俺が遊華の同僚と顔合わせする件について(前篇)
今回は遊華の同僚が家に来る話です!
投稿遅れてごめんなさい
妹や姉の学友や同僚と家で鉢合わせした時に何とも言えない気まずさを感じる事ってないだろうか?俺はある。いや、この場合はあったと言うのが正しい表現なんだろうな……どうして俺がこんな話をしているかだって?そんなのは決まっている。藤堂遊は今……
「おにいちゃ~ん」
「…………」
「おにいさ~ん」
「…………」
「ゆうさ~ん」
「…………」
妹と妹の同僚に絡まれているからだ。しかも、全員バッチリできあがっています
「どうしてこうなった」
俺は数時間前の事を思い出していた。そう、数時間前の話だ……
「お兄ちゃん、ただいま」
「おう、おかえり。遊華」
「あ、今日は仕事仲間を家に連れてきているから」
遊華の仕事仲間か……そういえば遊華の仕事仲間とはちゃんと話した事なかったな
「そうか、じゃあ俺は部屋にいるから。何かあったら呼んでくれ」
遊華の仕事仲間と話したことはなくても俺は遊華の邪魔しちゃいけないと思い、部屋に籠る事にした
「何言ってんの?今日はお兄ちゃんに会いに来たんだよ?」
「俺に?何で?」
遊華の仕事仲間が俺に会いに来る意味がわからない
「いや~私がいろんな現場でお兄ちゃんの自慢話しすぎたせいでお兄ちゃんに会わせろってうるさくてさ」
「そうか、じゃあ俺は部屋に籠るから」
俺は本能的に危険だと判断し、部屋に籠る事を改めて宣言した
「遊華ちゃん、まだ?」
「そうそう、早くお兄さんに会わせてよ」
玄関の扉の後ろから女性2人の声が聞こえてきた
「ごめんごめん、今会わせるよ」
遊華は玄関の扉の方を向いた今がチャンス!
「じゃあな。俺は部屋へ戻る」
「あ!こら!待て!」
「グエッ!」
部屋へ戻ろうとした俺はあっさりと遊華に首根っこを引っ張られた
「今開けるね」
遊華は玄関の扉を躊躇いもなく開けた
「もう、遅いよ。遊華ちゃん」
「そうだよ。全く」
「ごめんごめん」
玄関から2人の女性が入ってきた。どうやらこの2人が俺に会いに来た同僚らしいな……まぁ、自己紹介とあいさつだけして俺は早々に部屋へ戻るか。が、その前にやる事がある
「遊華、どこにも行かないからいい加減首から手を放してくれると嬉しいんだが?」
「あ、ごめん。お兄ちゃん」
俺はようやく遊華の拘束から解放された。少し遅かったら俺の意識はなかっただろうな
「さぁ、2人ともリビングにどうぞ」
「うん」
「はい」
はぁ、こうなった以上は仕方ないな。俺は遊華と遊華の同僚2人に続きリビングに入る
「とりあえずはお茶でも入れるわ」
俺は逃げるようにキッチンに向かおうとした
「私がやるから、お兄ちゃんは座って2人の相手でもしていて」
向かおうとしていたが、遊華によって逃げ道を塞がれてしまった
「はぁ、わかったよ」
俺は諦めて遊華の同僚の相手をすることにした
「あー、とりあえず自己紹介からしときます?」
「はい」
「ええ」
俺の案に女性2人は同意してくれた。よかった、同意してもらって
「俺は遊華の兄の遊です。俺の事を遊華からなんて聞いてるかは知りませんが、よろしくお願いします」
「じゃあ、次は私です。私は秋野美優です。よろしくお願いしま~す」
「よろしくお願いします。秋野さん」
「では、私の番ですね。私は冬野由紀といいます。よろしく」
「よろしくお願いします。冬野さん」
何だろう、この2人は美月と香月にどこか似ている
「お兄ちゃん、うまく打ち解けた?」
「バカ言え、今ようやく自己紹介が終わったところだ」
「そっか、美優ちゃんも由紀ちゃんもお兄ちゃんと話したがっていたから引き続き相手よろしく」
遊華はまたキッチンに戻って行った
「話すって言っても何を話せばいいんだ?あれか?中学の頃の遊華の様子か?それとも、今の遊華の様子でも話せばいいのか?」
「いいですね!」
意外にも冬野さんが食いついてきた。俺はてっきり秋野さんが食いつくと思ったのに
「お兄ちゃん?」
「は、はい!?」
「私の話よりお兄ちゃんの話をしてあげてね?」
いつの間にか後ろに立っていた遊華の圧力攻撃を受けてしまった
「遊華ちゃん怖~い」
「美優ちゃん!」
「は~い」
「美優、遊華のブラコン振りは業界じゃ有名な話だろ?それよりも私は遊さん自身の話を聞きに来たんだろ?」
「あ、そうだった」
遊華のブラコンってもう業界人ならある程度認知されてるのね
「俺自身の話と言われても何を話したらいいんでしょうか?」
「「…………」」
2人とも聞きたい事を考えてなかったのね…………
「お兄ちゃんの高校生の頃の話とかしたらいいんじゃないかな?」
キッチンから人数分の飲み物を持って戻ってきた
「俺の高校生の頃の話ってあんまりいい話ないぞ?サボってばかりいたし」
「「「聞きたい!」」」
「うおっ!?何だ遊華まで」
「だって、高校生の頃のお兄ちゃんとは碌に会話してなかったし……」
言われてみれば……そうだな……仕方ないなぁ……
「俺の高校生の頃は俺の周りはよくサボるし、授業中にスマホでゲームばかりしてるしで授業を真面目に受けた覚えがない。まぁ、学校ではこんな感じで俺もよく学校サボってた。で、家ではまぁとりあえずは勉強して後は友達と遊びに行ってたくらいかな。妹も冷たかったし」
「「へぇ~」」
2人ともへぇ~で済ませているが、本来ならそこは咎める所だからね?
で、あれよあれよと話が弾み、遊華たちは酒盛りを始めた。そこまではよかったんだが、酒が入るにつれ、次第にスキンシップが多くなった。そこで冒頭に戻るわけだが……もう1度言う
「どうしてこうなった」
「ゆうさ~ん、1人でなぁにをブツブツ言っているんですか~」
「何でもないです」
「むぅ~おにいさ~ん、私の相手もしてくださ~い」
「はいはい」
「おにいちゃ~ん、私も~」
俺はこの酔っ払い3人の相手をしないといけないと思うと憂鬱な気分になる。
「何でこんな時に限って香月と美月は泊りがけで仕事なんだよ……」
俺は香月と美月に恨み言を吐く事で目の前の現実から目を背けようとした
「おにいちゃん、楽しそうじゃない……私たちといるのいや?」
遊華は涙目になりながら訪ねてくる。こら、涙目にならないの
「嫌じゃないぞ」
俺は遊華の頭を撫でながら答えるしかなかった
「「むぅ~」」
秋野さんと冬野さんは剥れてるし……これじゃ遊華、香月、美月の相手をしているのと大差ないぞ
「これじゃ普段と変わらないじゃないか」
もう溜息すら出ない……俺って女難の相というか、俺の周りにはこんな感じの女しか寄ってこないのかな……仕方ない、親父仕込みのあの手でいくか
「俺は幸せだなぁ~可愛い妹に可愛い妹の同僚に囲まれているなんて」
「「「そ、そんな可愛いだなんて……」」」
遊華たちは顔を赤くして俯いた。これぞ親父直伝の必殺技である
「こんなのが本当に効くなんて……第一、俺はイケメンでも何でもない普通の15歳だってのに」
悪く言うわけではないが、20過ぎた女がこんな単純な言葉で赤くなるなよ…………しかも、トリップしてるし…………
「遊華はともかく、秋野さんと冬野さんはもう少し俺に対してガッカリしてもいいもんだと思うんだが……」
そう、最初に疑問に思うべきだったのかもしれない。この2人がなぜ俺に会いに来たか、なぜ俺の容姿についての疑問を投げかけなかったかって事を…………
「それは酔いが覚めた時か明日にでも聞くか」
こうして俺の波乱万丈な夜が始まった
次回は遊華の同僚と本格的に絡んでいこうと思います!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!