表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/116

俺が早川を怒らせた件について

今回は全体的に遊が望海を怒らせる話になります

 人間変われば変わるもんだなぁ……しかし、敬と早川の変わり様を聞いていて面白い。俺は耐えきれなくなり、後ろに早川と香月がいることにも気が付かず大爆笑してしまった。そこからスタートする俺と早川の地獄の鬼ごっこ……あれはきつかったなぁ……その鬼ごっこが終わった今、俺こと藤堂遊は


「きゃあぁぁぁ!ゆ、遊ぅ~」


 涙目の香月にがっちり腕をホールドされていた。その理由は遡る事数分前……


「遊!私たちの事を笑った罰よ!アンタ1人でお化け屋敷に入りなさい!」

「笑った罰は大人しく受けるとして、なぜお化け屋敷なんだ?」


 俺は早川から1人でお化け屋敷に入る事を要求されていた


「ふふ~ん、遊は知らないの~?」


 早川はすごく厭らしい笑顔を浮かべ俺を見る。あ、そういうことか


「何をだ?」

「ここのお化け屋敷ってものすごく怖い事で有名なんだから!中には実際に幽霊に会ったって噂もあるくらいなんだから」


 早川は俺の予想通り、俺をそのお化け屋敷に放り込みビビッてる姿を見て爆笑するのが目的らしい


「あ、そう。別に構わんが」

「あら、すごい余裕ね」


 まぁ、未来に飛ばされたなんて普通じゃない事を現在進行形で体験している俺にとっては今更幽霊に会うことくらい別に何とも思わん


「まぁな。こうしていても時間がもったいないから行くか。そのお化け屋敷に」


 俺は遊園地のパンフレットで場所を確認し、お化け屋敷に向かった


「ゆ、遊……」


 うつむきながら香月が弱々しい声で俺を呼んだ


「ん?どうしたんだ?香月?」

「遊は平気なの?」


 平気って何がだ?暗い場所か?それともお化け屋敷にいる人間の事か?


「何がだ?」

「そ、その……お化けとか」

「別に?平気だけど?」


 そーいや、美月が前に香月は怖いのが苦手とか言ってたな


「そ、そう……」


 香月よ、お化け屋敷に入るのは俺で香月が心配するような事は何もないんだがなぁ……


「遊1人じゃあれだし、香月さんも一緒に入ればいくね?」


 敬、お前はどうして余計な事を言うんだ?怖いものが苦手な香月に苦行を強いるんじゃない


「あ、それいいね!香月さん、遊と一緒に入っちゃってください!」


 早川、お前もか……


「え?で、でも、わ、私は……」


 ほれ見ろ、香月が涙目で震えているじゃないか


「香月、怖いなら無理に入る必要はない。大人しく外で待っててくれていい」


 俺は香月に外で待っててもいいように言うが……


「あれ?香月さんってひょっとして怖がり?」


 敬のこの一言が引き金となり、香月は……


「そ、そんな事ない!お化け屋敷くらい入れる!」


 怖いと言えない状況になり、香月がお化け屋敷に入る事が決定した。だが、俺はこの2人に安息や笑いのネタを提供するつもりはない!敬も道連れにしてやる!


「俺と香月がお化け屋敷に入るのはいいんだが、敬たちはその間どうするんだ?」

「俺たちは遊たちを外で待ってるわ~」


 敬は間延びした声で待っている事を告げたがそうはさせるか


「そうか、残念だな~早川」

「ん?何が?」


 俺は標的を早川に絞り仕掛ける事にした


「いや、早川が香月と絶叫マシーンに乗ってる間、敬と2人で話していてこんな話が出たんだよ」

「何よ?」


 不機嫌そうではあるが、早川が食いついてきた


「いや、敬がな、もし早川とお化け屋敷に入る事があったら俺がお化けから早川を守るって言ってたんだが、入らないならその機会は永久にないって話」

「ちょ、遊、そんな話はしてないぞ!」


 敬は即座に否定したが、早川さえ落とせばこっちのもんだ


「敬はこう言っているが、本当は早川とお化け屋敷に入りたくて仕方ないんだよ」

「敬……」


 早川は敬を恋する乙女のような顔で見ている。あと少しだな……敬、そんな真っ青な顔をするなよ?俺たち親友だろ?一緒に地獄に落ちようぜ


「後は早川次第だが、どうする?」

「入る!」


 早川、単純な奴だ……こうなれば敬に決定権はほぼない


「ゆ、遊……貴様……」


 敬は恨めしい視線を俺に送ってきたが、最初に余計な事を言ったお前が悪い


 なんてやりとりがあり、俺たちはお化け屋敷に入る事になった。入場はする時に待たされなかったのは幸いだったな。そして、現在はというと…………


「きゃあぁぁぁ!ゆ、遊ぅ~」

「香月、まだ入ったばかりでお化けすら出てないんだけど?」


 涙目の香月にがっちり腕をホールドされているが、まだ入ってからお化けすら出ていない。香月のこれはお化け屋敷の雰囲気とお化け屋敷にいるって意識しすぎてる故か……


「だ、だって~」

「はぁ……香月、ここを歩いている間は俺だけを見てろ。もちろん、俺にくっ付いていてもらっても構わない」

「う、うん……」


 香月が俺の腕をきっちりホールドしたところでお化け屋敷のゴールまで歩き出した


「大丈夫か?香月?怖かったらすぐに言うんだぞ」

「うん、わかった……そういえば、遊に聞きたい事あるんだった」

「何だ?」


 怖いものが苦手な香月がこの状況でしゃべれるなんて、少し余裕が出てきたのか?


「さっき敬君と何話していたの?」

「遊華の事と香月と美月の事」

「そう……」


 俺が簡潔に答えると香月も簡潔に反応する。しゃべれはするけど完全に余裕が出てきたわけじゃないのか……


「ばあぁぁぁぁぁ!」

「きゃあぁぁぁ!」


 お化けが出てきて香月が悲鳴を上げる……うん、俺は最初からわかってた


「ゆ、ゆうぅ~」

「よしよし」


 俺は香月の頭を優しく撫でる。ん?撫でる?これはうまく使えそうだな……まぁ、お化け屋敷の営業妨害をしているわけじゃないし、お化け役の人に害をあたえるわけでもない。怖がりの香月に俺の腕を潰される心配もない……これだ!


「香月、俺はたった今怖くなくなる方法を思いついたんだが……やるか?」

「それをやったら本当に怖くなくなるの?」


 香月は上目使いで尋ねてくる。可愛いな


「ああ、うまく行く保障はないが、香月の気持ちは少しは楽になると思う」

「怖くなくなるならやる……」

「そうか」


 香月がやると決断したし、提案をしたのは俺だ。やりますか


「香月、俺の事どれくらい好きだ?」

「え?私は遊の事は世界で1番好き……ううん、愛してる」

「そうか……俺もだ」

「遊……嬉しい!」


 俺が考えたのはバカップル作戦!簡単に言うと甘い雰囲気を出しながらこのお化け屋敷をただ歩くだけの単純なものだ。普通に街でやるとドン引き間違いなしギリギリの事をしまくる事によって気まずさでお化けが出ずらくする。まぁ、簡単に言うとこんなところだ


「案外簡単に出られたな。な?香月?」

「ううぅっ……ゆう~、怖かったよ~」


 お化けが出てこなかった……いや、お化け役の人に思いっきり見せつけて結局人は出て来ずに驚かす仕掛けしか出てこなかったのに何で?


「香月って本当は暗い場所が苦手なだけだったりして……いや、ないか」


 俺は今だ抱き着いて離れない香月を宥めながら敬たちを待った。まぁ、出る時に後方から敬たちの悲鳴が聞こえたような気がするが、気のせいだと信じたい


「よう、随分驚いてたみたいだな敬、早川」


 俺は敬と早川が出口からゲッソリした状態で出てきたがそんな事は気にしない


「ゆ、遊……お前……」

「どうした?敬?お前、心なしか顔が怒って見えるぞ?」


 それにチャラ男口調はどうした?


「そうか、お前のせいで俺と望海がどれだけ大変な思いをしたかを聞かせてやる必要があるみたいだな……」

「俺のせい?何で?」


 意味がわからんぞ……そもそも俺は早川に言われた通りお化け屋敷に入ってきたじゃないか


「お前のせいで、俺と望海はお化け役の連中から“カップルくたばれ!”と言いながら襲い掛かられたわ!!」

「襲い掛かられるのが俺のせいだと決めつけるのはよくないと思うんだが?」

「そうか、お前のことだから“バカップルイチャイチャ作戦”とかで俺らに嫌がらせしているのかと思ったぞ」


 その事は考えてなかったな。まぁ、敬もこれに懲りてチャラ男口調を直せばいいんだが


「そんなわけないだろ?ところで早川はどうした?一緒じゃないのか?」

「望海ならあそこだ」


 敬が指差した先で早川は……


「ゆ~う~!あ・ん・たねぇ!」


 早川は鬼のような殺気を放っていた


「敬、あの猛獣は任せた。俺は香月と観覧車に乗ってくる」

「あ、おい!遊!ったく、望海」


 俺は香月の手を引き観覧車へと向かった。もちろん、香月には有無を言わさない。香月が“ちょ、ちょっと、遊!?”なんて言ってたが俺が助かるためだ。許せ香月


「遊、敬君たちは放っておいていいの?」

「ああ、大丈夫だ。それに、いくら敬が早川に相応しい男になりたいからと言っていつまでもあれじゃダメだろ?」

「それはそうだけど……」


 香月はまだ何か言いたそうだな……


「香月は俺を見た目で好きになるのか?それとも人間性で好きになるのか?」

「そんなの決まってる!見た目は関係ない!私は遊の人間性を見て好きなんだから!」

「早川も同じだと思うぞ」


 俺は観覧車に乗ろうとと観覧車の方角へ向かっていたが……


「敬たちのところへ戻るか」

「うん」


 敬たちの事が気になって戻る事にした


「よぉ、敬」

「遊、置いてくとか酷いわ~」


 気になって戻ってみると敬は俺がいない間にチャラ男口調に戻っていた


「敬、その口調は戻さないのか?」

「あ~、どうしよう」

「いや、どうしようって自分の事だろ?」


 敬はひょっとして自分の事すら自分で決められない情けない奴になっているというのか……


「いや自分の事だし、もうそろそろ飽きてきたしいいかな~って思ってたところなんだが、止めるに止められなくなってな」

「…………は?」


 え?何?じゃあ、俺と再会した日も含めて面白そうだからやってたの?そのキャラ


「俺に話してた早川に相応しい男になるっていう件は?」


 俺は敬と2人の時に話していたことを確認した


「それなら、とっくの昔に解決してるわよ」


 今まで香月と話していたであろう早川がいつの間にか俺の後ろにいた


「え?どういう事?」

「私は敬の見た目じゃなくて中身を好きになったの。それは敬にも伝えたわ」

「あ、ああ」

「私は進学や就職の為に染めていた髪を黒に戻して言葉遣いも直した。敬はまぁ……遊がいなくなってから一時期コスプレにハマってね……今の口調はコスプレする時にキャラの口調を真似てたんだけど、その時の名残を時々使ってるだけなのよ」


 じゃあ、完全に俺の早とちりじゃねーか!


「じゃあ、俺と再会した日も……」

「あ、それは遊をからかっただけ」

「敬!」


 俺はこの後、全員にメチャメチャ笑われた……早川もお化け屋敷の事はすっかり忘れてくれていたのは助かったが、その代わりに俺は恥ずかしかった……だが、まぁ、後は観覧車に乗って帰宅するだけだ




今回は遊が望海を怒らせてばかりで最後に敬のチャラ男化の意外な理由が判明しました

香月とのお化け屋敷のシーンもうちょっと増やせばよかったかなぁ・・・とも思いました・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ