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俺が激痛で病院に運ばれる件について

今回は遊が激痛で病院に運ばれる話です

遊の激痛で運ばれた原因は一体・・・

遊の緊急事態に遊華たちはどうするのでしょうかね?

では、どうぞ

 その日、俺、藤堂遊は身体の激痛により目が覚めた。最近激しい運動はしていないし、家事においても特に重いものを運んだ覚えもない。結論から言うと、何だ?この身体の激痛は……


「いってぇ!!何だ?この全身の骨が軋むような痛みは!?」


 俺は痛みの余りつい大声を上げてしまったが、遊華たちが起きないか心配だ


「お兄ちゃん!?どうしたの!?」


 遊華が俺の部屋のドアを勢いよく開けて入ってきた


「遊華か……何でもない」

「あんな叫び声上げといて何でもないわけないでしょ!?」

「い、いや、ほ、本当に何でもないんだ」


 遊華に心配かけまいと俺はなんとかその場をやり過ごそうとした。遊華だけでも大変なのに香月と美月にまで知られたら大変だ


「誤魔化さないの!私はお義姉ちゃん達を起こしてくるから!大人しくしてて!!」


 遊華は入ってきた時と同じ勢いで部屋から飛び出して行った。あまり大事にしてほしくないんだけどなぁ


「遊!!」

「遊ちゃん!!」

「お兄ちゃん!お義姉ちゃん達を起こして来たよ!」


 もう既に手遅れだった……俺としては全身がちょっと痛いだけなんだけどな


「ああ、悪いな。だけど大丈夫だからリビングに行ってていいぞ?それに3人とも今日は仕事だろ?」

「仕事よりお兄ちゃんの方が大事だよ!」


 遊華、それはそれでどうかと思うぞ


「遊ちゃん!今救急車呼んだから!」


 大げさすぎだぞ、美月


「遊!私たちがついてる!気をしっかり持って!」


 香月、俺は別に死ぬわけじゃないからな?


「お、落ち着け……3人とも」


 俺たちが問答を繰り返しているうちに救急車が到着し、俺はあっという間に病院に運ばれた。どうしてこうなった?


『遊君、起きてる?』

「はい、起きてます。入ってきて大丈夫ですよ」


 病室のドア越しに羽月さんの声が聞こえたので、入って来ても大丈夫だという事を伝えた


「入るわね。体調どう?」

「今朝ほど痛みはありませんが、まだ少し痛みます」

「そう……お医者さんの話を聞いてきたけど、原因はわからないそうよ」

「そうですか。わかってはいましたが、やっぱりわかりませんでしたか」

「ええ……そう言えば、後で遊斗も来るって言ってたわ」

「うへぇ」


 親父が来るのか……正直、弄られる予感しかしない


「そんな顔しないの。遊斗も遊君の様子を気にしてるんだから」

「へーい」

「じゃあ、私は仕事あるからもう行くわね」

「はい、わざわざすみません。あ、行く前に1つ確認いいですか?」

「ええ、いいわよ」

「遊華たちはどうしました?」


 そう、真っ先にここへ駈け込んできそうな遊華たちが駈け込んでこなかったのが気がかりだ


「あの子たちは仕事に行ったわよ。まぁ、ここへ来たときは3人とも大泣きしてたけど」

「そ、そうですか……」


 後で遊華たちの仕事の関係者に謝って周るか。俺のせいで仕事が遅れたんだし


「じゃあ、私も行くわね」

「はい、いってらっしゃい」

「ふふっ、行ってきます」


 羽月さんは微笑んで俺の病室を出て行った


「ふう、暇だなぁ~、こんな時に本でもあったら暇潰せるんだけどなぁ……」


 何もない病室って言うのはかなり暇になるのだ。話し相手もいないし、暇を潰せる娯楽もない


「遊~、入るよ~」


 ノックの後に親父の能天気な声が聞こえた。親父は呑気だなぁ、遊華たちとは大違いだ。


「ああ、どうぞ」


 俺は呑気な声と態度をスル―し、親父を中に招き入れた


「遊、大変だったね」

「ああ、まぁな」

「羽月に運ばれた状況と医者に原因を聞いたんだけど、運ばれた時の状況は全身の激痛で原因は不明だって?」

「ああ、そうらしいな」


 親父よ、わざわざ説教でもしに来たのか?それとも息子を心配して駆けつけたのか?


「何でそうなったか教えてあげようか?」

「え……?今何て……?」


 俺は親父が何を言ってるかわからない。俺がこうなった原因を知ってるのか?


「だから、そうなった原因を教えてあげようか?って言ったんだけど……遊、その年で難聴?」

「違うわ!医者ですらわからなかった原因を父さんが知っている事にビックリしてんだよ!」

「ああ、そういう事か。そんなの医者がわからなくて当然だよ」

「え?」


 意味がわからない……なぜ医者がわからなくて当然なんだ?


「驚いてるね。まぁ、仕方ない事だけど」

「そりゃ驚く。それよりも俺がこうなった原因を教えてくれ」

「それは遊が未来に来た反動だよ」

「は?」


 俺は驚きが隠せなかった。未来に来た反動?そんなの今まで生活してきて1度もなかったぞ


「わかってないようだね」

「当たり前だ!そんなの今まで生活してきて1度もなかったからな!」

「だろうね。だけど、その激痛は未来に来た反動なんだよ」


 唐突にそんな事を言われても困るんだが……


「とりあえず、順を追って説明してくれ」

「前にも僕が過去に未来に飛ばされた事は話したと思うけど」

「ああ、それは前に聞いた」

「未来に飛ばされるなんて本来はあり得ない現象なんだよ。まぁ、タイムマシンでもあれば別だけどね」


 親父の言う事は尤もだ。そもそも、俺のいた時代の技術じゃタイムマシンの発明なんて到底無理な話だ


「それは俺が1番よく知っている」

「話を続けるとだね、未来に飛ばされて精神はともかく、身体の方はそれに合わせて成長する。ここまで言えば何が言いたいか、わかるね?」

「つまり、俺の身体の激痛は10年分の成長が一気に来たという事か?」

「おお!大正解!」

「だが、俺の見た目は変わっていないのはなぜだ?」

「それは遊の精神が身体に追い付いてないからだよ」


 つまり、要約すると身体は10年分の成長をしたが、精神がそれに追い付いていないために見た目に変化はないと言う訳か


「なんか話がSF染みているが……言っても仕方ないか」

「元々遊は大人っぽいところがあったから見た目に急激な変化がなかったのが幸いだね」

「それ褒めてる?」

「もちろん」


 いまいち釈然としないが……見た目が変化したら遊華たちと買った服が台無しだからな。助かったと言えば助かった


「で、これから生活していく上での影響は?」

「ん?ないよ?」

「え?ないの?」

「ないよ?だって、反動が来るのは1度だけだし」


 よかった、あの激痛は今日1回で済むのか


「よかった……こんなのが2度も3度も来たらその度に遊華たちが大騒ぎする」

「へぇ~、それは見てみたいなぁ……」


 親父の顔が突然悪い顔になった。あ、これは弄られるな


「言っておくが、弄ったら羽月さんにある事ない事を吹き込むからな」

「うん、自重するよ。けど、これだけは言っておくよ」


 親父はまた悪い顔から真面目な顔になった。ん?何だ?真面目な話か?


「遊華1人に決められないなら、ハーレム作っちゃえよYOU」


 前言撤回、この親父は真面目な顔して何言ってんだ


「ハーレム!?んな事できるわけねーだろ!バカなこと言ってんじゃねぇ!そもそも、遊華は実妹だぞ!?」

「実妹か……まぁ、その事についてはいずれ話すとして、遊」

「何だよ」

「遊華たちじゃ不満か?」

「…………」


 もうアホらしすぎて言葉も出ない……誰か助けてくれ


「まぁ、どうするかは貴方次第!じゃあ、僕はもう行くから」

「あ、おい!待て!」


 親父は俺の制止を無視して病室から出て行った


「はぁ、ハーレムとか何考えてるんだ?父さん(あのバカ)は」


 俺は疲れが出たのかいつの間にかウトウトしていた


「まったく……とうさんは……」


 ウトウトしている時まで親父の弄り癖に困らされるなんて、俺もどうかしてんな……俺の意識はここで堕ちた。ところで、俺っていつまで入院していればいいの?


「んぁ……そうか、俺いつの間にか寝てたんだ……」


 俺はいつの間にか寝てしまっていたらしい……朝にあった身体の激痛は今はもうなくなっていた


「ふぅ、朝の激痛が嘘みたいだ。それにしても、遊華たちは仕事に間に合ったのかな?」


 俺は遊華たちが仕事に間に合ったか否かもそうだが、3人ともグチャグチャの顔のまま仕事に行ったのではないか?という事の方が実は気になっている。


「ちゃんとお化粧くらい直して行ったよ!お兄ちゃん!」


 入口から遊華の声が聞こえた。そういえば、椅子のところに女性もののバッグが置いてあるな


「来てたのか、遊華」

「うん、今日の収録はもう全部済んだから」

「そうか、仕事大丈夫だったか?」

「すごく弄られた。アフレコ現場でもラジオの収録現場でも」

「俺……のせい……だよな?」

「うん」


 そこは否定してほしかったが、今日ばかりは仕方ない。秋野さんのストーカーの件といい今回の事といい遊華には俺の身体の事に関する事でいつも心配ばかり掛けてるな……


「遊華、仕事先の人にはなんて言ったんだ?」

「え?」

「あ、いや、遊華だけじゃないと思うが、俺のせいで仕事に遅れたなら謝りに行こうと思ってな」

「別に遅れてはいないけど、みんな心配してたよ」

「ごめん……」


 俺は遊華だけじゃなくて遊華の仕事先の人にまで心配掛けてたのか……


「美優と由紀なんて泣いてたし」

「ごめん、遊華もう1度言ってくれ」

「美優と由紀がお兄ちゃんが倒れて病院に運ばれたって言ったら泣いてた」


 噂に尾ひれが付いてるのはもうツッコまない。だけど、何で秋野さんと冬野さんが泣くんだ!?ただの友達もしくは同僚の兄だろ!?普通はへぇ~とかふ~んで済むじゃん!


「何で秋野さんと冬野さんが泣くんだ?」

「え?そりゃ、あの2人もお兄ちゃんの事好きだからね」


 好かれてるってのはlikeの意味でだよね!?そうだと言ってよ遊華


「好きってlikeの意味でだよな?」

「何言ってんのお兄ちゃん、loveの方だよ」


 今のは幻聴だよな?そうだよな?第一、俺は秋野さんと冬野さんにloveの意味で好かれる事をした覚えがない。そんな俺が出した結論は……


「そうか、これは夢だな。目が覚めたらきっといつもと変わらない日常に悪魔……いや、鬼みたいな妹の遊華が俺をこき使っているに違いない」


 現実逃避だった。これを夢だと思う事で最近遊華が壊れてきているという事実からも目を背ける事にした


「お兄ちゃん、現実逃避してないで戻ってきてよ」

「止めてくれ、俺は現実を見たくないんだ」

「いくら逃避しても現実は変わらないよ。後、私の事を悪魔とか鬼とか言ってた事についてはじっくり話そうね」

「ひっ!ゆ、遊華!?冗談だよな!?」

「ううん、本気だよ」


 口は災いの元という諺の意味を俺はこの日初めて自身の身体で体感した。うん、余計な事は言うべきではない。こういった部分は多分、親父に似たんだろうな……

今回は遊が激痛で病院に運ばれる話でした

遊の激痛の原因は未来に来た反動でした。

久々の遊斗の登場でしたが、相変わらず・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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