてこの部屋に入れるつもりはなかったが、遊華の今までの態度に綻びを見つけてしまった。こうなった以上は試すしかない。幸いなことに遊華以外は仕事で出払っているし、浩太からの資料も見つからない所に隠した。


「見つかって困るものもないし、用意を済ませてから遊華を呼び出すか」


 俺は遊華を呼び出す前に隠しカメラをセットし、睡眠薬を用意した。もちろん、隠しカメラは簡単には見つからない場所にセットしておいた。


「隠しカメラもセット完了したし、睡眠薬も確認した」


 よし!早速遊華を呼び出すとしようか!これで何が出るか楽しみだな……いろんな意味で


「よし!行くか!」


 俺は部屋を出て遊華の部屋へと向かう。もちろん、俺の部屋に呼ぶための口実もある


「遊華、いるか?」


 俺はノックしながらドア越しに遊華に呼びかけてみる


『いるよ、どうしたの?お兄ちゃん』


 よし、いてくれてよかった!後は誘うだけだ


「いや、遊華と2人で話がしたいと思って呼んだんだが……」

『え!?本当!?すぐ行くよ!』


 ドア越しから遊華の嬉しそうな声が聞こえてきてすぐに遊華が部屋から出てきた


「お待たせ!お兄ちゃん!」

「いや、そんなに待ってない。大丈夫だ」

「そう?じゃあ、行こうか」

「ああ」


 俺と遊華は俺の部屋へと向かった。ここからが正念場だな


「ところで、どういう風の吹き回し?お兄ちゃんが部屋に呼ぶなんて」


 部屋に入って第一声がこれである。まぁ、俺らしくないと思うが……


「たまには本格的に2人きりで話をしたくてな」


 今までは2人きりと言っても遊華の部屋やパソコン部屋、リビングと2人きりではあるが、簡単に第三者が割り込んでこれる状態だったからな。


「そっか……」


 遊華が嬉しそうな表情を浮かべた。さて、じゃあ、試験開始と行こうか。果たして遊華はどう動くかな?

今回は遊が過去の資料を読み漁る話でした

過去の資料から人の想いの強さで未来に来たと言う事がわかったので、これだけでも収穫はあったと思います


今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ