遊華たちの酒癖が意外に悪かった件について
今回はラジオと打ち上げと酒癖の悪い遊華たちの話になります!
今日から4月ですね。4月と言えばいろいろなことがあると思います!
それではどうぞ!
人生とは何が起こるかわからない。例えば普通に生活していて突然事故に巻き込まれたり、突然未来に飛ばされたり、突然生放送のラジオ番組に出演させられたりといろいろある。俺、藤堂遊は今、目の前の女性2人に困っています。
「「むぅ~」」
早く終わってくれ……遊華と美月よ……生放送中に本気で剥れないでくれ
「遊華と美月が剥れてるから次行こうか……」
「うん、そうだね。遊」
遊華と美月の2人のご機嫌取りをさせられた俺は家にいるのと対して変わらなかった
「じゃあ、次のメールは私が読むね~」
「うす……」
「美月お義姉ちゃんよろしくね」
「おねがいね、美月」
「はーい、“遊さんへの質問です。”」
俺への質問多くない?遊華たちへのメールはないのか
「は、はい」
「“遊さんの理想のタイプの女性を教えてください。お願いします”だって~」
「俺の理想のタイプの女性?別に知らなくてもよくない?この番組じゃなくてもよくない?」
俺は全力でこの質問から逃れようとしたが・・・
「「「答えて!!」」」
「……ノーコメントで」
「「「ダメ!!」」」
マジでか……
「あー、普段はクールだけど本当は乙女な女性と天然だけど本当は臆病な女の子と好きな人に素直に好きって言えない女の子かな……」
「「「…………」」」
俺にはこう答えるしかなかった。だって怖いし、目がギラギラしてるんだもん……
「これでいいかな?」
「「「…………」」」
3人とも顔を赤くして無言なんですけど……優柔不断と笑いたければ笑え……俺だって命は惜しいんだ
「お願いだからリアクションしてくれない?」
リアクションがない分余計に怖いんですけど……
「お兄ちゃん……」
「ん?何だ?」
「さっき言ってたこと本当?」
嘘なんて吐いてどうする?下手したら俺はこの妹に何されるかわかったもんじゃない
「ああ、本当だとも」
「お兄ちゃん……」
「遊……」
「遊ちゃん……」
はいはい、そーゆうのは家でやろうねー
「早く次にいかない?」
こうして俺の初ラジオ出演は無事に終わった。まぁ、拉致られた時点で無事とは言い難いがな。
「つ、疲れた……これじゃ家にいる時と大差ないんじゃ……」
俺は遊華たちがあいさつ回りをしている中、ロビーでぐったりしていた。
「遊華たちが来る前に帰ろう。じゃないと身が持たん」
俺は出口を目指して歩き出した
「お兄ちゃん」
「遊」
「遊ちゃん」
「「「どこ行くの?」」」
歩き出したはずなんだが、俺は遊華たちにあっさり捕まってしまった
「い、いやちょっとトイレに……」
これで誤魔化されるかどうかはわからんが、言い訳はしておこう
「遊ちゃん、そんなんで誤魔化されると思う?」
「いえ、誤魔化されるとは思っていませんでした」
美月怖くね?気のせい?
「遊、私に嘘吐いたの?」
「そんな滅相もない。嘘なんて吐くわけないじゃないですか」
うん、香月も怖いな
「お兄ちゃん、本当はどこに行こうとしてたの?」
「……黙秘します」
「お兄ちゃん、答えて」
遊華、怖すぎるよ……俺泣きそうなんだけど
「皆さんに見つからないうちに家に帰ろうとしてました……」
俺は諦めて自分が先程何をしようとしていたかをおとなしく答える事にした
「ねぇ、お兄ちゃん」
「どうして」
「私たちを」
「「「置いてどこかに行こうとするの?」」」
遊華たちの目に光はなく、アニメや漫画で言うところのヤンデレのような目をしていた
「べ、別に置いて行こうとしたわけじゃないんですよ?」
「お兄ちゃん、本当は?」
「ほ、本当だ」
ここは俺の身の安全の為にも遊華たちを置いて帰ろうとしたわけではないと言い張ろう
「遊、本当に本当?」
「ああ、本当に本当だ」
「嘘じゃない?」
香月やけに疑り深いな
「ああ」
「じゃあ、信じる」
なんとか疑いを晴らすことができたようだ
「遊ちゃん……」
「今度は美月か、何だ?」
「んーん、なんでもなーい」
美月は2人と違っていろいろ聞いてこないんだな
「ところで、俺は帰りたいんだが?」
「えー、これから打ち上げなのに~」
「ああ、行ってきていいぞ」
「何言ってんの?お兄ちゃんも行くんだよ?」
「そうだよ、遊」
そんな話聞いてないんだが?
「俺は行かんぞ?」
「え~、この打ち上げは遊のために企画されたものなのに~」
香月は子供の様に頬をぷくぅと膨らませる
「え?俺?何で?」
俺には意味がわからなかった。俺のための打ち上げって何!?
「お兄ちゃん、今日いきなりスタジオに呼び出しちゃったし……私たちとスタッフ一同によるお詫びみたいなことがしたくて……」
「遊華、確かに今日はいきなりだったし、戸惑ったりもした。だけど、俺はびっくりはしても怒ってはいない。わざわざそんな事してもらわなくてもいいんだぞ」
「じゃあさ……お詫びじゃなくて、お兄ちゃんが帰ってきたお祝いってことで」
俺は10年前からタイムトラベルしてきたが、まぁ……生還祝いみたいなものはしてないな。
「わかったよ。どうやっても打ち上げはするんだろ?じゃあ、お詫びじゃなくて生還祝いってことで俺も行くよ」
「「「うん!」」」
はぁ、俺は遊華たちにつくづく遊華たちに甘いなぁ……
俺は遊華たちと共に打ち上げに参加することにした
「打ち上げに参加したのはいいが……これなんて地獄絵図?」
「ゆうちゃ~ん、暗いぞ~」
「そうだぞ~ゆ~う~」
「おにいちゃ~ん」
遊華たちが俺に絡んできた
「ほら~ゆうちゃんも飲んで飲んで」
美月よ身内以外にはタイムトラベルしてきたことを言ってないとはいえ、俺まだ15歳なんだけど?
「いや、俺は十分飲んでるから」
「いや~ぜんぜん飲んでないろ~」
香月、お前もか
「俺はお茶とかジュースだけでいいよ」
「おにいちゃ~ん、わらひたひのさけがのめらいんていうろ~?」
遊華、呂律が回ってない上に酒癖が悪いぞ
「3人とも酒癖悪くね?」
「「「わるくな~い」」」
「いや、明らかに悪いだろ」
俺は遊華たちに酒を飲ませてはいけないとここにきて初めて思った。
波乱馬上な打ち上げが終わり、俺は酔いつぶれた遊華たちを家に入れリビングまで運ぶ作業をこなす事になった
「はぁ、ようやく終わった。酔いどれを3人も運ぶとかどんな苦行だよ」
とりあえず、3人ともリビングに運んだし一息入れるか……
「水でも飲むか」
俺は水分補給をしようとキッチンに行こうとした
「ん?なんだ?」
キッチンに移動しようとしたが、遊華たちの傍を離れる事が物理的にできなかった。
「行かないで……お兄ちゃん……」
遊華が俺のジャケットの端を掴んでいた。
「遊華、俺はどこにも行かない。だから、ジャケットを離してくれると助かる」
俺は遊華の耳元で小声で囁いた。
「んぅ……」
遊華は安心した表情で俺のジャケットの端っこを離した。
「さて、これでようやく水を……うぉ!?」
今度は誰だ……
「遊……傍にいて……」
今度は香月か……
「大丈夫、俺は香月の傍にいるぞ」
俺は遊華にした事と同じ事を香月にもした
「むにゃ……」
香月も俺のジャケットの端っこを掴んでいたが、離してくれた
「今度こそ大丈夫だろ……よし、水を……」
水を飲もうとして、またもジャケットを掴まれた
「今度は美月か……」
遊華、香月ときて美月がこないわけがない……わかっていたさ!
「遊ちゃん……1人にしないで……」
俺は本日3回目になる“耳元で囁く”を使った
「むふぅ~……」
遊華、香月、美月の3人はそれぞれ安心した表情で眠っていた。これで一安心だ
「ふう、3人ともあんなに俺に対して絡み酒だったのに、寝てるときは大人しいもんだな……」
水を飲んだ俺は一旦リビングを離れ、タオルケットを持ってリビングに戻り遊華たちにかけた。
「さて、俺も寝るか……」
さすがに俺は遊華たちと一緒に寝るわけにはいかないので、パソコン部屋にタオルケットだけ持ってそこで寝る事にした。
「3時か……道理で眠いわけだ……」
俺は適当な場所に寝転がりタオルケットを被り眠りについた
今回の話は書いてて楽しかった!
実際酒飲んだらこんな風に人は変化するのか?とは一瞬思ったりもしました!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!