俺と一緒に寝た香月のキャラがぶっ飛んだ件について
今回は前半は香月がヒステリック気味になっています。
後半は香月のキャラがぶっ飛んでいます
正直書いてて楽しかった
俺こと藤堂遊は義理の姉、香月と一緒に寝る事になり、香月の部屋へとやってきた。しかし、香月は夜ということもあるせいなのかどうかはわからんが、思考が恐ろしく後ろ向きになっていた。俺が未来にやってきてからこんな事ばかりだな……長い夜になりそうだ
「そうだな、少し昔話をしてもいいか?」
香月さんは真剣な声で俺に尋ねてきた
「ああ、構わない」
俺は香月さんから真剣さを感じ同じように返す。むしろ、それしかできない。
「さて、何を話すかな……そうだな、私のこの口調と部屋についてを話そうか」
「ああ」
香月さんは俺が気を使わない程度な内容にしようとしてくれているのか、部屋と口調についての話をすることにしたらしい
「私がこの口調なのは美月のせいなんだ」
「美月の?」
「ああ、ほら美月ってあんなだろ?天然っていうか、抜けているっていうか……」
「確かに、否定はしない」
美月さんには失礼かもしれないが、“天然”とか、“抜けている”とかそういう単語がしっくりとくる
「だから、昔はよく苛められてたんだ」
「へぇ~意外だな」
俺は未来に来てからの美月さんしか知らないが、昔は苛められてたんだな
「遊、意外って言う割には驚いてないようだが?」
「いや、驚いてるさ。ただ、それと香月の口調がどう関係するのかなって」
「そうだな、遊の言うとおりだな……では続けるぞ」
「ああ」
静かな部屋なはずなのに香月さんの声はよく通った
「美月は狙ってではなく、あれが素でな。小学校時代はアイツを好きな男子からはよく苛められていた」
「小学生男子特有の好きな子にちょっかいをかけたいってやつか……」
「ああ、そうだな」
香月さんの表情は見えないが、声でわかる。今少しだけ笑った
「苛められてた美月はいつも私に泣きついてきたよ……それで私はしょっちゅう男子と喧嘩してた」
「まぁ、よくある話だな。別に珍しくないだろ」
そう、下の妹や弟のために上の姉や兄が喧嘩する事は珍しいことじゃない
「今の私ならそう思う。しかし、当時の私はそうは思わなかった」
「へぇ~、まさか、身体は女だからせめて心は男になろうとして今の口調になった。とか言わないよな?」
俺は思い付きの予測を香月に言ってみた
「その通りだ。よくわかったな」
マジか……本当にそんな事を考える奴初めて見たぞ……
「やっぱりか」
「どうしてわかったんだ?」
いやいや、理由聞かれても困るんだが……
「そうだな、香月と美月は2人姉妹だろ?」
「ああ、そうだ」
「そういう姉妹で妹が苛められているって話は大体姉の口調が男口調になるって相場が決まっているんだよ」
「……遊は何でもわかるんだな」
「別に何でもはわからん。わかる事だけさ」
そう、俺は何でもわかるわけじゃない。わかる事だけしかわからない
「じゃあ、この私の部屋の理由もわかるのか?」
「予想はできるが、香月の口から理由を聞きたい」
俺の中でこうじゃないか?っていう予想はついている。しかし、香月の口から聞かないと意味がない
「そうだな、私の部屋がこうなったのは中学、高校の頃の私の立ち振る舞いが原因だ」
「…………だろうな」
「遊は中学、高校の頃の私のあだ名は知っているか?」
高1の俺は遊華とロクに会話をしてないし、そもそも、香月さんと美月さんと出会ってすらいない
「いや、高校の頃に出会ってすらいない人間のあだ名など知るわけがないだろ」
「ふふっ、そうだな」
俺の背中越しに香月さんの笑い声が聞こえた
「香月、1ついいか?」
「何だ?」
「そろそろ体勢を変えたい」
「何だいきなり……変えたければ変えればいいじゃないか」
「それもそうだな」
俺は香月さんと見つめ合う体勢になった。
「こうして見ると香月って綺麗じゃないな」
「遊、いくら私が男っぽいからって今の言葉はさすがに傷つく……」
香月さんは暗い表情を浮かべた。まぁ、いきなりこんな事言われたら傷つくか……
「別に香月を傷つけたくて言ったわけじゃない」
「じゃあ、どういうつもりなんだ!?私だって自分が女らしくないってわかっているんだ……」
香月さんはそれだけ言うと泣き出してしまった。
「何を勘違いしたかは知らねぇけど、香月は初めて見た時は大人の女性って感じだった」
「そ、それは私が老けてるって言いたいのか!?」
いかん、思考がどんどんネガティブになっているな
「はぁ……」
「私だって本当は女の子らしくありたい!可愛い服を着たり、おしゃれだってしたいんだ!でも、でも……どうして私がこんな思いしなきゃいけないんだ……ううぅ……」
俺は香月さんにこんな表情させたいわけじゃない……香月さんにこんな事言わせたいんじゃない……
「香月、俺は香月を泣かせたくて言ったわけじゃない」
「じゃあ、どういうわけで言ったんだ!?」
「香月は俺の中じゃただの女の子だ」
「え?」
俺の言葉を聞いて香月さんは目を丸くした
「香月は妹の為に頑張れる女の子だ。周囲にお姉さまキャラを期待され、それに応えようと必死に努力できる女の子だ」
「うん、うん……」
「だから、次は自分の為に頑張ってもいいんじゃないか?」
「自分の為?」
香月さんは俺の言った『自分の為』というところに反応を示した
「そう、自分の為」
「だが、私は美月を守らなきゃ……」
香月さんは美月さんがまだ幼い子どもだと思っているようだな
「美月だってもう子どもじゃない。自分の事は自分でできるだろ」
「それはそうだが……」
「じゃあ、香月が無理をする必要はないだろ?」
香月さんは少しの考え込んだ。そして……
「いいのかな……?私が女の子らしくしても……」
ようやく香月さんは女の子らしくしようかどうかを迷い始めた
「いいんじゃないのか」
「え?」
「元々女らしさや男らしさなんて曖昧なもんだろ。香月は香月が考える女らしさでこれからの時間を過ごせばいい。俺はそれを止めないし、それを誰にも咎める権利はない」
「うん」
「それに、俺はありのままの香月も見てみたい」
今言った事は全て俺の本心だ
「本当?本当にありのままの私でいいの?」
「ああ」
「私、本気にするし、本気になるよ?」
「勝手にしろ」
「うん!」
香月さん……いや、今の状態だと“さん”じゃないな“ちゃん”だな。香月ちゃんは俺に抱き着いてきた
「ねぇ、遊」
「どうした?香月」
「いい子いい子ってして?」
香月、それは幼児退行じゃないのか?でも、まぁ……たまにはいいか……
「まぁ、既に抱き着かれているが……おいで、香月」
「うんっ!」
「今までよく頑張ったな」
「うんっ!うんっ!」
俺は香月の頭を優しく撫でた。
「えへへ、香月えらい?」
「ああ、えらいぞ」
香月は完璧に幼児退行しているようだ。
「ねぇ、遊」
「何だ?香月」
「私、遊の事が大好きっ!ううん!愛してる!」
香月はクール系から可愛い系にジョブチェンジした。
「それは前も聞いた」
「うん、だけど改めて言ってみた!」
朝の香月と今の香月のギャップが違いすぎるんですが……皆さんはどう思いますか?
もし、ギャップがすごいっ!と感じた方は藤堂遊応援係まで!なんてな。
「香月」
「ん?何?」
「今の香月は可愛いぞ」
「今までの私は?」
「可愛いってよりは綺麗だな」
それから、香月は俺が眠くなるまで俺の顔に頬ずりしてきた。これが本来の香月なのかもな……
明日は美月さんか……遊華や香月が何か抱えていたように美月さんにも他人には言えないが俺には吐き出す苦労とかあるのかな……
「すぅ……すぅ……」
「寝ているところまで可愛く見えてきた……」
俺は香月を抱きしめながら眠りについた
遊は何でもは知りませんが、知っている事や予想がつく事は予め予想できる子!
クールじゃない香月はいかがでしたか?楽しんで頂いたら幸いです
最後まで読んで頂きありがとうございます!
香月は本当は甘えん坊です!今回も多くの読者様に感謝しております!