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体育が終わる頃にはすっかり空が曇っていた。
一段と、寒そう。
何か、僕の心とリンクしてるみたい。
さっきの木戸先輩の言葉が、僕をチクチク刺してる。
『そろそろ返してくれない?光ちゃん』
ウソだよって、言ってたけど。
返してくれない?って時の木戸先輩がすごく真剣な顔で。
………びっくり、した。
返せって、言われても。
真鍋先輩は僕のものじゃないよ。
それに僕が………。
僕が勝手に好きな、だけで。
屋上にお弁当を食べに行った時に見た、真鍋先輩の木戸先輩を見る顔を思い出す。
僕の知らない、見たことのない、甘い顔で笑ってた。
亮平くんって。
亮平くんって……………。
外。
雨が、降りそう。
雨が降ったら、自転車で帰れない、ね。
僕が真鍋先輩に触れられる、一番一番、ドキドキする、大切な時間が。
今日は………ないのかな。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
ふと思い付いて、リュックからラッキートランプを出した。
帰り、どうしたらいい?
トランプをシャッフルして、ひいた。
ダイヤの2…雨でも大丈夫傘はいらない
何で。
こんなどんぴしゃで出るって、このトランプは一体何なんだろう。
不思議に思いながら、片付ける。
そう言えば誰から送られてきたっけ?それも分からないや。
なんて言ったら、ちゃんと確認しろや!!って、透と友弥に怒られそう。
「あっ………」
箱にしまおうとして、ぼんやりしてたせいでバラバラって、机に散らばって。
1枚だけ、床に落ちた。
ダイヤの4…駅まで歩こう
どきんって。する。
ちょっと、怖くなる。
ラッキートランプ。
あなたを必ず幸せに導きます。
幸せに導いてくれるって言う、その『幸せ』は、何を示しているんだろう。
まだ誰も居ない教室で、僕は不思議なトランプを見つめた。




