遊華たちが激辛ソースの餌食になる件について
今回は遊華たちがいろんな意味で激辛ソースの餌食になります
俺、藤堂遊は妹の同僚である秋野美優のストーカー退治をすべく道具を買いに出た。現在は家に帰ってきたが……現在、俺はその道具を作らずに遊華たちの昼飯を作っていた。そう、俺特製の激辛カレーをな!もちろん、今日の昼飯の献立は伝えてあるが、それが激辛である事は伝えていない。
「さて、遊華たちに激辛カレーでも振る舞いますか」
果たして激辛カレーを食べた時の遊華たちはどんな反応してくれるのかなぁ……今から笑いが止まらない
「遊華ー、カレーのリクエストあるかー?」
せめて遊華たちには肉類メインのカレーか魚介類メインのカレーかを選ぶ権利をあげよう
「リクエストって何ー?」
俺の言葉が足りなかったのか、遊華がリクエストについて問い直してきた。うん、今のは俺が悪いな
「肉類メインか魚介類メインか」
「私的には魚介類メインがいいけど、美優と由紀はどっちがいい?」
「私も魚介類メインがいいな」
「私も魚介類メインでお願いします」
「だってさー、お兄ちゃーん、聞こえたー?」
「おう、バッチリ聞こえたぞ」
遊華たちから魚介類メインのリクエストがあったし、魚介類はイカとホタテがあったし、これでいくか
「さて、じゃあ、まずは魚介を茹でるか」
俺は魚介類を茹でる間の時間を利用し野菜類を切り分けた
「魚介もいい感じだし、野菜投入!」
魚介をそのまま茹でつつも野菜を投入する。これが俺流のシーフードカレーの作り方だ
「さて、野菜が固いうちにルーを投入してっと」
後は野菜が柔らかくなるまで煮込むだけだが、忘れちゃいけない本日買った激辛ソース!
「この激辛ソースを入れてっと」
さすがに激辛ソースとなると匂いが若干キツイ
「さて、後は煮込むだけだ。激辛ソースも感じさせないし」
激辛ソース入りカレーと付け合せのサラダとデザートが完成し、俺は遊華たちがどんなリアクションをとるか楽しみになってきた
「3人ともできたぞ」
今回はキッチンから声を掛けずにリビングに直接伝える事にした
「あれ?珍しいね。いつもならキッチンから声掛けるのに」
「あ、ああ、たまにはできたって言った時の遊華の可愛い顔を見たいんだよ」
「そ、そんな可愛いだなんて……」
上手い事誤魔化せたみたいだな……今更ながら遊華に激辛カレーを食わすのに罪悪感が
「遊さん、運ぶの手伝いますよ」
冬野さん相変わらず真面目だなぁ~
「私もお手伝いしますよ~お兄さん」
今回は秋野さんも手伝ってくれるのか……
「私も手伝うよ!お兄ちゃん」
遊華は2人に対抗しているのかは知らんが、慌てて名乗り出た。別に手伝ってくれなくたって遊華を嫌いになったりしないのに
「遊華は俺が盛り付けたカレーを運んでくれ、冬野さんはサラダを、秋野さんはデザートをお願いします」
俺は遊華たちに指示を出し、気まずい状況になる事を回避する事に成功した
「さて、全員分のカレーが揃ったところで」
「「「「いただきます!」」」」
遊華たちはすぐにカレーに手を付けたが、俺はすぐには手を付けなかった。なぜなら……
「「「辛ッ!!」」」
こうなるからだ。今の遊華たちはとてもじゃないが、人に見せられるような顔じゃない。声優という職業で、多くのファンがいる遊華たちだが、今の顔を見たファンはどう思うんだろう
「ふふっ……」
俺は笑いを堪える事もせずにその場で大爆笑してしまった。で、その後どうなったかと言うと……
「…………ごめんなさい」
「「「…………」」」
俺は遊華たちに正座させられていた
「お兄ちゃん……朝ので懲りたんじゃないの?」
「はい……」
「遊さん、お昼ご飯をご用意して頂いたことには感謝しています。しかし、あの激辛カレーはどういう事ですか?」
「皆様に少しでも美味しいものを食べて頂きたいと思い、試行錯誤した結果ございます」
「お兄さん、本当はイタズラをしようとして激辛ソースを入れたんじゃないんですか?」
「…………黙秘権を行使します」
俺は秋野さんの鋭い質問に黙秘権を行使する他なかった
「お兄ちゃん」
「遊さん」
「お兄さん」
遊華たちの視線がさらに鋭いものになった
「ごめんなさい……イタズラと少し人体実験のつもりで入れました」
俺は遊華たちの視線に耐えきれずに自白してしまった
「オニイチャン」
「ユウサン」
「オニイサン」
「はい」
「「「私刑!!」」」
俺は今日2度目となるお仕置きを受ける羽目になった
「ようやく終わったか……」
朝は遊華のみに対してイタズラをし、お仕置きされたが、今回は秋野さんと冬野さんも一緒だったので軽いもので済んだ。何を根拠に軽いか重いか?だって?そんなの俺の身体にダメージがあるかないかだ
「私的にはもう少しお兄ちゃんに甘えていたかったんだけど」
遊華はいつもとしている事かわってないだろうが
「私はお兄さんにできればバニーガールの恰好してほしかったなぁ……」
やめてください秋野さん。俺は男としてそれだけはしたくない
「私はスク水を着てほしかったです」
冬野さん、それはもっと嫌です。気をしっかり持ってください
「さてと、じゃあ、作りますか」
「「「何を?」」」
遊華たちはキョトンと首を傾げている。可愛い……じゃなくて当然の反応だな
「ストーカー退治に使う水鉄砲の水」
「「「はい?」」」
これまた訳がわかりませんと言った顔をしているな
「秋野さんがどういう訳か、ストーカーの事で警察に相談したとか事務所に話したっていう話を1つも聞かない以上はケガさせない範囲での武器は必要だろ?まぁ、事務所には言いづらいし、警察だってすぐに動いてくれるってわけじゃないから仕方ない部分はあるが」
「「「なるほど……」」」
俺たちは水鉄砲に入れるストーカー退治専用の水を作り始めたのだが…………
「あの……お兄さん?」
「何ですか?秋野さん」
「水を作るって言っても私たちは何をすればいいんですか?」
「あ……」
まだ3人には説明してなかったな。忘れてた……
「説明するの忘れてたな」
「うん、私たち何も聞いてないよ」
「さっき買った激辛ソースあるだろ?」
「うん」
「あれを水に溶かす」
「お兄ちゃん、それだけ?」
「ああ、それだけだ」
遊華たちは俺の説明を聞くとすぐに作業にとりかかった
「ううっ……目が痛い……」
「私も~……」
「私もだよ……」
遊華たちは涙目になりながら激辛ソースを水に溶かしている。無論、俺もだ
「よし、もういいか」
ちょうど4人分の水鉄砲に満杯に入れても大丈夫な量の激辛水が完成したので、作業を止める
「後は水鉄砲に入れるだけなんだが……遊華たちは……聞くまでもないか」
遊華たちは涙目になりながら首をこれでもかというくらいに横に振っている。うん、嫌なんだな。言われなくてもわかるぞ
「わかった、俺1人でやるから、そんな涙目すんな。な?」
俺は水を入れる前に3人を宥める事にした。ついうっかり忘れそうになるが、この3人は元の時代だと年下なんだが、今は俺よりも年上だ
「ようやく宥め終わった」
遊華たちを宥め終わった俺は水鉄砲に激辛水を入れ始めた
「ふう、これで全部か。あとは袋に入れてっと」
俺は水鉄砲をキッチン用の袋に入れて用意をした
「秋野さん」
「なんですか?お兄さん」
「泊まりセットは置いていって構いません。だけど、一旦家に帰ってください」
「え?」
秋野さんは俺が帰宅を命じると途端に不安そうな顔になった
「ちょっと!お兄ちゃん!いくらなんでもそれは酷いんじゃい!?」
「そうですよ!遊さん!」
遊華と冬野さんは俺に食って掛かってくるが、俺だって何も考えてないわけじゃない
「まぁ、落ち着けよ2人とも。それから、秋野さんも不安そうにしないでください。大丈夫、策があってこその帰宅ですから」
「「「え?」」」
「いや、ストーカーって対象が1人になった時に襲い掛かってくると思うんですよ。ですから、これ持っててください。俺たちは隠れて待機してますから」
「はい……」
遊華と冬野さんは秋野さんに寄り添っている。この様子だと1人での帰宅は無理そうだな……もう1つの策でいくか
「もう1つ策がありますが、聞きますか?」
「「「聞きます」」」
遊華たちは真剣な表情で俺の策を聞く事を決意したらしい
「もう1つは俺が彼氏役で秋野さんと帰宅するって策なんですけど……こっちにしましょう」
俺は遊華たちに有無を言わさずに決定した。まぁ、それなりに準備をするけど……
「お兄ちゃん……」
遊華は俺をただ見つめてきたが、心配するな。俺は簡単にストーカーにやられる事はしない
今回は遊華たちが激辛ソースの餌食になりました。次あたりでストーカーを撃退したいなぁと思います
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!