遊華が不安になって冬野さんとは対決擬きをする件について
今回は遊華が若干不安定になったり遊が冬野さんと対決擬きをします
俺、藤堂遊は今非常に困っています。何で困っているか?だって?それはだな……目の前の妹が原因なわけだが、こうなった経緯から説明しなきゃいけないよな……はぁ、非常にめんどくさいが仕方ないか
あれは俺が夜中にトイレに行きたくなって起きた時だ
「酒は飲んでないが、遊華たちが酒盛りしてた時にジュースを飲み過ぎたか……トイレに行くか」
俺は遊華たちを起こさないようにそっと布団から出てトイレに行った
「ふう、すっきり。さて寝るか」
俺はトイレを済ませ、部屋へと戻ろうとした
「お兄ちゃん?」
「ん?遊華か……どうした?」
「私は飲み物を飲もうと思って起きたんだけど、起きたらお兄ちゃんがいなくて」
「俺はトイレだ」
「そう」
遊華の表情は心なしか暗いように見える
「顔が暗いがどうした?」
「怖い夢を見たの。それもお兄ちゃん関係の」
「そうか」
俺は具体的な内容を聞く事を避け、あえて一言で済ませるようにした
「内容は聞かないんだね」
「わざわざ怖い思いしたのを思い出させる事もないだろ」
「遊華」
「何?お兄ちゃん」
「少しソファーにでも座るか?」
「うん」
俺と遊華は暗いリビングのソファーに2人で腰かけた
「10年前じゃあり得ない状況だな。遊華とこうして2人並んでソファーに腰掛けるなんて」
「うん、いつもならお義姉ちゃんかお義母さんがいるもんね」
「そうだな」
「しかも、電気も点けずに2人こうしているなんて……なんだか不思議な気分」
暗くてよく見えないが、遊華はさっきよりは落ち着いているような感じに思える
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?何だ?」
「手を握っていい?」
「それくらいならいいぞ」
遊華はそっと俺の手を握ったが、その手は震えていた
「お兄ちゃん……しばらくこうしてて」
「ああ、なんなら抱きしめてやろうか?」
俺は少しでも空気を和らげようと冗談を言ってみたが……
「うん、抱きしめて」
「マジで?」
冗談が冗談にならなかった。状況と遊華の精神状態考えろよ俺のバカ
「うん、マジ。それともさっきのは冗談だとでも言うの?」
「いや……冗談ではないが……」
さすがにこの状態で冗談でした。なんて言えるわけもなく……
「俺が言い出したことだ……おいで、遊華」
「うん……」
遊華は俺の腕の中にスッポリと収まった。
「これじゃ遊華の部屋には戻れないな……俺の部屋に行くか」
「うん……」
俺と遊華は遊華の部屋ではなく、俺の部屋へと向かう事にした
「さて、俺の部屋に来たはいいが、ここで寝るのか?」
「うん……」
「さすがにまずくない?秋野さんと冬野さんは遊華の部屋で寝たままだし」
「あ、それなら大丈夫」
遊華よ、何が大丈夫なんだ?
「大丈夫って急にいなくなったらまずいだろ」
「大丈夫だよ。もうすぐ来るから」
「そうか、それなら安心だな……ん?もうすぐ来る?」
遊華に“もうすぐ来る”の意味が何を指すのか尋ねようとしたタイミングで
「遊華ちゃん、来たよ」
「前の遊華の部屋の隣って聞いて不安だったけど、ここであってたみたいだね」
遊華の部屋で寝ているはずの秋野さんと冬野さんが部屋のドアを開け、入ってきた
「何で2人がここにいる」
「そりゃ、私がここに来てって言ったから」
遊華はあっけからんとして答えた。さっきまで震えていたのは演技だったの?
「遊華、さっきのは演技だったのか?」
「ううん、お兄ちゃん関係で怖い夢を見たのは本当だよ。けど、お兄ちゃんがトイレに立った時に私たちは起きていたからね。お兄ちゃんの部屋に来るときに咄嗟に2人に連絡しておいたの」
なるほど、遊華はリビングからここへ来るときにちゃっかり2人に指示を出してたという事か
「んで?どうするんだ?遊華の部屋に戻るのか?」
「遊さん、私たちも今日はここで寝ます」
Oh……別に4人で寝る分の布団はあるし、スペース的にも問題はない
「今更遊華たちに部屋へ戻れなんて薄情なこと言えないし……ここでみんなで寝るか」
みんなでここで寝る事は構わないが、普通は同僚の家に1週間も泊まるか?仮に泊まるのはいいとしても、他人の家の家族と一緒に寝るだろうか……しかも、異性と
「謎は深まるばかり……というか、遊華たちのお泊り女子会は最初から疑問しかないが……起きてから聞くか」
俺は疑問を感じながらも睡魔に身を委ねた。
「朝だな……さて、朝飯でも作るか」
俺は遊華たちを起こさないように移動し、キッチンに……
「遊さん、おはようございます」
行けませんでした。冬野さんが起きていたからな!
「冬野さんはまだ寝ていても構いませんよ」
「いえ、手伝いますよ。美優は久々にぐっすり寝ているようですから」
「そうですか、俺としても聞きたいことがあったのでちょうどいいです」
俺と冬野さんはキッチンに移動する事にした。遊華とこの人たちには聞きたい事もあったし、ちょうどいい機会だ
「さて、朝飯の準備の前に聞きたいことがあります」
「?何ですか?遊さん」
「遊華含めたあなた方3人に何かありました?」
「!?」
冬野さんは驚いた様子で俺を見てきた。いや、そんな顔で見られても……昨日、俺と一緒に寝たいとか言い出した時点で変だなとは思うからね?
「図星ですか」
「私たちに何かあったとして、遊さんはどうするんですか?」
冬野さんはキッ!と俺を睨みつけてくるが、俺は別にどうもしないし、どうするつもりもない
「別にどうもしませんが?」
「そうですか……なら、私もお話するつもりはありません」
おー、冬野さん強気だねー、でも俺は冬野さんの部屋での一言で2つの仮説を立てたから抵抗しても無駄なんだけど
「まぁ、冬野さんが答えてくれなくても俺が言い当てればいいだけの話なんですけど」
「すごい自信ですね。遊さんに当てられるんですか?」
「さぁ?どうでしょうね?」
何か推理系マンガかバトル系マンガの王道みたいな展開になっているが、俺は別に勝つつもりで挑んでないし…………
「せいぜい頑張ってください。遊さん」
だから、そんな王道の挑発やめーや!それ負けフラグだし!
「ええ頑張りますよ。別に俺は秋野さんがストーカーされてるとか、脅迫メールが届いているなんていう事なんて知りませんし」
「!?どこでそれを……」
冬野さん!?わかりやすっ!この人嘘とか吐けないだろ!?
「いや、冬野さん俺の部屋で俺が寝てていいって言った時、自分で何て言ったか覚えてます?」
「手伝いますって言いましたが、何か問題でも?」
「いや、そこは問題ではなく、問題はその次です」
「その次ですか?」
「ええ、冬野さんは“美優は久々にぐっすり寝ている”と言ったんですよ」
俺は部屋で冬野さんが言った言葉を復唱してみせた
「それが何か?仕事が忙しくて寝てなかった事を知っていたら言うと思いますけど?」
「じゃあ、遊華と秋野さん、冬野さんでいいと思いますけど?俺がいる必要はない」
「…………」
冬野さんは黙ってしまった。え?もうギブ?マジで?
「まぁ、これは推測でしかないんですが、秋野さん、ストーカーされてるんじゃないですか?」
もう隠しきれないと観念したのか、冬野さんは無言で頷いた
「しかも、帰宅したら家の前に何らかの品が置いてあった。違いますか?」
「はい……私と遊華も美優の部屋へ泊まりにいったのですが、次の日の朝には3人分の日用品が置いてありました」
当てずっぽうで言った事が本当に当たるとは思ってもみなかった。いつの時代にもいるんだな……行き過ぎた奴ってのは
「対策はなくはないですが、とりあえずは朝飯を作りますか」
「遊さんは美優を助けてくれるんですか?」
冬野さんはなんて友達思いなんだろうか……
「できる範囲では……」
「遊華の言う通り、絶対とは言わないんですね……」
「ええ、できない約束はしない主義なんで」
冬野さんの視線はキラキラしていたが、そろそろ調理を開始したい……
「冬野さん、朝飯の準備しましょうか」
「はい!」
俺と冬野さんは朝飯の調理を開始した。
ちなみに今日のメニューはホットケーキとフルーツの盛り合わせである。
「できましたね」
「そうですね」
何だろう、簡単なメニューのはずなのに何でこんなに感動するんだろう
「じゃあ、遊華たちを起こしに行きますか」
俺と冬野さんは遊華たちを起こしに行くのであった。別に魔王の城に行くわけじゃないけどな!
今回は遊華が若干不安定になって冬野さんと遊が対決擬きをしました
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!