俺の寝苦しさと3姉妹のラジオの件について
今回は遊の寝苦しさとラジオ放送での公開処刑らしきものの話です!
皆さんは寝ていて寝苦しいなんて事はありませんか?それは夏の暑さによるものだったり、金縛りだったり、部屋が汚いから体勢を変えられないなんて言う人もいると思います。俺、藤堂遊の寝苦しさは……
「遊ちゃ~ん」
そう、俺の寝苦しさは義理の姉・美月に抱き着かれているのが原因です。
「ね、寝苦しい……」
「えへへ~遊ちゃ~ん」
人の気も知らないで呑気に寝てやがる……
「前見た時はすごい寝癖だったのに、今回はついてないんだな」
俺は美月を起こさないようにベッドから抜け出そうとした
「水でも飲みに行くか」
そう、抜け出そうとしたんだが……
「ぬ、抜けない……っていうか、なんて力だ」
これは美月を起こさなきゃ抜けられないパターンだな
「美月、起きてくれ」
「んぅ……あ、おはよう。遊ちゃん」
「ああ、おはよう。それより、腕を離してくれると助かる」
美月はまだ少し眠いのか、若干目がしゃばしゃばしている
「嫌……」
「え?」
「遊ちゃん昨日ずっと私といてくれるって言ったよね?」
そんなこと一言も言ってない。
「いや、そんなこと一言も言ってないんだが……」
「遊ちゃんは私とずっと一緒にいてくれないの?」
美月さん?俺が過去から来た人間だって忘れてないよね?
「ずっとってわけにはいかないが、できる限りはそばにいる」
「そこは嘘でもずっとそばにいるって言おうよ」
いやいや、俺はこういう人間ですよ?できない約束はしないで有名なんですよ
「それより、そろそろ降りるか?」
「んーん、まだ遊ちゃんと一緒にいる」
「今日は仕事はいいのか?」
「うん!3人とも夕方の生放送だけだから」
「そうか」
驚いた……まさか3人同時に生放送の仕事が同じ日の同じ時間にあるとは……
「あ、遊ちゃん、私たちのお仕事見に来る?」
「機会があれば見に行きたい」
「ふ~ん、わかった」
美月はどこか含みのある顔をしていた。興味はあるが、別に俺はどうしても見に行きたいわけじゃないぞ
「何だ?何かあるのか?」
「何でもないよ~それより、今日の生放送楽しみにしててね遊ちゃん」
「?ああ、わかった」
俺は美月から生放送される番組の名前とテレビかラジオか動画配信かを聞いてからリビングに降りることにした。
「おはよう」
「あ、お兄ちゃん!おはよう」
「おはよう、遊」
どうやら2人は先に起きていたらしい
「遊華ちゃん、香月」
「何?美月お義姉ちゃん」
「何だ?美月」
「私負けないから」
美月のいきなりの負けない宣言。何を負けないか知らないが、頑張れと言っておこう
「私も負けないよ!美月お義姉ちゃん!」
「私も負ける気はない!」
3人の後ろから炎が見えるが……一体何の勝負なんだ?わからんが一応頑張れと言っておこう
「3人とも何で争っているかは知らんが、頑張れよ」
「「「…………」」」
「どうした?急に黙り込んで」
「「「この鈍感!!」」」
「はい?」
心外だなぜ俺が鈍感呼ばわりされなきゃならんのだ
「あ、そうそう、遊ちゃん」
「ん?何だ?美月」
「今日の生放送ちゃんと聞いてね!」
「ああ」
そんなに念を押さなくてもちゃんと聞くぞ
「美月、まさか……」
「大丈夫だよ、詳しいことは教えてないから」
「なら、いいんだけど……美月お義姉ちゃん口軽いから、心配だよ」
「失礼しちゃうな!大丈夫だよ!」
詳しい事?何を言っているんだ?
「さて、飯でも食うか……」
俺は3人を放置して軽く朝食を取った
「私、今日打ち合わせあるからもう行くね~」
美月はいつの間にか身支度を済ませて出かけて行った
「あ、私も打ち合わせがあるんだった。お兄ちゃん行ってくるね」
遊華も打ち合わせか……
「いってらっしゃい、遊華」
俺は遊華を見送った。ってことは香月も?
「遊、私も打ち合わせがあるから行くね」
マジか・・・俺は今日家に1人きりになることになった
「は?今日は家で1人きりってことは……よっしゃぁぁぁ!!」
親父も帰ってきた様子はないし、羽月さんもいない!つまり、俺はつかの間の安息を手に入れた!
「つかの間の安息を手に入れたって言っても携帯は使えないし、外に出ようにも鍵は持ってないし……」
俺は家に1人きりとは言っても特にやることはないのだ。
「仕方ない、父さんのパソコン部屋に行くか」
俺は親父のパソコン部屋へ向かうことにした。え?鍵がないと入れないんじゃないのかって?親父が物を隠す場所なんて把握済みだっつーの
「確かこの辺に……あった。けど、父さんも素直じゃないというか……なんというか……」
親父が何かを隠す時には必ず自分の妻のアルバムの間かアルバムの中に隠す癖がある。つまり、現時点では羽月さんが写った写真のアルバムの中に隠してあるということになる
「父さん、母さんの時もそうだが、本人に言ったら喜びそうなのに言わないからなぁ……」
俺は過去の遊華の素直じゃないところは親父に似たのだとこの時になって痛感させられた。
俺はパソコン部屋の鍵を見つけたところでアルバムを閉じた。親しき仲にも礼儀ありだ。
「さて、部屋も開いたし、今日は俺のいた時代で放送されてたアニメでも観て過ごすとしよう」
この時代なら10年前のアニメを1話から最終話まで一気に鑑賞可能だ。こういうところは未来に来て得したな
俺は美月の出演するラジオの生放送の時間までアニメを観て過ごした
「さて、そろそろ始まるな」
俺は美月に教えてもらったサイトのURLを打ち込んだ。
「これか……ん?“藤堂3姉妹とお話しませんか?”だと……?」
名前から察するに遊華・香月・美月のトーク番組らしい
「まぁ、ラジオ聞くだけだし俺に害はなさそうだな」
この時、俺は遊華たちとこの番組の制作スタッフを甘く見ていた。
『ラジオ藤堂3姉妹とお話ししませんか?』
遊華たちによるタイトルコールによりスタートした。
『はい、始まりました。藤堂遊華です』
『藤堂香月です』
『藤堂美月です。よろしく~』
この辺は家にいる時と変わらないのか……まぁ、遊華たちもプロだし公私混同はしないだろ
『遊華ちゃん、最近いいことあった~?」
『最近あったいいことはお兄ちゃんが帰ってきたことですかね?』
遊華、公共の電波で何言ってんの?
『普通に聞いたら兄が家に帰ってくる事は当たり前の事だが』
『うん、私は10年ぶりだからね』
香月と遊華のトークもいつも家でしているものと何ら変わりはない
『そういえば私は最近好きな人ができたんですよ!』
『へぇ~誰?誰?』
『私も気になるな』
おい声優だからって誰かを好きになるなとは言わないが、さすがに公共の電波でそれを言うのはマズイんじゃないのか?
『お兄ちゃんです!』
『遊華ちゃんは相変わらずブラコンだね~』
『全くだな』
本当に公共の電波で何言ってんの!?俺としては全く嬉しくない……
『偶然だね~私の好きな人も遊ちゃんなんだ~』
『私もだ』
2人とも公共の電波で俺の名前を出さないで!
『まぁ、お兄ちゃんの事はラジオ中盤で話すとして』
『ああ、そうだな』
『そうだね~』
ラジオで一切話すな!
こうしてラジオでの俺の公開処刑は始まりを告げるのであった
とうとう遊争奪戦に美月が参戦しました!
遊が初めて遊華たちの仕事ぶりを生で体感しました!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!