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Led by cards  作者: みやぎ
25/131

24

今日のラッキートランプ!!






悩んでても仕方ない。



真鍋先輩のこと、好きになっちゃったんだから、仕方ない。



透と友弥が分かってくれた。



それだけで、元気になれる。ううん、なってやる。






トランプを取り出して、シャッフルする。






えいっっっ!!



ハートのA…ラッキーアイテムはマフラーと手袋。






そろそろ寒いし、ちょうどいいかな。



がさごそとマフラーと手袋を探しながら、昨日真鍋先輩に借りたマフラー、先輩のにおいがした………なんて思い出してて、スマホが鳴る音で我に返った。






ついた






素っ気ない一言。






リュックを背負って、マフラーと手袋を持って、僕は急いで階段を降りた。






「おはようございます」

「おす」






びゅーーーって吹いてきた風に、真鍋先輩と肩をすくめた。



今日はいつもよりずっと寒い。






「先輩、手、冷たくないですか?」

「結構冷たい。手袋持って来れば良かった」






その時に、あ!!って思って。



手袋を、真鍋先輩の前に差し出した。






「え?」

「昨日僕が借りたから、今日は先輩に貸します!!」

「そしたら新井の手が冷たいだろ」

「先輩の背中であっためます」

「何だそれ」






くっくっくって、真鍋先輩が笑って、僕の手袋を取った。



借りるよって、はめて、僕が座るまでいつものように支えてくれて。






「手、貸して」

「え?」






そう言って、僕の両手首をそれぞれ持ったかと思うと。






真鍋先輩のブレザーのポケットに、入れられた。






僕の右手は真鍋先輩の右のポケット。



僕の左手は真鍋先輩の左のポケット。



もう、完全に、僕。真鍋先輩に………抱きついてる。






「先輩、これはちょっと………」

「嫌?」






手首を掴んだまま。



前を向いた、まま。






低い声で、聞かれて。






違うよ。



嫌じゃなくて。そうじゃなくて。






「嫌じゃ、ないです」

「じゃ、行くぞ」






真鍋先輩。






僕、ドキドキしちゃうんだ。ぎゅって、力を入れたくなっちゃうんだ。



背中に顔を埋めて、好きですって。






「ちゃんと、つかまれ」

「…………はい」






冷たい風の中、自転車は走る。






僕は学校に着くまでの間、何度も何度も心の中で、好きですって、呟いた。

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