俺と美月が家の隠し部屋を捜索する件について
今回は遊と美月が隠し部屋の捜索をする話です
今日は敬と早川とのWデートの次の日である。昨日は遊んでいる時よりも家に帰って来てからの方が大変だった。香月をお姫様抱っこしている写真を遊華と美月が見つけてしまい、さらにはその事について説明させられる羽目になるとは……でだ、今日は香月と遊華と羽月さんがいない。親父もだが……
「遊ちゃん、2人っきりだね……」
「ああ、そうだな」
まぁ、俺が家にいる事は決定事項なんだが、たまたま美月がオフだった為に美月と2人きりということになる
「遊ちゃん……」
美月が熱い眼差しで俺を見つめてくるが、美月よ、俺に何を求めているんだ?
「何だ?美月?俺にしてほしい事でもあるのか?それとも、俺を熱い眼差しで見つめるのがマイブームなのか?」
そんなマイブームがあってたまるか!なんて思いながらもついつい聞いてしまう。俺も普通の15歳という事か…………
「もう!遊ちゃん!私を何だと思っているの!」
「俺の義姉」
「そういう事じゃなくて!」
美月を何だと思っているかと聞かれたから素直に義姉と答えただけなのに……なぜ怒る?
「美月をどう思っているかは置いといて」
「置いとかないでよ!」
「美月のせっかくのオフだ。遊びに行くか?それとも、家でまったりと過ごすか?」
ある程度の事は昨日のうちに済ませてある。今日やる事は晩飯を作る事しかない。家にいるなら昼飯もだがな
「う~ん、遊びに行ってもいいんだけど、今日は家でまったりしたいな~」
「了解。じゃあ、ちょっと待ってて」
「うん~」
俺は玄関に行ってドアのカギを閉める。訪問者に邪魔されて美月のせっかくのオフを台無しにしたくはないからな……
「よし、玄関のカギは閉めたし、今日は美月とまったりするか」
俺は美月のいるリビングに戻り、美月に玄関のカギを閉めたことを知らせようと思う
「美月、玄関のカギは閉めたし、今日はまったり過ごせるようになったが、何をする?」
「べ、別にそこまでしなくてもいいけど……したい事かぁ~」
美月は顎に手をやり考え込む
「何でもいいぞ」
「じゃあ、家探し!」
「は?」
オフの日に家探しですか、美月さん
「だ~か~ら~、家探ししたいの!」
「何で家探し?」
「前々から思っていたんだけど、私と香月ちゃんがこの家に来てからそれなりに年数経ってるけど、この家の事は最低限の生活圏内の事しか知らないから知りたいな~なんて……」
「あー、そういう事か……そういや遊華でも把握しきれてない部分が家にあったな」
「ええ!?遊華ちゃんでも知らない事がこの家にあるの!?」
美月は驚いているようだが、この家の生活圏外の事は俺と親父しか知らない
「まぁ、俺の本当の母さんにも父さんは教えていなかったし?」
「ほぇ~じゃあ、私たちはもっと知らないのか~」
「そういう事になる」
「じゃあ、私にだけ!私にだけ教えて?ね?」
美月は顔の前に両手を合わせて頼んでくるが……う~ん、どうしたものか……
「じゃあ、ちょっとだけね」
「うん!」
俺は少しくらいなら平気かと思い、美月にこの家に存在する隠し部屋の1つに案内する事にした
「じゃあ、さっそく地下に行くか」
「うん!れっつごー!」
俺と美月は地下に向かって歩き出した
「で、遊ちゃん、地下に来たはいいけど、地下には遊華ちゃんの部屋しかないよ?」
「パッと見はな、だけど、ここをこうしてっと……」
俺は地下の壁のタイルの一部をパズルのピースのように合わせた。
「ほえ~」
壁のタイルを合わせると壁が開き部屋が表れた。こんな仕掛けというか、普通は地下の通路の壁なんて誰も注目しないだろうから見向きもされないし、そこに部屋があるなんて思いもしない
「美月、行くぞ?」
「あ、うん!」
俺と美月は部屋の中へと入った。ちなみに、俺がこの部屋に人を呼ぶのは美月が初めてだ。
「ねぇ、遊ちゃん」
「何だ?美月?」
「この部屋は何の部屋なの?」
この部屋は親父の緊急避難部屋なんだが……さて、何て説明したものか……
「父さんの映画部屋だ」
「へぇ、映画観る為の部屋なんだ~」
「そうなんだよ~」
「遊ちゃん、本当は?」
美月め!薄々感ずいてやがる!本当の事を知られても困るのは俺じゃないから別にいいんだけどね
「父さんの緊急避難部屋」
「え……?」
うん、予想通りの反応をありがとう!
「ほら、今でもあるけど、父さんって美人にすぐに釣られるとこあるだろ?」
「うん」
「今は羽月さんにだけど、昔は母さんに追いつめられた時によくここに逃げ込んでるんだよ」
「へぇ~そうなんだ~」
初対面の時から思っていたが、美月と一緒にいると癒されるし、見ているだけでも癒される。なんかこうポワポワしているからかな?
「ふふっ……いいところを知ったな~」
美月がいいところを知ったと言っているが、一体何の事だ?
「何の話だ?」
「別に~次の部屋へいこ?」
「?ああ、じゃあ次は2階でいいか?」
「うん!」
そんなこんなで2階にやってきた
「2階にはどんな部屋があるの?」
「大した部屋はないが、強いて言うなら映画を見る為だけの部屋だな」
「ふ~ん」
「じゃあ、早速行ってみるか」
「うん!」
俺は勢いに乗っている美月を引き連れて映画部屋に向かう
「遊ちゃん」
「何だ?」
「ここ私の部屋だよ?」
「知ってるよ」
そう、映画部屋に行くって言ってやってきたのは美月の部屋だ。戸惑ったり、驚いたりするのは無理もない
「とりあえず、黙って見てろ」
「うん」
俺は美月のベッドの下を探り、そして……
「お、あったあった」
美月のベッドの下のボタンを押すと……
「おお~」
美月の部屋の壁が大きく左右に開く。まるで和室の襖のように
「中に入るか?」
「うん」
美月は楽しそうに部屋の中へと入って行った
「久しぶりに入るな。この部屋」
「おお~今度は本当に映画の部屋だ~」
美月の言い方だと俺がさっきウソを吐こうとしていたみたいじゃないか……その通りだけど
「ちなみにここには風呂とトイレ以外は揃ってるからな。腹減ったらここで軽食を作るなりすればいいし、眠くなったらここで寝るといいし、喉が乾いたら冷蔵庫から勝手に飲み物をとればいい」
「うん!」
「地下の部屋には風呂とトイレが揃っている以外はここと同じだ」
「遊ちゃん……同じような部屋を造る意味ってあるのかな?」
美月の言う事は尤もだ。親父、何で2階にも同じような部屋を作ったんだ?
「さぁな、俺は父さんじゃないからわからん」
「そうだね~遊ちゃんに聞いてもわからないよね~」
何だかんだで2つしか隠し部屋を周れてない気がするが……美月が満足しているならそれでよし
「他には遊華の部屋以外には香月の部屋とあとは羽月さんと父さんの寝室にもあるんだが、さすがに勝手に入るのはマズイ」
「だね~今日は2つ知れたし、満足満足」
「満足してもらえたところで提案なんだが……」
「何かな?遊ちゃん?」
「今日は地下室の隠し部屋で過ごさないか?あそこなら、部屋から出なくても全部揃ってるし」
「うん!」
俺と美月は地下の隠し部屋で過ごす事が決定した
「遊ちゃん、1つ聞いていい?」
「何だ?」
「これ元に戻るの?」
「ああ、美月の部屋のベッドの下にあるスイッチを押せばな。中からはこのリモコンのスイッチを押せば元とに戻る」
俺はテーブルに置いてあったリモコンを見せて美月に説明した。
「じゃあ、地下の隠し部屋に行くか」
「うん!」
俺と美月は地下の隠し部屋に戻る。美月は地下の隠し部屋で過ごす事に憧れてたのか目がキラキラしている
「さて、ここなら全部揃ってるし、1日どころか年単位で過ごせるぞ」
「うん!つまりはここは遊ちゃんと私の秘密基地みたいなものだね!」
「ああ、そうだな」
美月は地下の隠し部屋じゃなくて、実は秘密基地に憧れてたのか?
「さて、必要な物は持ったか?」
俺も美月も必要な物、簡単に言えば携帯とその充電器を持ったのを確認した
「うん!忘れ物はないよ!」
「じゃあ、入口を閉じるぞ。後、ここは防音設備がしっかりしているから大音量でゲームしても問題ないから」
俺はこの部屋の事について軽く説明をしておく。
「へえ~じゃあ、どんだけ騒いでも問題ないんだ?」
「ああ、そういうことになる」
「じゃあ、外からの音も聞こえないの?」
「内側からの音が聞こえないんだ、外の音なんて聞こえるわけがない」
そう、ここはある意味じゃ無敵の要塞みたいなものだ。
「だが、一応は外の様子を知っておかないとな」
「どうやって?」
俺は3つのモニターが繋がれたパソコンを起動させた
「このパソコンは隠しカメラの映像を再生できる。外の様子はこれで確認する」
「私はこの家が何なのかわからなくなってきた……」
最初は好奇心旺盛だった美月も今じゃ驚きのあまり声も出ないようだ。
「さて、パソコンも起動したし、後は好きに過ごして構わんのだが、何がしたい?」
「お昼寝がしたい!」
「よし、わかった」
俺と美月はこの部屋にある寝室へと向かう。え?俺はどこで寝るんだ?って?言いたくはないが、美月と同じベッドだ。一緒に寝ないと後で文句言われるか、泣かれるのが関の山だ
「遊ちゃん、やけに素直だね?何か悪いものでも食べた?」
失礼な!別に俺は美月と寝なくてもいいんだぞ?この部屋にはカメラに繋がっているパソコンだけじゃなく普通に使えるパソコンもあるんだし、それでアニメとか見てるのもアリだし。そんな事は美月に絶対言わないがな
「ただの気まぐれ。嫌なら俺はこの寝室から出ていく」
「ダメ、遊ちゃんは私と一緒にいるの」
「へいへい、仰せの通りに」
「何か適当な感じで返してない?」
「そんな事はない」
そう、決して適当に返しているなんてことはない。ただ、こんな時くらいは俺の素直さを認めてほしいとは思っていながら返してはいるけど
「遊、私と一緒に寝なさい」
美月さん、キャラ変わりすぎじゃね?
「わかったよ、義姉さん」
俺と美月は今日新たに発見したこの隠し部屋で昼寝をする事が決定した。一瞬美月のキャラが変わった事にはツッコまない。ツッコんだら負けだからな!
今回は遊と美月が隠し部屋を捜索する話でした。いや~、自分の家で滅多に使われてない部屋とか知らない場所ってなぜかドキドキしますよね?
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!