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俺が遊華の同僚と顔合わせする件について(後篇)

今回は遊華の同僚との絡みの後篇です

 遊華が同僚の秋野美優さんと冬野由紀さんを家に連れてきた。理由は秋野さんと冬野さんが俺に会いたいからというらしい。しかし、俺は特別イケメンでもなければ何か特別な才能があるわけでもない。おそらくだが、遊華がいろんな所で俺の話をしているせいだと俺は思う


「それでだ、この酔っ払い3人娘をどうしようか」


 俺は目の前にいる酔っ払い3人娘をどう処理しようかをただいま絶賛検討中である


「おにいちゃん、何考えてるの?」

「そうですよ、おにいさん」

「ゆうさんは私たちのことだけ考えていればいいんです」


 遊華はともかく、秋野さんと冬野さんは酔った勢いでこんな事を言って明日悶絶するんじゃないだろうか?


「あの~、皆さん?」

「「「何?」」」

「一旦俺から離れませんか?」

「「「何で?」」」


 逆に何で俺に密着するの?香月と美月もそうだが、俺の元に来る女性は酒が入ると俺に抱き着く特性あるの?


「動きづらいから離れてくれないか?」

「「「いや……」」」


 いやって言われましても……俺は動けないと困るわけで……


「遊華、水持ってくるから離れてくれ。それにつまみもなくなっているから何か適当に作ってくるよ」

「おにいちゃんの手料理が食べられるなら離れる」

「私も、おにいさんの手料理が食べられるなら……」

「ゆうさんの手料理……」


 ようやく遊華たちは俺から離れてくれた。しかし、遊華たちをあのままにしておくわけにはいかない


「遊華、俺はつまみを作ってくるから、いったん離れるぞ」

「うん、すぐ帰って来てね」


 キッチンに行くだけなのに何でそんな悲痛な表情なの?


「前回よりも質が悪い酔い方してんな…………一先ず水だ」


 俺は遊華たちに水を持ってリビングに戻った


「料理できるまでの間に水飲んで酔いを醒ましておけ」

「え?何で?」

「私は全然酔ってませんよ~」

「私もです」


 酔っ払いはみんなそう言うんですよ。さて、ここはどうやって納得させるか……


「俺はちょっとした夜食を作ろうと思うんだが、遊華たちはいらないのか……そうか」

「「「いる!」」」


 遊華たちは慌てて水を飲み始めた。


「さて、何を作るかな」


 キッチンに戻った俺は夜食の献立を考えた


「あ、そういえば、秋野さんと冬野さんは今日は帰るのかな?」


 時刻は22時であり、終電まで時間はあるが、帰宅か宿泊かによって俺のやる事も大きく違ってくる


「おーい、遊華ー、ちょっと来てくれー」


 俺はキッチンから遊華を呼んだ


「んー?何?お兄ちゃん」


 先程よりは酔いがマシになった遊華がキッチンにやってきた


「秋野さんと冬野さんは今日泊まっていくのか?」

「うん!2人とも今日はそのつもりで来たし」

「そうか、それともう1つ聞いておきたい事がある」

「何?私の理想の男性のタイプ?」


 遊華、やっぱりまだ酔ってるんじゃないのか?


「違う、あの2人は俺の容姿について特に言わなかったが、どうしてかなって思って」

「あー、それはね……」


 遊華が説明しようとすると……


「それは私たちと遊華が中学からの友人だからですよ。遊さん」


 冬野さんが遊華の後を引き継ぐように説明した


「ということは、俺とも1回くらいは会った事あるんじゃ……」

「いえいえ~お兄さんとは今日が初対面です。少なくともこうしてちゃんと会うのは」


 何となくこの2人が言いたいことはわかった


「どうせ遊華の事だから中学の頃から俺の写真や話は散々聞かされていたが、頑なに遊華は俺に会わせてくれなかった。遊華から俺がいなくなった事や俺がこうしてここにいる経緯とかも聞いてる……そういう解釈でいいんでしょうか?」

「はい、それで合ってます」


 冬野さんは酔いが完全に覚めているのか、淡々と答えた


「なるほど、これで納得できました。ところで3人に聞きたいことが」

「何?お兄ちゃん」

「何ですか?お兄さん」

「何を聞きたいんですか?遊さん」

「夜食は何がいい?」


 俺は遊華たちに夜食のリクエストを聞くことにした。俺1人だと寿司とか作りそうだし


「「「和食!」」」

「麺と米ならどっちがいい?」

「「「麺!」」」

「了解。っていうか、3人とも息ぴったりですね」


 遊華たちのリクエストは和食の麺類ということで、蕎麦にでもするか……


「天ぷらいる?」

「「「いる!」」」


 幸いな事に天ぷらにする食材はたくさんある。それこそ魚介から野菜までより取り見取りだ


「さてと、夜食に天ぷらってのもちょっと変だが、サッパリに仕上げるか」


 俺は天ぷらを揚げ、蕎麦を茹でた。そこでまた問題発生……


「冷たいのと温かいのどっちがいい?」

「「「冷たいの」」」

「はいよ」


 ということで冷たい天ぷら蕎麦4人前をさっさと仕上げるか


「おーい、できたぞー」

「「「はーい」」」


 夜食には少し重いと思うが、天ぷら蕎麦完成


「さて、それでは」

「「「「いただきます」」」」


 俺たちは天ぷら蕎麦を食べ、それから少し雑談した


「ところで、今日はどこで寝るんだ?」


 俺はあえて秋野さんと冬野さんに限定せずに聞いてみた


「私の部屋だけど?」


 どうやら遊華たちは遊華の部屋で寝るらしい……今遊華が使っている部屋は元は俺の部屋であり、最大でも5人くらいなら寝るくらいならできるか


「そうか、じゃあ俺は後始末をしてから寝るから先に寝て大丈夫だぞ」


 俺は夜食の後始末を開始したのだが…………


「あ、あの……」

「どうしたの?お兄ちゃん」

「そうですよ、お兄さんどうかしましたか?」

「遊さん、何かありましたか?」


 いや、どうしたの?じゃなくてね?


「見られてるとやりずらいんだが……」

「「「お構いなく!」」」

「いや、構うからね?」


 俺が家事してるのがそんなに珍しいのか?


「家事ができる男の人って憧れるよね」

「うん、そうだね~」

「確かに家事ができる男の人には憧れるな」

「それでさっきからジロジロ見てたのか」


 遊華たちが俺の事をさっきから見ていたのは単なる憧れで見ていたのか


 俺は遊華たちの視線に耐えながらも洗い物を片付けていった


「よし、洗い物終了」

「お疲れ様、お兄ちゃん」

「別に疲れてないんだが……ありがとう、遊華」


 俺は元の時代の母さんの真似をしているだけなんだが、妹が労ってくれるんだから素直に受け取っておこう


「さて、俺は部屋に戻るが、遊華たちはまだ酒盛りでもするのか?」

「私たちはお兄ちゃんと一緒にいる」


 はい?俺は今後の予定を聞いたんだが?俺と一緒にいるって何?


「何?俺も一緒に酒盛りすればいいの?」

「違います。遊さん」

「そうですよ。お兄さん」

「お兄ちゃんは2人が泊まっている間はずっと私たちと一緒にいるんだよ?」


 一緒にいる意味がわからんし、泊まるのは今日1日だけじゃないの?


「美優と由紀はここに1週間はいるから。よろしくねお兄ちゃん」


 ナンテコッタイ……香月と美月だけじゃなく、秋野さんと冬野さんも加わるのか


「そうか、じゃあ俺は1週間は部屋から出ない」


 香月と美月に加えて秋野さんと冬野さんの相手をできる自信がない


「お兄ちゃんは私と一緒にいたくないの?」

「いや、そういう事じゃないが…………」

「お兄さんは私たちが邪魔ですか……?」

「そうですよ、遊さん」

「別に邪魔じゃないし、一緒にいたくないわけじゃない。ただ、女子会に俺は邪魔かなと思っただけだ」


 そう、俺はあくまでも女子会の邪魔をしたくないだけで決して遊華たちの相手をしたくないわけじゃない。


「邪魔じゃない!」


 遊華がいきなり大声を上げた


「遊華、いきなり大声を上げるな。秋野さんも冬野さんもびっくりするだろ」

「だって、だって……」


 今の遊華は情緒不安定なんですか?いきなり大声上げることないだろうに


「俺は部屋に籠るだけで遊華の前から消えたりするわけじゃない」

「お兄さん、私たちもそうですが、遊華ちゃんともっと一緒にいてあげてください」

「遊さん、私からもお願いします」

「お兄ちゃん……」


 遊華たち3人は懇願するような視線を送ってくる


「そんな目で俺を見るな。わかったよ、嫌じゃないなら一緒にいる」

「「「うん!」」」


 俺は最近になって自分は女性に泣かれるのが苦手だという事がわかってきた


「じゃあ、今日は私たちと一緒に寝ようね!お兄ちゃん」


 俺はこの日……いや、今日から1週間の間、遊華と愉快な仲間達と一緒に寝る事が決定した


「遊華たちが寝てる間に抜け出すか」


 俺は遊華たちが寝ている間に抜け出す事を密かに計画した


今回は遊華の同僚との絡みの後篇でした

夜食に天ぷら蕎麦は重かったかななんて思ったし、夜食じゃないだろって自分へのツッコミを入れながら書きました。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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