再会した友人が地味男からチャラ男のジョブチェンジしていた件について
今回は遊の友人の1人が登場します。
地味男からチャラ男にジョブチェンジしました
人は変わるものである。例えば、10年前に冷たかった妹がいい例だ。10年後に飛ばされたら素直で俺に対してデレデレな状態になっていた。藤堂遊はそんなデレデレ状態の妹・遊華と買い物……買い物って言うと怒られるので、デートと言おう。デートしていたら、チャラそうな1人の男性に声を掛けられた
「あれ、遊じゃね?」
なんだこの見るからに女と遊びまくってますよ感丸出しのチャラ男は……俺の知り合いか?
「失礼ですが、どちら様で?」
「あー、そっかそっか、この見た目じゃわかんねーのも無理ねーか」
いや、見た目もそうだけど、俺にチャラ男の知り合いなんていないんだけど?
「あれ?敬さん?」
「あれー?遊華ちゃんじゃん!久しぶりだな!」
「はい、お久しぶりです!」
…………今、遊華はなんて言った?敬?敬ってあの?
「はあぁぁぁぁぁ!?」
俺は遊華が素直になった時以上に驚いた
「お兄ちゃん!いきなり大声出さないで!」
「そうだべ~いきなりはビックリだわ~」
遊華と敬(仮)は大声を出した俺を咎めたが、それどころじゃない
「い、いや、お、お前……あの敬か?」
「遊がどんな想像してるか知らんけど、その敬であってる」
どんな想像って……10年前に感じてたままの事だからな。あと、その恰好で急に真面目になるなよ!調子狂うだろ!
「いやいや、俺の知ってる敬はそんなチャラチャラしてないし!しゃべり方もそんなウェーイな感じじゃないし!何より!そんなたくさんの女と遊んでますみたいなオーラ出してねーから!」
さすがに息継ぎなしで喋るとキツイな……今の俺の状態は肩で息をしている状態だ。
「いやさ、俺も変わったんよー、いつまでも10年前のままじゃいれなくてさー。今の遊みたいに」
いや変わりすぎだから!もうあの頃の面影すらないから!
「とりあえず、今から彼女呼ぶから、どっかのファミレスか喫茶店にでも入らん?」
「あ、いいですね!私賛成です!」
「ああ、そうしてくれ……」
敬は彼女に電話を掛け始めた。その頃の俺はというと……
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
ひたすら現実逃避をしていた。この世界に来て2度目だ。もちろん、最初は遊華と会った時だ
「んじゃ、そういう事でよろしく~」
どうやら敬は彼女との電話を終えたみたいだ。
「終わったみたいだな。敬(仮)の電話」
「ちょっと、遊、(仮)は酷いんじゃないの~?」
うるさい黙れ、お前が敬だなんて認めないぞ俺は
「遊、(仮)は言い過ぎだと思うよ?」
遊華、考えてみればお前もお前だ。外見が変わっていたら絶対に俺は遊華だと認めていなかったぞ俺は
「一先ずそこの喫茶店にはいるべ」
敬は後ろにある喫茶店を指差した
「おい、彼女と待ち合わせはいいのか?」
「あー、いいのいいの。彼女にもそこの喫茶店に来るように言ってあるから」
ますます俺の知っている敬じゃないぞ……本当、誰だ?コイツ
「とりあえず、さっさと入ろう……彼女が来てから改めて自己紹介してもらうわ」
喫茶店に入った俺たちは各々が好きなドリンクを注文し一息ついた。そして、数分後……
「いらっしゃいませ、1名様ですか?」
「あの、待ち合わせなんですけど……」
何やら店員と女性がやりとりしているようだ。
「ん?あ、おーい!こっちこっち!」
敬が女性に呼びかけた。敬とはずいぶん違う感じだな……
「あ、敬。いたいた」
女性は店員に連れがいた事を告げ、こちらにやってきた。
「早かったなー、もうチョイかかると思ったのに」
「まぁね、それにしても遊華ちゃん久しぶりじゃん!」
「お久しぶりです!」
何だ?この疎外感……俺だけ仲間外れですか?そうですか……
「そろそろ紹介してほしいんですけど。まぁ、帰っていいなら俺は帰るけど」
「遊!そうやってすぐ帰るとか言わないの!」
遊華に注意されるが、紹介してくれないし……ぶっちゃけ暇だし……それに、俺の用事はほとんど済んだし。俺にコイツ等とこれ以上いる理由もないしな。
「はぁ、ならさっさと紹介してくれ。正直なところ俺には目の前にいる人物が敬であるという確証がない以上は対応に困るんだ」
俺の言葉で遊華たちは黙り込んでしまった。世間話もいいが、紹介してもらわないと俺は本当に帰るぞ
「はぁ、遊はそういうとこ昔から変わんないな。まぁ、俺としては久々の再会だし、10年前に約束をすっぽかされた仕返しをしたかったんだがな」
チャラ男の敬(仮)は急に真面目なトーンで話始めた。
「10年前?約束?え?まさか、本当に敬?」
「最初からそう言ってるだろ?」
言われてもわかるか!自分の見た目を考えろ
「まぁ、一応自己紹介しとく。俺は田端敬。遊、お前と10年前に約束してすっぽかされた男だ」
「うん、改めて名前を聞いても実感が湧かないな。何せ、10年前は絵に描いた地味男で文学少年の敬がこんなチャラ男に大変身してるなんて。しかもしゃべり方まで変わるなんてな」
人間変われば変わるもんだな……まぁ、10年前に遊びに行く約束を知ってるのなんて身内か本人か学校関係者くらいだし。一応信じておこう
「まぁ、遊がいなくなっていろいろ変わったんだよ俺も……」
「そ、そうか……」
俺はなんて言ったらいいかわからなかった。遊華や家の事情、敬が変わった事に関して少なからず俺が関係していると考えた時、俺は謝るべきなのか?それとも……
「遊……」
遊華が不安そうに俺を見つめてきたが、俺がそれを気にしていると思っているのか?まぁ、少し気にはなるが……
「大丈夫だ、遊華。それより、敬の彼女も紹介してくれないか?」
「あ、ああ、悪いな。紹介させてもらう。コイツは俺の彼女の早川望海だ」
「どうも、敬の彼女の早川望海です。久しぶりだね、遊」
……待て、俺は敬の彼女と面識ないぞ。なのに何で久しぶりなんて言葉が出てくるんだ?
「……どこかでお会いしましたか?」
「ブフッ!や、やっぱ、わかんないよな?ククッ……」
敬、何で吹き出した。何でそんなに笑いを堪えている?
「敬!笑う事ないじゃん!」
「ご、ごめん……でも……ククッ……」
「敬、笑ってないで説明してくれ……」
敬は“ごめんごめん”なんて言いながら息を整えている
「コイツ、高校の時にいたスーパーギャルの望海だぜ?」
「ブーッ!!」
「うわっ!きたねっ!」
俺は飲んでいたコーヒーを思いっきり吹き出した。敬の顔面に……
「ご、ごめん……で、でも、スーパーギャルの早川と絵に描いた地味男の敬が付き合うなんて……正直、意外すぎる。しかも、見た目が逆転してるし……」
何をどうやったら高校時代の地味男とスーパーギャルが付き合ってしかも見た目が逆転するんだ?
「まぁ、普通は驚くよね……」
早川は苦笑いしながらも俺の気持ちを察してくれた。
「ああ、はっきり言って高校時代じゃ考えられない。敬と俺はともかく、早川と敬じゃ接点がまるでない。接点という点じゃ俺も同じようなものだが」
俺は本格的に思考が停止しようとしている。地味男の敬がチャラくなってスーパーギャルの早川が清楚美人みたいになってるし……
「はぁ……頭痛くなってきた……帰る……」
俺はひょっとしたら自分が未来に飛ばされてきた事でいろんな人の人生を変えてしまったんじゃないか?という不安と自分は未来じゃなく、並行世界に来てしまったのではないか?という疑問が俺の脳を支配した
「お兄ちゃん、大丈夫?」
もう、遊華の呼び方について突っ込む気力もない……早く家に帰ろう……
「帰る前に1ついいか?」
席を立った俺を敬が呼び止めた。何だ?早く帰りたいんだ俺は……
「何だ?敬」
「連絡先交換しないか?」
「ああ、そうだな」
俺は敬と連絡先を交換し、家路に就く事にした。余談だが、一番最初に連絡先を交換したのは遊華であり、遊華は自分の登録名を“愛しの妻”で登録したので俺は“遊華”で登録しなおした。
「何か、本格的に頭痛くなってきた……」
前途多難だなこりゃ……はぁ……
今回は友人が激変を遂げた話でした!
今回も最後まで読んだ頂きありがとうございました