父さんが同じ体験をしていた話と3人から誘われた件について
遊斗と遊ってどこか似ているなぁって書いてて思いました!
あとは香月、美月、遊華が肉食っぽくなっている!?
俺、藤堂遊は妹の遊華と同じベッドで添い寝したり、寝ている父を美人で釣って起こすちょっぴりお茶目な15歳である。そんな俺が未来に飛ばされる以外で衝撃を受けたことがある。それは今、目の前にいる父が過去に俺と同じことを体験したということである。
「と、父さん」
「ん?なんだい?遊」
「もう1度言ってくれないか?」
「遊はその年でもう難聴かい?」
「違うわ!父さんが言ったことがあまりにも衝撃的だったから聞き間違えたんじゃないかと思っただけだっつーの!」
全く失礼な父親だ。アンタが突然変なことを言い出すからだろが!
「もう1度言うよ。今度は聞き間違えないようにね」
「あ、ああ」
「僕も遊と同じ年の頃に遊と同じ状況になったんだ」
「それって……つまり……」
「そう、遊と同じ過去から未来に飛ばされた。どう?びっくりした?」
びっくりしたなんてモンじゃない。俺は15年父さんの息子やってるけど、そんな話は初めて聞いたぞ……
「驚きすぎて声も出ないか……ま、当たり前だよね」
「ああ、俺が未来に来たっていう事実だけでも未だに信じられないのに、まさか自分の父親が過去に同じ体験をしていたなんて言われたら声が出なくなるのも当然だ」
「うん、そうだろうね。だけど、事実なんだ。僕も未来に飛ばされた」
父さんの話が本当なら俺が15歳になったら未来に飛ばされるってわかっていたのか?
「父さんは俺が今の状況になるって初めから予測してたのか?」
「予想はしてなかったよ。ただ、遊がいなくなって見つからない事を知った時にまさかとは思っていたけど」
「なら、どうして遊華や本当の母さんに言わなかったんだ?」
「遊の疑問は正しいけど、それを言ったところで誰が信じると思う?」
父さんの言うことは尤もだった。そう、見た目が全く変わっていなく年もとってない状態で現れ過去から来ましたって言われたら信じるしかないが、逆はない。いなくなった息子あるいは兄は未来に行ってるんですよ。なんて言われて信じる奴などまずいないだろう
「父さんはやっぱり俺と同じ10年後に飛ばされたのか?」
「いや、僕が飛ばされたのは2年後の未来だけど?」
俺はまた衝撃を受けた。俺は10年後なのに父さんは2年後?おかしくないか?そもそも、何で未来に飛ばされなきゃいけない?
「父さん、何で父さんが2年後で俺が10年後に飛ばされたかなんてわかるか?」
「それがわかるなら苦労はしないよ。ただ、1つだけわかることがある」
「何だ?」
「遊はもう少し1番近くにいる人の想いっていうのを理解しなければいけないっていうことだよ。特に遊華の想いにはね」
1番近くにいる人の想い?なんだそりゃ?しかも、遊華だって?アイツは10年前は俺に冷たかったはずだ。今の遊華は素直だがな。
「遊華は昨日俺に10年間溜め続けた想いをぶつけてくれたぞ?」
「はぁ、遊華も苦労するなこりゃ……」
どうして遊華限定なんだ?香月さんと美月さんは放置か?放置なのか?
「どうして遊華に限定するのかは聞かないでおくが、昨日、遊華がぶつけてくれたものだけじゃ足りないってのか?」
「まぁ、足りないのは足りないんだけど、それだけじゃない」
「?どういう意味だ?それは」
本格的に意味がわからんぞ。父さん
「遊の10年前や現在の言動にも原因がある。とだけ言っておこうか」
意味がわからん。ここで強引に吐かせてもいいんだが、それは何か違う気がするので止めておこう
「ところで遊」
「今度は何だ?」
「お前、死んだことになっているんだが?」
「あー……え?」
父さんはサラッととんでもない事を言い出した
「え?じゃなくて、お前死んだことになってるけど、学校とかどうするの?」
「いやいや、俺生きてるよね?どうして死んだことになってるの!?説明プリーズ」
俺は今こうして生きている。死んだことにされているのはおかしい!
「遊、最後に遊華や遊の本当の母さんと会話をしたのはいつ?」
「いつって10年前に遊びに行く前だけど?」
「つまり、家を出る時にした会話が最後ってことでいいんだね?」
「ああ、知ってる道だし、知ってる路線だし約束の時間に待ち合わせ場所に着くように家を出たからな。そういう解釈で構わない」
父さんはそんな事を確認して何がしたいんだ?
「遊、僕たち家族はお前の捜索願を出したことは遊華から聞いてるよね」
「遊華が泣きそうになりながら話してくれたからな。それは知っている」
「遊は知らないと思うけど、法律上では行方不明者が最後に連絡をとってから7年で死亡したことになるんだ」
え?そうなの?知らなかった……
「まぁ、僕は弁護士じゃないから、最後の連絡に家族との会話が当てはまるのかはわからないけど」
「戸籍がないのと学校に籍がないのはよくわかった」
落ち着いてる場合じゃないが、10年後の世界じゃ仕方ないよな……
「未来に飛ばされた者として言わせてもらうけど、学校に行っても行かなくても遊の好きにしたらいいよ」
「え?」
俺はてっきり学校には行くなって言われるのかと思ったんだが
「過去の人間に未来の記憶はまだない。つまり、元の世界に戻っても問題はないんだよ」
「そうか……学校のことは考えさせてくれ」
「うん、そうするといいよ。戸籍の方は僕が手続きしておくから」
「頼む」
俺は父さんとの会話を終えて書斎から出てリビングに向かった。忘れていたが、遊華たちは父さんが羽月さんにお仕置きされている間ずっと静かだった。遊華はともかく、香月さんと美月さんは仕事か何か?
「ふぅ~やっと終わった」
俺が一息入れようとリビングのドアを開けたら香月さん、美月さん、遊華がいた
「おはようと言う時間ではないが、おはようと言っておこう」
「おはよう、香月」
香月はテーブルに着きコーヒーを飲んでいた。その姿はバリバリのキャリアウーマンを思わせる姿だ
「遊ちゃん、おは~」
「おは~、美月。って寝癖すごっ!」
美月は少し寝ぼけ気味なのか若干まだ目がシャバシャバしている。っていうかどうやったら実験で派手な爆発を起こした博士みたいな寝癖が付くんですかね?
「気にしなくていいよ~いつもの事だからね~」
美月さん、いつも寝起きはその頭なんですね……毎朝ご苦労様です
「…………おはよ、お兄ちゃん」
「あ、ああ、おはよう。遊華」
いかん、さっきの父さんとの会話のせいか遊華を意識してしまう……相手は血の繋がった妹だぞ?意識するな意識するな!
「…………」
「むぅぅ~」
なんだ?香月と美月の視線が痛いぞ?俺なんかしたか?
「どうしたんだ?二人とも」
「遊ちゃんの反応が私たちの時とは何か違う」
「そうだな、私たちの時は普通だったのに、なぜ遊華の時は若干噛むんだ?それに、心なしか顔が紅いぞ?」
うっ!二人ともよく見てらっしゃる
「き、気のせいだよ」
俺はその場を逃れる為に誤魔化すことにした
「今回はそうゆう事にしておいてあげるよ。遊ちゃん」
「そうだな、今回は不問にしておこう」
引っかかる言い方だが、今回は助かったようだ
「どうした?遊華?さっきからしゃべらないが」
「な、何でもないよ!お兄ちゃん!それより、お父さんと何話してたの?」
「ああ、俺の学校の事と戸籍の話を少しな」
「そ、そっか……」
口が裂けても父さんが過去に俺と同じ体験をしたことや、俺がいなくなった時に未来に行っているのではないか?なんて思っていた。なんて事は言えない……それに、学校の話や戸籍の話はされた。嘘は言ってない。
「ん?学校と戸籍以外の話で何か父さんからあるのか?」
「い、いや、それ以外の話がなかったらいいんだ」
遊華は若干早口で返してきたが、他にどんな話があるんだ?何となく気にはなったが、無理に聞き出す必要もないか……
「変な奴だな」
「うっさい!」
「イデッ!」
俺はなぜか遊華に殴られた。妹よなぜ殴る?
「遊華ってすぐ手が出る方だったか?」
「お兄ちゃんが変な奴とか言うからでしょ!それに……」
「それに?」
「こんな事お兄ちゃんにしかしないもん……」
できれば俺にもしないでほしいんだが……
「全く嬉しくない特別扱いをありがとよ」
「ふんっ!ばか……」
遊華にそっぽを向かれてしまった。10年前、遊華とほとんど会話をしたことがないので、機嫌を損ねた遊華の対応の仕方なんか知らん。
「遊、遊華とイチャイチャしているところ悪いが、そろそろいいか?」
不意に香月さんから声が掛かった。だが、なぜ俺を睨む?美月さんもだ。
「イチャイチャしてはいないが、何だ?」
「遊、君の生活用品を買いに行こうと思うんだが」
忘れていたが、俺の部屋は現在、遊華が使っている。俺が今着ている服は父さんからの借り物だ。つまり、俺の衣類は昨日着ていたもの以外ないのだ。
「いいんじゃないか?俺もさすがに常に同じ服ってわけにもいかねぇし」
「そうか、ならば私と二人きりで買い物に行こう」
香月さんによる遠回しなデートのお誘いがきた。クールなお姉さんとデートか……なんかいいな……
「「ちょっと待った!!」」
遊華と美月さんが黙っているわけないよな。うん、俺わかってた。
「遊ちゃんは私と二人でお買いものに行きたいよね?」
美月さんが参戦してきた。天然お姉さんとのデートもいいな。
「お兄ちゃん!私と二人でがいいよね!?」
遊華、お前もか……
「みんなで行きたいです」
俺にはみんなで行くという選択肢しか選べなかった。3人とも怖いし
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回は買い物!って思いましたけど、ここらで遊が遊びに行ってからの遊華の心情になると思います