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俺が10年後に来た事を真剣に考え始める件について

今回は遊が10年後に来た理由を真剣に考えます。

いつまでも遊斗や敬が遊華を妹、もしくは実妹と遊が言った時に含みのある言い方をしている事や

遊が10年後に飛ばされた事について考えないようにしてるのもよくないと思いました。

では、どうぞ

 その場の雰囲気って結構重要な場合と言うのは人間生きていたらそう感じる事があると思う。それは俺だけではなく、みんな感じている事だ。今のは俺の持論なので、そうは思わない人もいるだろう。しかし、何だ?この雰囲気は……例えるなら、嫁の両親に初めてあいさつをしに行った時の独特な雰囲気である。


「何でこんな雰囲気なんだ?」

「さぁ?遊が失踪したから?」


 隣の香月が俺のせいにしてくるが、俺だって別に好きでこの世界に飛ばされた……香月たちから見れば失踪になるのか。好きで失踪したわけじゃない。


「とりあえず自己紹介いいかしら?」


 目の前の女性が俺たちに確認をしてくるが、俺が悪いのか?っていうか、早く自己紹介してください


「私の名前は佐藤明美(さとうあけみ)。香月とは高校からの友達よ」

「先程も自己紹介しましたが、藤堂遊です。よろしくお願いします」

「よろしくね、遊君」

「はい、よろしくお願いします」


 明美さん、雰囲気が羽月さんとよく似ているな。そういえば、前の香月もこんな感じでクールだったな。


「明美、ご主人は今日はどこに?」

「家にいるわよ?まだ寝てるんじゃないかしら?」


 人を呼びつけといて寝てるとは、いい根性してんな。一体どんな奴なんだ?


「遊……顔が怖いよ?」

「え?あ、俺そんな顔してたか?」

「ええ、してたわよ?遊君。ふふっ、すぐに夫を起こしてくるわね」


 香月や初対面の明美さんにまで指摘されるとは、俺は相当苛立っていたのか?それとも、明美さんの夫がどんな人かが気になっていたのか?まぁ、どっちでもいいか


「はぁ……疲れた」


 俺はここへ来てから何もしていないが、ここへ来る途中に1つのイベントとも言える出来事であるエレベーターに閉じ込められたという事があり、現在疲労感が急上昇中である。


「遊、大丈夫?」


 香月が心配してくれているが、どうやら俺は反応を返す余裕すらないらしいな。だが、香月を心配させたままではマズイ


「あ、ああ、なんとかな」

「そう、よかった……」


 空元気で俺は何とか香月に返答を返した。っていうか、明美さんの夫は随分と遅いな……


「遊君、香月、お待たせ」


 明美さんがリビングに入ってきた。その隣の男性は明美さんの夫だろうか?


「ほら、自己紹介して」

「はいよ。はぁ、もう少し寝てられると思ったのに……」


 男性は寝起きなのか若干機嫌が悪いように見える。おいおい、人を呼びつけておいてそれはないんじゃないか?


「遊は10年振りで香月さんは久しぶりですね。2人とも1度は会った事ありますが、改めまして佐藤浩太(さとうこうた)です。よろしく」


 目の前の男性……いや、佐藤浩太は俺に対して久しぶりって言ったが、俺の知っている浩太という人物はポッチャリ形の男子で目の前の人物のように見た目がさわやか系ではない。


「…………」

「遊は俺の事を覚えてないのか?」

「そうなの?遊?」


 浩太と香月が確認してくるが、覚えて入る。ただ、頭が追い付いていない。10年という歳月で敬もそうだが、浩太も何から何まで変わりすぎだ。そこに遊華も含めていい。


「いや、俺の目の前にいる人物は本当に俺が知っている浩太なのかと思ってな」

「確かに、遊から見れば信じられない変わり様だもんな。よし、遊!」

「な、何だ?」

「今から俺の部屋へ来い!」

「え?何で?」

「いいから来い!」


 俺は浩太の部屋へ半ば強引に連れて行かれる羽目になってしまった。残された女性陣はというと


「浩太!お昼ご飯は!?」

「お昼が終わってからでもいいんじゃないの!?」


 俺よりも昼飯の心配をしていた。薄情な奴らだな……


「で?俺をここへ連れてきたわけは?」


 俺は浩太に部屋に連れて来られたわけを問いただすことにした。


「敬から連絡を受けた時にはまさかとは思っていたが、本当に遊が10年前の容姿のままで戻ってくるとはな。その様子だともう街を探索したりしたのか?」

「え?街の探索なんてこの世界に来てから1回もしてないが?」

「新聞の確認は?」

「いや、してない」

「やっぱりか……」


 浩太はどこか納得した様子だが、俺には意味がわからない。何がやっぱりなんだ?


「1人で納得してないで俺をここへ連れてきたわけを説明してもらえると助かるんだが?」

「ああ、それはな、遊。お前の事だから今まで何で自分が10年後の未来であるこの世界に飛ばされた理由をよく考える機会を与えようと思ってな」

「俺がこの世界に飛ばされた理由?」


 俺がこの世界に飛ばされた理由?そういえば、今まで考えた事もなかったが、俺はどうして10年後の未来であるこの世界に飛ばされてきたんだ?


「ああ、そうだ。そもそも、遊はここが10年後の未来だっていう事をどうやって知った?」

「そりゃ、再会した遊華に教えてもらってだが?」

「それをお前は何かで確認したか?」

「いや、してないが……」


 俺がここが10年後の未来の世界だって事は遊華から言われたからそう思っていたし、そう認識していた


「ほら、今日の新聞」


 浩太は俺に今日の新聞を渡してきた。そして、俺は渡された新聞の日付と年号を確認する


「確かに2028年の記載になっているな」

「これで遊が飛ばされたのは2028年だって事の確認が取れたな。ついでに俺が本当の佐藤浩太だって確認のためだ。ほら、俺の卒アル」

「お、おう……」


 俺は浩太に渡された卒アルとついでに今の浩太になるまでのアルバムと遊華が今の遊華になるまでのアルバムを渡された。浩太のアルバムはともかく、遊華のアルバムを何で浩太が持っているかはこの際聞かないでおこう。


「どうやら、お前は本物の浩太で俺が今まで会っていた遊華は本物の遊華で間違いなさそうだな」

「地域によるが街は多少の変化はあれど、そう簡単にガラッと変わるわけじゃないから確認のしようがないが、少なくともアルバムとか新聞には目を通しておいてもよかったんじゃないか?」

「言い訳にしか聞こえないと思うが、確認してる余裕がなかった……」


 浩太に言われて初めて確認したが、それは俺が最初にするべき事だった。


「まぁ、それは置いといてだ。次に何で遊が10年後に飛ばされたかだが」

「ああ、父さんが2年後に飛ばされた事があるって言ってたが、自分がどうして飛ばされたかまでは聞いてないし、父さんは結論しか言ってなかったような気がする」

「気がするって……遊」


 親父と話す機会と言えば、大抵が親父が俺を弄る時しかないんだ。時々真面目な話もあるが、真面目じゃない時が多すぎるんだ。勘弁してくれ


「親父と話す時は大抵が俺が弄られるときなんだ……」

「ごめん、遊」


 浩太が肩にポンと手を置いた。しかも、可哀そうなものを見るような目で……


「俺が10年後に飛ばされた理由か……心当たりがないな」

「そうか……じゃあ、お前が10年後に来て誰が1番嬉しいと思う?」

「は?それってどういう意味だ?」

「言い方が悪かったな。遊が関わってきた人間の中で10年前に誰が1番悲しみ、誰が1番自分の想いを伝えたいと思う?」


 言い方を直されても俺には意味がわからない。いや、理解が追い付いていないと言ってもいい


「意味がわからない。浩太は俺がこうして飛ばされたのは単なる偶然じゃないとでも言いたいのか?」

「ああ、そうだ。今日ここに呼んだのは遊には10年後に飛ばされた理由について深く考えてもらいたかったからだ」

「何でそこまで……」

「1つ、俺が暇だから。2つ、これが俺の研究テーマだったから。以上!」


 理由が暇つぶしと研究の為とか……俺の事を全く考えていないじゃないか!でも、浩太のお蔭で俺は自分が10年後であるこの世界に飛ばされた理由を考える必要があるって事はわかった


「俺が飛ばされたのって単なる偶然じゃなかったんだな」

「当たり前だ。物事には必ず理由がある。場合によってはくだらないがな!」

「サンキュー、浩太!」


 俺は浩太に礼を言って部屋を出ようとして足を止めた


「そうだ、浩太に聞きたい事があったんだ」

「何だ?昼飯のリクエストか?」

「いや、俺が敬や父さんの前で遊華を実の妹とか実妹とか言うとなぜか含みのある言い方をするんだが、理由わかるか?」

「わからんでもない。というより、俺は敬からだが、遊と遊華ちゃんの関係は聞いている」


 俺と遊華の関係だと?俺と遊華は兄と妹だろ?今更どんな関係だって言うんだ?


「俺と遊華は兄と妹の関係じゃないのか?」

「兄と妹か……お前はそれを聞いてどうするんだ?答え次第じゃお前はこれから遊華ちゃんの事を真剣に考えなきゃいけなくなるぞ?」

「え?」

「まずお前が考えなきゃいけないのは10年後であるこの世界に来た事についてじゃないのか?遊華ちゃんとの関係を考えるのはその後でもよくないか?」


 浩太のいう事にも一理ある。まずは俺が10年後であるこの世界に飛ばされた事について考えるべきだ。って言っても、10年後の世界に飛ばされた理由くらいしか考える事はないんだが……


「遊、俺は研究の為にいろんな資料を読み漁ったんだが、遊や遊の父さんだけじゃないんだ」

「何が?」

「未来に飛ばされた人間」

「は?それってどういう事だ?」

「これは追々話すが、これまで調べた結果だけ言うと年齢や飛ばされた年数はバラバラだが、未来に飛ばされた人間はほぼ全員が男性であるという事がわかっている」


 俺や親父の他に未来に飛ばされた人間がいる事、浩太が言った年数とはその人がいた時代から数えて何年先かだと思うが、今の俺と似たような体験をした人がいたことがわかった。


「今の俺には俺や父さんの他にもそう言った人間がいたっていう事実がわかっただけでも収穫はあった。ありがとな」

「いえいえ。あ、そうだ、これはコピーだが、この資料は遊にやるよ」

「ああ、そうしてもらえると助かる。と言いたいところなんだが、今日は鞄を持ってきていないんだ」


 俺はまさか今日ここに来て未来に飛ばされた理由を考えさせられるとは思っていなかったからな。資料を入れるも物を何も持ってきていない


「大丈夫、明美さんから捨てろと再三言われ続けた俺の鞄がある。資料はまとめておいてやるから昼飯の用意は頼んだぞ」


 浩太、明美さんから鞄を捨てろって言われるなんて、どんだけ鞄を持ってんだ?俺が未来に飛ばされた事よりもそっちの方が気になるんだが?


「わかった。昼飯は用意する。っていうか、今日はそれがメインでここに来たからな」

「よろしくな。遊」

「任せろ。浩太」


 俺は浩太の部屋から出て昼飯の献立を考える。にしても、今更ながら何で俺は10年後に飛ばされたんだ?そもそも、どうして10年後なんだ?まぁ、それは後で考えるとして今は昼飯が先だな



今回は遊が10年後に来た事について真剣に考え始めました。自分の中であれをやろうとか、これをやらなきゃとかって考えるのですが、無意識にそれについて考えないようにするって事があると思います。遊も人間ですから、10年後に飛ばされた事は考えないようにしていましたが、そろそろ考えなきゃいけないじきかなぁ……と思いまして今回出しました。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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