俺と香月が観覧車に乗る件について
今回は遊と香月が観覧車に乗る話です
俺、藤堂遊が遊園地に来てからした事と言えば、敬と2人で話をした、早川を怒らせて地獄の鬼ごっこをした、香月とお化け屋敷に入りイチャイチャした。この3つである……香月とイチャイチャした事は香月の恐怖を和らげる為にした事だがな!結論、遊園地でWデートらしい事をしてなくね?ということで……
「敬、俺と香月は帰る前に観覧車に乗りたいんだが?」
「奇遇だな、俺も望海と2人っきりで観覧車に乗りたいと思っていたところだ」
「つまり、俺たちの利害は一致しているということか」
「そうだな」
偶然にも俺と敬の目的は同じだという事が判明したところで俺たちは行動を開始した
「香月」
「望海」
「何?遊?」
「敬?どうしたの?」
「「俺と観覧車に乗ってくれないか?」」
俺は香月を、敬は早川をそれぞれ観覧車に乗ろうと誘った。
「遊、もちろん2人きりだよね?」
「敬も私と2人っきりで乗りたいんだよね?」
香月と早川は2人っきりであるかを確認してきたが、今更ここにきて4人で乗るなんて選択は俺たちにはない
「香月、当たり前だろ?」
「望海、俺はお前と2人っきりで乗りたいんだよ……言わせんな」
「「嬉しい!」」
「「おいおい……」」
俺は香月に、敬は早川にそれぞれ抱き着かれているが、俺としては観覧車に乗るだけで何をそんなに感激しているのかがわからない
「とりあえず並ぶぞ、香月」
「行きますよ、望海姫」
敬よ、さすがに姫は言い過ぎじゃねーのか?
「……羨ましい」
香月、お前はお姫様扱いされることに照れはないのか?
「だってよ~どうするの~遊君?」
「そうだよ?遊、ちゃんとエスコートしなきゃダメだよ?」
このカップルは余計な事しか言えんのか?
「遊……お姫様扱いしてくれないの?」
香月、そんな悲しそうな顔するなよ……俺が悪い奴みたいじゃん
「はぁ……香月、こっちに来い」
「?うん……」
香月も望んでるようだし、このカップルに一泡吹かせてやりますかね
「香月、暴れるなよ?」
「?うん、暴れはしないけど、遊は何をする気なの?」
「すぐわかるよ」
香月は俺が呼んだ時からそうだが、頭に?を浮かべたままだった
「よっと……」
「え!?え!?ちょ、ちょっと!?遊!?」
香月はいきなりのお姫様抱っこに戸惑っているようだ。だがな香月、今更恥ずかしがっても遅いぞ
「香月姫、観覧車までこの藤堂遊がお姫様抱っこで連れて行きますので、暴れないようお願いいたします」
「は、恥ずかしいよ……遊、下してよ……」
香月は耳まで真っ赤だが、止める気はない
「香月姫、暴れるとケガをしてしまいます。大人しくしていてくださいね」
「は、はい……」
俺と香月は周囲の注目を浴びまくっているが、俺は気にしない。そもそも、お姫様扱いしろって言ったのは敬と早川だが、それを望んだのは香月だ
「遊、お前……大胆なんだな」
うるさいぞ、敬。お前と早川が煽ったせいだろ
「遊、さすがの私もそこまでやるとは思わなかったよ」
早川、お前もうるさいぞ。敬と一緒に煽ったくせに
「まぁ、今回は遊華も美月もいないからな。俺が香月をお姫様扱いしようが、何しようが自由だろ?」
「確かに、今回はここに遊華ちゃんや美月さんはいないな。どれ、写真撮ってやる」
敬は携帯を取り出し、俺と香月に向けた
「遊、身体をこっちに向けろ」
「わかった」
俺は敬の指示通りに身体を敬の方に向けた
「ゆ、遊……この格好で写真ははずかしいよぉ……」
香月は抱っこされている側だから恥ずかしいだろうな
「香月、これも記念だ」
「で、でも……」
「遊華たちに黙っていれば平気だよ」
「うん……」
香月をうまく言いくるめて俺は敬に写真を撮ってもらう事にした
「敬、いいぞ」
「じゃあ、撮るぞ」
敬は携帯のシャッターを切った。後で送ってもらおう。そのついでに敬に釘を刺しておくか……早川と一緒にな
「敬、それを後で俺と香月に送ってくれ。遊華や連絡先を知らないと思うが、美月に送ったら……」
「送ったら?」
「早川が知らないお前の恥ずかしい過去を早川にバラす」
「遊と香月さん以外には送らないと約束しよう」
敬、そう言ってくれると思っていたよ。お前はやっぱりいい奴だ。次は早川だ
「早川、お前も写真を持っているのはいいが、もし他の誰かに送ってみろ。その時は……」
「その時は?」
「お前のある事ない事を敬に暴露する」
「誰にも送らないわ」
よし、早川も黙らせた。これで俺の安全は約束された
「さて、敬と早川を黙らせたし、観覧車に乗るために並ぶか」
並んでいる最中、俺に向けられた視線は男からは殺気と嫉妬・・・主に俺が抱っこしている香月を見てだが。それが俺に向けられた。そして、女からの視線は主に香月に対してだが、羨望の眼差しだった
「遊、1つ言っておく事がある」
「何だ?敬?」
「遊華ちゃんもそうだが、香月さんも声優業をしている事は既に知っていだろ?」
「ああ、知っているが?それがどうした?」
「時すでに遅しかもしれないが……お前らの写真、既にネットにアップされているぞ」
え?敬は今何て言った?
「敬、もう1度言ってくれないか?」
「もう1度言ってやる。お前らの写真は既にネットの至る所にアップされている」
「マジで?で、でもよく香月ってわかったな……」
「ああ、メガネと帽子を被っていて容姿は誤魔化せても声は誤魔化せないからな」
「まぁ、それで炎上する事はないんだが」
なんで!?普通は人気声優が男とデート……しかも、遊園地でお姫様抱っこされたら炎上するんじゃないの!?
「何で炎上する事はないって言いきれるんだ?」
俺は敬に炎上しない理由を尋ねてみた
「そりゃ、あんたの顔なんてネットにたくさんアップされているからに決まっているからよ」
敬の代わりに早川が答える。俺の顔がネットにアップされるってどうゆう事?俺はネットに顔を載せた覚えないんだけど?
「そりゃ、遊華ちゃん、香月さん、美月さんが所属している事務所がアンタの顔写真を載せているからに決まっているじゃない」
「そうか、ところで香月」
「な、何?遊?」
「どうして俺の顔がアップされてるか聞きたいんだが?」
「…………」
この時の香月は一言もしゃべらない上に俺と目を合わせようとはしなかった。香月、なぜ目を反らす?
「まぁ、俺の写真がアップされている件については後で問い詰めるとして……さて、俺たちの番だな」
俺たちが話しているうちにいつの間にか順番がやってきていたらしい
「じゃあ、敬、お先に」
「ああ、楽しんでこい」
「ああ」
俺と香月は観覧車に乗り込んだ。観覧車の係員は顔を真っ赤にして案内してくれたので、ほとんど会話することなく、観覧車に乗り込む形となった
「遊……2人きりだね」
「ああ、そうだな」
「「…………」」
観覧車という密室で俺と香月の間にほとんど会話という会話がなく、沈黙が痛いくらいに感じる
「ゆ、遊は今日は楽しかった?」
「ああ……久々に敬と遊んだし、それに……」
「それに?」
「香月と一緒だったからな、楽しくないわけがない」
「そ、そう……」
「どうした?顔が赤いぞ?」
香月は俯いてはいるが、顔が赤い……
「ゆ、夕日のせいだよ!」
確かに外には綺麗な夕日が出ているが、俯いた状態で夕日のせいにするのは無理があると思うぞ。ここで指摘するのは野暮だな
「まぁ、香月がそういうならそうなんだろうな」
「うん……」
「いい景色だな」
「そうだね……私はまた遊とこんな景色見たいな」
「…………俺も香月とまたこんな景色見たいぞ」
今の言葉に嘘はない。俺は香月とまたこんな景色を見たいと思う
「ん?後ろのは敬たちか……」
「そうだね……」
「あいつ等……密室だからってキスし始めたな」
「うん、そうだね」
「面白そうだから写真撮っておくか」
「止めなよ、遊」
香月は俺を咎めるが、俺は止める気は毛頭ない
「香月、これも記念だ」
「そういうものなの?」
「ああ、そんなもんだ」
俺は香月を適当に言いくるめて敬と早川のキスシーンを写真に収める。無論、あいつ等はキスに夢中でこちらには気づいてない
「うん、よく撮れてる。これを後で敬に送れば……反応が楽しみだ」
「遊……」
「おっと、香月を忘れてはいけないな」
俺は敬と早川のキスシーンを撮影し終えたので、今度は香月の相手をすることにした
「遊、香月を放っておかないで……」
俺が見た時にはすでに香月は幼児化していた
「そうだな、香月、おいで」
「うんっ!」
俺と香月は敬と早川のようにキスはしなかったが、その代わりに観覧車の中でずっと抱き合っていた
「やっぱり、遊……大好き……」
香月が何か言ったようだが、俺には何を言ったかはわからなかった
「さて、一周したし、降りるか」
「うん」
俺たちは観覧車から降りて敬たちを待ち、敬たちは俺たちのすぐ後に乗ったのですぐに降りてきた。うん、当たり前だよな……なんで俺はこんな事を言っているんだか
「よぉ、敬。早川と2人っきりでの観覧車は楽しかったか?」
「ああ、すっごく楽しかったぞ」
「うん……敬と2人ですごく楽しかった」
「それは何よりだ」
俺はこの後の予定を考えると笑いが止まらないが、そこはグッと堪える。なぜなら、俺が帰宅するための足がなくなるからな!
「帰るか、遊」
「ああ、そうだな、敬」
こうして俺と香月、敬と早川によるWデートは幕を閉じた。
「楽しかったな、香月」
「うん!」
香月は俺と遊園地に来るだけで笑顔になれるなんて、俺としても悪い気はしないので、ある意味よかったのかもしれない
「お兄ちゃん!」
「遊ちゃん!」
「な、何だ?2人ともどうした!?」
「「これ!」」
遊華と美月が俺に見せてきたのは俺が香月をお姫様抱っこした時の写真だった
「そ、それは……」
「「説明してもらうまで逃がさないから!!」」
俺はこの後、遊華と美月にこうなった経緯を説明した。そして、腹いせに敬に観覧車で撮った早川とのキスショットを送りつけた
今回は遊と香月が観覧車に乗って敬と望海のキスショットを撮影しました。
敬と望海はキスしましたが、遊は意外とガードが堅いのでキスには至りませんでした
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!