遊華たちが出演する番組のタイトルが変わっていた件について(後篇)
今回は前回の話の後篇になります
突然ですが、最後の方に遊の処遇が決まります
では、どうぞ
皆さんこんにちわ、藤堂遊です。俺は遊華たちのレギュラー番組になぜか強制的に出演させられています。前と違うのは途中乱入ではなく、最初から出演するという事だけである。そんな俺が今置かれている状況は……
「遊ちゃんは何フェチなの?」
最後の質問メールのせいで俺は窮地に立たされています
「いや、何フェチって聞かれても……何度も言うが、俺は家族以外の異性にあまり縁がない。あって秋野さんと冬野さんだが、あの2人もそういう対象では見ていない。こんな質問答えようがない」
「お兄ちゃんは女性のお尻に魅力を感じないの?」
遊華、何でいきなり尻を持ってきたんだ?
「遊華、その質問に俺はなんて答えればいいんだ?」
「別に、お兄ちゃんが思うように答えればいいと思うよ?」
「よくわからんが、俺は尻フェチじゃないな」
うん、少なくとも俺個人としては女性の尻に何かを感じる事はあまりないし……
「じゃあ、遊は女性の胸とかに興味はないの?」
「香月、女性の胸に目が行く事は多いが、それは男ならほぼ全員そうじゃないのか?そもそも、俺は胸で人を判断したりしないし」
そもそも、何で俺はこんな公開処刑みたいな感じになっているんだ?あぁ、質問メールがそう言った内容だからか……
「じゃあ、遊ちゃんは女性のどこが好きなの!?」
美月よ、そんなキレ気味で聞かんでも……そうだなぁ……強いて言うなら
「うなじかなぁ……」
「「「え?」」」
「え?今の声に出てた?」
「「「うん、バッチリ!」」」
俺が心の声のつもりで言ったことが遊華たちに思いっきり聞こえていたらしい
「マジか……じゃあ、俺はうなじフェチって事で」
聞こえていたのならしょうがない。訂正するとまた要らん争いが生まれそうだからな
「ふ~ん、お兄ちゃんはうなじが好きなのかぁ~」
遊華よ、別に言うほど好きではないぞ?ただ、いいなぁ……って思う程度だ
「遊ちゃんがうなじフェチな事がわかったところで次のコーナー行ってみようか?」
美月が次のコーナーへと進行を進める
「そうだね、うなじ大好きな遊が疲れないように次のコーナー行こうか。遊華、よろしく」
香月、何か俺がうなじ大好き人間になりつつあるのは気のせいか?
「そうだね、次のコーナーはこちら!“藤堂遊に言ってほしい事!”のコーナーです!」
何だそれは?俺は遊華たちみたいに声優でも何でもないんだが?
「何それ?」
「お兄ちゃん!今からそれを説明するんだから静かにしてて!」
「ごめんなさい」
なぜか怒られてしまった。いや、いきなりそんな名前のコーナー出されたら困るじゃん。今更だが、この番組って基本的に遊華がコーナー紹介とかの司会進行をしてんのな。
「お兄ちゃんの余計な横槍が入りましたが、コーナーの説明です!このコーナーではお兄ちゃんこと藤堂遊に言ってほしい事をリスナーさんから募集するのですが、今回はリスナーさんから募集が事前にできていなかったので、スタッフと何人かの声優からリクエストを頂いております!」
アホか……俺は遊華の説明を聞いて頭を抱える他なかった。俺に何かを言わせるとか、誰得?
「遊、諦めよう?」
香月、目をキラキラさせながら諦めるように催促しないでくれない?
「遊ちゃん……これも仕事だよ?」
美月、それはお前らだけだ。俺は一般人だ。番組中じゃなきゃ即刻逃げ出してるぞ?
「もういい。このコーナー早いとこ終わらせよう」
「何?何?お兄ちゃん、やる気になったの?」
「違う。俺はどんな事を言わされるかはわからんが、このコーナーを早く終わらせたいだけだ」
さっきの質問メールよりはマシな内容だろうと俺は信じている!
「じゃあ、早速ですが、お兄ちゃん!」
「おう、どんと来い!」
「最初は香月お義姉ちゃんのリクエストだよ!お兄ちゃん。お題はこちら!」
「はいはい、どんなリクエストかな?」
俺は遊華からメモを受け取り中身を確認する。
「あー、はいはい。納得しました」
俺はメモの中身を見ていかにも香月らしいなと思う。
「じゃあ、お兄ちゃん!はりきって言ってみよか」
「香月、お前は俺だけ見てればいいんだよ!」
「遊……」
リクエストの言葉を読み上げた俺に香月から熱い視線が向けられるが、これって反応していいやつなのか?
「お兄ちゃん!次のリクエストいいかな!!」
「時間もあまりないし、遊ちゃん!イチャイチャしないでもらえるかな!!」
「「ごめんなさい……」
遊華と美月にすごい剣幕で注意されてしまった。
「次は美月お義姉ちゃんからのリクエストだよ!お題はこちら!」
「はいはい……って台詞長くね?」
俺は渡されたメモを確認してみたが、何か台詞が長かった。今はこれだけ言っておこう
「じゃあ、お兄ちゃん!よろしく!」
「美月、お前は俺が守る。だから、お前も俺から離れるな……お前がいないと俺は生きていけない」
「遊ちゃん……そこまで私の事を……」
美月さん?あなたが自分で言わせたんですよ?だから、そんなキラキラした目で俺を見ないでくれ
「何で俺がこんな恥ずかしい台詞を言わなきゃならんのだ……」
このコーナーだけで俺はドッと疲れた……いろんな意味で今日はグッスリ眠れそうだな
「まぁまぁ、次は私からのリクエストだし、そんなに長くないから安心してよ」
「遊華、お前だけはまともなリクエストだと信じている」
「うん!じゃあ、私からのリクエストはこれに書いてあるから」
今度は遊華からのリクエストが書いてあるメモを受け取り、それを確認する。今回も俺が恥ずかしい目に遭うのね
「はぁ……遊華のリクエストと他のリクエストをさっさと終わらせるか」
俺の使命はこのコーナーをさっさと終わらせる事だ!これだけは間違いなさそうだ
「じゃあ、お兄ちゃん!か・ん・じょ・うを籠めてよろしく!」
なぜか感情の部分を強調していたが、この台詞に感情を籠める意味は?
「遊華、一生幸せにする。だから、俺と結婚してくれ!」
何が悲しくて俺は妹にプロポーズせにゃならんのだ
「はい!よろしくお願いします!」
遊華は返事をしなくてよろしい!俺に言ってほしい事のコーナーなんだから
「遊ちゃん!」
「遊!」
美月と香月が怒っているようだが、2人も俺に似たような事させてただろーが
「はぁ、次のリクエストは?」
「あ、うん。次はこれね」
遊華がメモを渡してくるが、さっきと違って態度が冷めてる。自分の番が終わったからってそういう態度はよくないと思う
「よし、いいぞ。バッチ来い」
「あー、はいはい。お兄ちゃん、よろしく」
遊華さん、雑!雑すぎるよ!
「美優、俺はお前がほしい!俺のものになれ」
「あー、うん。いいんじゃない?」
「そうだね~、いいんじゃないかな?」
「遊、お義姉ちゃんとして嬉しいよ」
遊華たちはTHE適当といった感じの反応なんだが……俺の努力は?
「はぁ……次」
どうせ次で最後だ。俺の精神が持たなくなる前にこのコーナーを終わらせたい
「はい、最後のリクエスト」
もう投げやりである。しかも、投げやりなのは遊華だけじゃない。香月と美月も同じだ
「へいへい。そんじゃサクっと終わらせますか」
俺も投げやりだった。だが、リクエストがある以上はきちんとやらないとな。メモの確認もしっかりしないとな
「お兄ちゃん、よろしくー」
うわぁ……もう公私混同とかそんなレベルじゃないぞ
「由紀、愛してる」
冬野さん、今までの中で台詞が短いし、俺の精神にダメージ少なくて何よりな台詞をありがとう
「はい以上、“藤堂遊に言ってほしい事!”のコーナーでした!」
「リクエストはラジオホームページのメールボックスにメールしてください!遊ちゃんが全力で応えます!」
「リスナーの皆さんは遊に愛の言葉は期待しないでくださいね!」
もうツッコまない。例え言っている事が滅茶苦茶でもな……
「さてさて、気が付けばもうお別れの時間ですが、お兄ちゃんは楽しかった?」
「まぁ、楽しかったな。精神的には疲れたが」
「今日をもって遊ちゃんは私たちと同じ事務所所属だもんね~」
「遊は私たちと同じ事務所で嬉しい?」
ん?俺はそんな事は一言も聞いてないぞ。っていうか、俺の聞き違いじゃなきゃ事務所所属とか言われた気がしたんだが?
「ごめん、もう1回言ってもらえる?」
「だから、お兄ちゃんは私たちと同じ事務所なの!」
「はあぁぁぁぁぁぁ!?何言ってんの!?」
ラジオブースに俺の驚きの叫び声が響き渡った
「はい、お兄ちゃんの正式な所属が決まったところでお別れです!以上、お相手は藤堂遊華と」
「藤堂香月と」
「藤堂美月と」
「……藤堂遊でした」
「「「まったね~」」」
「…………」
俺はこの日、ラジオの生放送に強制参加した事と自分の知らぬ間に所属事務所が勝手に決まった事というよくわからない経験をしてしまった。これで俺のした経験は1つ、未来に飛ばされた事、2つ、妹の同僚のストーカーを退治した事、3つ、ラジオに強制参加+所属事務所が決定という事だ
「これで宇宙人と遭遇でもしたら俺の経験値はカンストすんじゃね?」
一言言える事は親父と羽月さん、よく許可したな……これは詳しく事情を聞く必要がありそうだ。または事務所の社長か?一体どうやったら履歴書も出してない俺が所属できると言うんだ?
「お兄ちゃん、帰るよ?」
俺が目の前の現実を受け止めきれていない間に放送は終わり、遊華たちは帰宅の準備を済ませていた。
「おう、今行く」
俺は今日、突然呼ばれたため荷物はない。いわゆる俺は手ぶらで帰っても問題ないし、ここに来た時もお咎めなしだ。こうして俺は遊華たちと共に家路に就いた
今回は前回の話の後篇でした!
遊が突然、事務所所属になりましたが、あくまでも一部のステータスです
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました