表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/116

俺がストーカー退治をする件について

今回はストーカー退治する話です。

 俺は妹・遊華の同僚である秋野美優のストーカーを退治すべく激辛水を作り、秋野さんに帰宅する事を命じた。しかし、秋野さんは1人で帰宅する事に恐怖を感じているらしい。まぁ、ストーカーにつけ回されているんじゃ当たり前か……じゃあ、俺が彼氏のフリして秋野さんと帰宅しますか


「お兄ちゃん……大丈夫なの?」

「大丈夫だって、心配すんな」


 俺は遊華の頭を優しく撫でてみるが、遊華の不安は拭いきれそうにない


「さて、俺はちょっと着替えてくるから」

「うん……」


 不安そうな遊華たちをリビングに残し、俺は部屋へと戻る。親父が試しに買ったとあるものを着るために


「確か書斎にあったはずなんだが…………」


 俺は部屋に戻る途中に親父の書斎によってあるものを拝借した。ついでだ、服も親父から拝借しておくか


「さて、こんなもんか……できればなければいいんだが、用心に越した事はない」


 それにしても、直に着ているせいで上半身の状態が大変な事になってる……


「この恨みは秋野さんのストーカーにでもぶつけるか」


 世間ではこういうのを八つ当たりって言うんだろうなぁ……我ながらなんて理不尽な……と思いつつも秋野さんが抱いた恐怖はそれ以上だったりもするもんで


「仕方ないよな……まぁ、ケガさせないようにって配慮しているだけでもありがたく思ってもらいたいな」


 しみじみと思う……純粋なファンはいいとして、熱くなりすぎてストーカー行為をするのはよくないだろ


「ん?何だこの袋は?」


 俺は今現在は自室として使っているが、元は親父のパソコン専用の部屋……つまり、親父専用の部屋であり、何があるかわからない。俺は今、その何かを見つけてしまったわけだが


「これ使えるかも」


 使えるかもしれないと感じた俺はすぐさま服の下のちょうど心臓の辺りにそれを仕込んだ


「よし、準備完了!」


 準備ができた俺は遊華たちの待つリビングに行くために部屋を出た


「遊華、準備できたか?」

「うんってお兄ちゃんその服……」

「父さんの部屋から秋野さんの隣を歩くに相応しい男だろうと思われる服をチョイスして着てみたんだが……似合う?」


 似合う?って言っても黒いTシャツに黒いジャケットに黒いハーフパンツなんだがな!これなら下に着ているあるものも目立たないだろうし


「よく似合ってます!お兄さん!」

「うん、いい感じだよ!お兄ちゃん!」

「…………」


 遊華と秋野さんは素直に褒めてくれたが、冬野さんはどうしたんだろ?ボーっとしてるが、風邪か?


「どうしました?冬野さん?」

「…………こいい」

「え?」

「かっこいいです!遊さん!」

「そ、そうですか……」


 冬野さんはもの凄い勢いで俺に迫ってきた……うん、ちょっと近くね?


「おほん!」

「「!?」」

「お兄ちゃん!」


 遊華がすごい形相で俺と冬野さんを睨みつけていた


「は、はい!」

「準備できたなら行くよ!」

「はい」


 今の遊華に逆らったら、殺される……!俺は本能的にそう感じてしまった


「空は綺麗な夕日なのに、目の前の遊華は暗黒とか笑えねぇ……」

「お兄ちゃん!何か言った?」

「何でもありません」

「「あはは……」」


 俺は遊華を刺激しないようにしかできなかったし、秋野さんと冬野さんは苦笑いしかできなかった


「ふん!」


 遊華は遊華でなんか怒ってるみたいだし


「こんな事で大丈夫なのかな……?」


 秋野さんの疑問が空へと消えたが、俺も同じ疑問を抱かずにはいられなかった


 遊華の機嫌をとりつつ、電車とバスを乗り継ぐ事1時間半が経過し、ようやく秋野さんの家に到着した。


「どうやらストーカーはまだ来ていないらしいな」


 俺は一応、周辺を確認したが、それらしい気配や秋野さんの部屋の前にそれらしい物は見当たらなかった


「じゃあ、遊華と冬野さんは計画通りによろしく。秋野さんは俺と来てください」

「うん!」

「「はい!」」


 俺たちは遊華たちと別れ、駅前まで戻った


「さて、駅前に戻ってきましたね」

「そうですね……」

「大丈夫ですよ、秋野さん」

「え?」

「俺が守りますから」


 俺は秋野さんを少しでも安心させようと思い、遊華と同じように手を握ってしまった


「あっ……」

「ご、ごめんなさい!つい遊華にしているようにしてしまって……」

「い、いえ……」


 俺と秋野さんは気まずい雰囲気になってしまった


「い、行きましょうか」

「そ、そうですね」


 付き合いたてのカップルか……心の中でツッコミを入れつつ秋野さんと2人で秋野さんのアパートに向かった。っていうか、来た道を戻るだけなんだけど


「ん?何だ?この誰かに見られている感じは?」

「お兄さん、どうかしましたか?」

「秋野さん、誰かにつけられてます」

「え!?」


 秋野さんは驚いて辺りを見回そうとした


「大声を上げないでください。ついでにきょろきょろもしないでください」

「は、はい……」


 俺は後ろを確認するためにスマホのカメラを自撮りできる状態にして相手に気付かれないように撮影した。こういう時にあると便利な無音カメラ


「秋野さん、この人に見覚えは?」


 俺は撮影した写真を見せ、秋野さんに確認してみた


「ありません……マネージャーでも知り合いにもいません」

「そうですか」


 相手は顔を隠しているし、今の状態で知り合いかどうかを確認する俺もどうかと思うが、それでも、現時点での確認は必要だ。


「秋野さんのアパートの近くに着ましたね」

「ええ……」


 既に恐怖が限界を迎えようとしているのか、口数が少ない


「秋野さん、この辺で仕掛けてみますか?」

「え?」


 よし、秋野さんがキョトンとしたぞ!とりあえずはストーカーから気を反らせそうだ


「秋野さん、俺と腕を組んでください」

「え?え?」

「後ろの人物が何者かわからない以上は俺と秋野さんが恋人同士のフリをして相手を煽るしかないんです」

「は、はい」


 顔を赤くしないでもらえません?いや、俺も恥ずかしいんですけどね?


「それじゃどうぞ」

「は、はい……」


 俺と秋野さんは腕を組んでアパートの前までやってきた


「お、お前!ぼ、ボキの美優タンに何してるんだ!」


 何か変なの出てきたんですけど……え?あれがストーカー?っていうか、ボキってマンガみたいな一人称……それでいて何だろう……妖精の子供を彷彿とさせる何かを感じる……


「秋野さん、知り合いですか?」

「う、ううん……知らない人」

「だ、そうですけど?あなたは誰ですか?」

「ボキは美優タンの彼氏だ!!」


 ボキっ子……ないな。目の前の自称彼氏が今回のストーカーと見て間違いなさそうだ。ここで特徴を説明しておくと、太った見た目に多分3~4日は洗ってないであろう頭髪、そして、大量にかいている汗……言葉じゃ言い表せられない何かを感じている俺がいる


「お兄ちゃん!」

「遊さん!」


 遊華と冬野さんも登場しちゃったよ……俺がやる事は変わらないが、少々厄介だな


「秋野さん、遊華たちのところへ」

「は、はい!」


 俺は秋野さんを下がらせると自称彼氏の方を向いた


「あなたですか?秋野さんの部屋の前に日用品を置いたり、メールを出したりしたりしたのは?」

「そうだ!ボキの美優タンへの愛を伝える為にね!」


 いやいや、自称彼氏さん?それは愛って言わないんですよ?


「オエッ、気持ち悪っ!」


 俺は心の底から吐き気がした


「な、何だと!?ボキのどこが気持ち悪いんだ!!」


 自称彼氏は怒りで顔が真っ赤だが、普通は気持ち悪いと思うんだけど


「全部ですよ。秋野さんに身勝手な愛を押し付けたり、愛ある行動とか言って人の家の前に物を置いたり、変なメール送りつけたり」

「こ、この!言わせておけば……」


 自称彼氏……いや、ストーカー男は懐からナイフを取り出した


「「「!?」」」


 遊華たちはビックリしているが、俺には予想通りの展開だ


「それを取り出してどうするんですか?秋野さん殺しますか?それとも、俺を殺しますか?どの道あなたにゃ無理そうですけどね」


 俺はストーカー男が秋野さんたちに危害を加えないように挑発した


「こ、このー!!」


 ストーカーは俺を刺すつもりなのか、こちらに向かって走ってきた


「お兄ちゃん!」

「遊さん!」

「お兄さん!」


 遊華たちの叫ぶ声が聞こえてくる。気がついたら野次馬もたくさんいるし


「フゥフゥ……ボキをバカにするからだ!」


 俺の腹部からは血が大量に出ているが、これは俺の血じゃないし、俺はかすり傷1つ負っていない


「だって、馬鹿でしょ?」

「え?」

「お兄ちゃん?」

「遊さん?」

「お兄さん?」


 ストーカー含めてその場にいた全員がどうして?という顔をしている


「普通にしてたら大ケガしてたかもしれないが、生憎だったな。準備は万全なんだ」


 俺は服を捲り、その下に着ていた少し厚めの防弾チョッキと血糊の袋を見せた


「そ、そんな……」


 こうして、ストーカーは警察に連行され、秋野さんたちと俺は事情調書を受けてから家に戻った。ちなみに俺は警察の人からこっぴどく叱られたが、秋野さんが相談しに行った時の対応の仕方を盾に難を逃れた


「ようやく終わったか……」


 俺は自室に戻り、着替えて散らかした物を片付け作業が終わったので一息ついていた。俺はこの時は相当疲れていたのかもしれない……遊華がノックもせずに部屋へ入ってきた事に気が付かないなんて……


「お兄ちゃん……」

「ん?うわっ!」


 俺は後ろにいた遊華に押し倒された。そして、遊華のその目からは光が消えていた


今回はストーカー退治をする話でした。遊は万が一の事を考えてちゃんと万全の対策を用意していました!まぁ、激辛水の水鉄砲は結局無駄になってしまいましたが・・・もう1つの遊個人が用意した物は役にたって何よりです。皆さんは遊の対策等は決して真似をしないでください

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ