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俺が騒動の真相に辿り着く件について

今回は遊が香月と美月とキスする話です。

今回のテーマ 日頃思っていても言えない事

今回の話で遊華、香月、美月視点含めて100話を超えました。この作品にアクセスして頂いてる全ての方々に感謝しております。

では、どうぞ

 遊華を元に戻したはいいが、なぜだろう……嫌な予感がする。主に香月と美月関係での嫌な予感だ……何もなければいいんだが、嫌な事って続けてやってきたりするからなぁ〜


「遊華、出入り口って鍵掛かってるか?」

「うん、お兄ちゃんと横になる前に誰にも邪魔されたくないから掛けたよ?それがどうかした?」

「い、いや、掛けてあるならいいんだ」


 自分で聞いていてなんだが、遊華が暴走して時にこの部屋から逃げ出そうとしても逃げ出せなかった。遊華の願望を叶えて本当によかった……


「あ、でも、香月お義姉ちゃんと美月お義姉ちゃんが帰ってきた時に開かないと困るよね。私開けてくる」

「待ってくれ!」


 鍵を開けに立つ遊華を止め、自分の横に座らせる。万が一を考えれば遊華を部屋に残し、誰か来たら俺が対応した方がいい


「な、何?」

「遊華はほら、大声を出して疲れたと思うから香月と美月の出迎えは俺がやる」


 遊華に危害があっても嫌だし、香月と美月が取り憑かれてたとしたら、俺はあと2回似たような事をしないといけなくなる。


「で、でも、お兄ちゃんだって疲れてるはずじゃ……」


 遊華の言う通り、俺だって疲れてる。だが、ある意味誰も信用できない状況の今、迂闊に人を招き入れる事はできない。死ぬ心配はないわけじゃないが、状況が状況なだけに油断できないのも確かだ


「俺も疲れてるっちゃ疲れてるが、この旅館にいる女性の誰にどんな霊が取り憑いてるかわからないんだ。それを考えると身内でも簡単に信じちゃいけない」


 はぁ……撮影が終わり、仕事の疲れを取ったり家族と過ごしたりするはずが幽霊騒動に巻き込まれる事になろうとは……ただでさえ俺は10年前の世界から10年後であるこの世界に飛ばされるなんて体験してるのに飛ばされた世界でも不思議体験かよ……


「だ、大丈夫?お兄ちゃん?」


 疲れた俺にはやっぱり遊華かなぁ〜、10年前ならともかく、今なら疲れた俺を優しく癒やしてくれそうだし……試してみようかなぁ……


「遊華……」

「え!?な、何!?」


 遊華を押し倒す俺といきなり押し倒された事により戸惑う遊華。うん、悪かったと思っているし、自分でも何やってんだ?って思っている


「少しの間だけでいいからこうしてていいか?」


 遊華の胸に顔を埋める俺は間違いなく変態だ。殴られても文句は言えまい。


「いいよ」


 意外な事に遊華からの許可が下りた。俺としては殴られるか、突き飛ばされると思っていたんだが……


「殴りも突き飛ばしもしないんだな」

「今日もそうだけど、いつもお兄ちゃんに甘えてばかりなのに、お兄ちゃんが甘えてきたら殴ったり、突き飛ばしたりなんてするわけないじゃん」

「いやいや、俺は今純粋に抱きついてるんじゃなくて遊華の胸の感触を楽しみながら抱きついてるんだか?」


 我ながらバカな事を言ってると思う。っていうか、これじゃただの変態だ。しかも、妹の胸に顔を埋めてるから度し難い程の変態じゃないか……


「別にいいよ?あ、でも、そうしたら責任取ってもらおっかな」

「え……」

「責任取って、私を彼女にするの。いい考えでしょ?」


 固まった俺に遊華は自分を彼女にしろと言ってきた。そうだな……


「いい考えかもしれないが、俺が彼女の話は今のこの状況と全てがハッキリしてからだな」

「そっか、何をハッキリさせるかは知らないけど、今のこの状況はマズイし、お兄ちゃんの彼女はまた今度だね」


 2人して軽口や恋バナをする程度の余裕は出てきたみたいだ


「あ、肝心な事を忘れていた」

「ん?どうしたの?お兄ちゃん」


 遊華の暴走や幽霊騒動にばかり目がいって最初にやる事を忘れていた


「言い伝えの事って電話でフロントに確認すればよかったじゃないか」

「あ、そう言えばそうだ」


 間抜けとはこの事だ。サイトの書き込みを見た時に最初にやるべきだった事に今、気がつくとは……


「さて、確認するかな」


 受話器を取り、マニュアルを片手にフロントへ電話をかける。遊華の事があって俺は動揺していたせいか、最初にすべき事を忘れていた。だが、他にも忘れていた事がある。それは、サイトの書き込みが本当かどうかの確認だ。もし、言い伝えが本当なら、対処法や霊が求める対象の特徴が書いてあるはずだ……


「遊……」


 フロントに繋がる前に背後からこの部屋にいるはずのない人物の声がした


「香月……」


 俺は受話器を置き、ゆっくりと立ち上がる。香月もそうだが、その横には美月と遊華がいる。まぁ、香月と美月がいるって時点で遊華が中へ入れたか、2人が鍵を開けて入ったかだが、2人が鍵を開けて入ったのだろう。手続きの時に鍵を2本渡してるの見えたし


「遊ちゃん……」


 香月同様、目に光がない美月。だが、変だ。遊華はなぜ止めなかった?考えろ俺、今までの遊華たちはどうだった?この旅行や撮影の事をドッキリだって言って黙ってたよな?それに、なんか仕事の衣装は置いといて、3人とも俺に自分を意識させようとしていたような……


「そういう事か」


 なんとなくだが、遊華の暴走した理由や幽霊騒動が本当か否かがわかってしまった。だが、それが合ってるかどうかはいいとして、この2人ともしなきゃいけないのか?


「遊……」


 ただ立っている事しかできない俺に香月は遊華同様に貪る様なキスの雨を俺に降らす。抵抗しようと思っても抱きしめられ、両腕を拘束されてるので、抵抗は不可能。顔を反らそうと思っても既に唇を塞がれている為、不可能。


「どういうつもりだ?」


 今更わかりきった事を聞きたくはない。だが、香月には香月の想いがある。それを聞かなきゃ先へは進めない。どんな結果になろうともな


「どういうつもり……か……遊はズルいね。遊華ちゃんより接してきた時間も遊を待っていた時間も少ないけど、私だって遊が好き。ううん、愛してる。だけど、遊は私の想いに見向きもしない……ホント、ズルいよ……」


 香月の顔は微笑んでいるようにも泣いてるようにも見えた。香月の想いを無下に扱ったつもりはないが、当の香月からして見ればそう感じさせる行動を俺がしていた。そういう事になる


「香月、俺は香月やみんなの事を常に考えて行動できるような器用な人間じゃない。辛い時は言われなきゃわからないし、側にいてほしい時も言われなきゃわからない。だから、辛い時や俺が必要になった時は言ってくれたら助かる。俺もなるべく香月やみんな事を大切にする」

「絶対とは言わないんだね」

「当たり前だ。この世に絶対なんてないし、俺はできない約束はしない」

「遊らしいね」


 香月は俺から離れて遊華の隣へと移動した。なんだかんだで美月が1番の強敵のような気がするが、クヨクヨしても仕方ない。ラスボス戦に臨みますか


「遊ちゃん……」


 美月は何を言うわけでもなく、ただ俺を見つめていた。遊華や香月みたいに不意打ちでキスされた方がマシに思えてくる


「美月……」


 隠し事をしてバレた時の子供はこんな気分なんだろうか?もの凄く息苦しい。息苦しくても美月が何を想い何を感じているのか聞かないといけないので、いつものように煙に巻くわけにはいかないがな


「私が言いたい事は遊華ちゃんと香月ちゃんが大体言ってくれたし、私からはほとんど言う事はないよ」

「じゃ、じゃあ、何もなしで終わりでいいか?」


 言いたい事がないなら終わりでいいか。まぁ、したい事は甘んじて受けるし


「遊ちゃん、私はほとんどないって言っただけで全くないなんて言ってないよ?」

「ごめん」


 母親から説教されてる気分だ。悪い事なんてしてないが


「遊ちゃんは私が……いや、私たちが遊ちゃんを問い詰めた時に好きだとか、愛してるとか言って有耶無耶にするよね?」

「まぁ、実際に好きだし、愛してるからな。嘘は言ってない」

「うん、でもそれって家族としてが前に付くよね?」


 バレていた……今までバレてないものだとばかり思っていたんだが、美月にはバレていた。美月にバレてるって事は当然、遊華と香月にもバレないわけがない


「…………」

「無言は肯定と取るね。遊ちゃん、いい加減に好きだとか、愛してるなんて気軽に言うの止めようよ。遊ちゃんは私たちの想いを知ってるよね?」

「あ、ああ……」

「知ってるなら何でやるの?私たちが嫉妬して遊ちゃんを必要以上に問い詰めたりするから?確かに女性と話してる遊ちゃん見て嫉妬する私たちが悪い部分もあるし、遊ちゃんが主張できない雰囲気を作る私たちに問題があるけど」


 開き直りにしか聞こえないと思うが、その通りだ。訳を話す前にそれをさせないのは美月たちだし、そもそも、そうなった時の最終手段がそれだ。嫉妬してくれるのは嬉しいが、話を聞かないお前らが悪い


「美月……」


 わかってるなら止めろよの一言が言えない。ただ名前を呼ぶ事しかできなかった


「遊ちゃん、私たちが悪いってわかってけどさ……イタズラに期待なんかさせないで!!遊ちゃんに好きとか愛してるなんて言われたら期待しちゃうでしょ!!遊ちゃんは私たちの追求を逃れる為の手段として使ってるかもしれないけどッ!私も遊華ちゃんも香月ちゃんも期待しちゃうんだよ!遊華ちゃんと香月ちゃんは言わなかったみたいだけど……」


 美月の泣き声だけが室内に響く。遊華と香月の様子を見て見ると、無言ではあるが、泣いていた。泣かせたくないと思う半面、相手の女性との関係を聞く時に問い詰めるような真似するなとも思った。


「美月の言いたい事はわかった。だが、いつもいつも女性関係で問い詰められる俺の身にもなれ。普通に聞かれたら俺だって素直に答えるが、美月、遊華も香月もただ聞くだけじゃなく、問い詰めてくる。毎度毎度の事になると俺だって逃げ方くらい考えるさ。だが、美月たちが俺の言動で期待し苦しんだのも事実。俺にできる事なら甘んじて受ける」


 今のは俺の本心だ。好かれるのは悪い気がしないが、嫉妬で問い詰められたら疲れるのも事実


「遊ちゃん、私も……いや、私たちにも悪い部分があったし、仲直りしよ」


 俺が返事をする前に美月からキスをされたが、美月とのキスは美月の涙のせいか、しょっぱかった。しかし、俺は忘れてないぞ。この旅行で俺が何も聞かされてないわけを聞くのをな!


今回は遊が香月と美月とキスする話でした

普段思っていても言えない事を言い合うのは大事だなぁ……

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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