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目尻に浮かんだ涙を、こーちゃんが唇で掬ってくれて、ベッドの上で、ぎゅって抱き合った。
素肌の熱が、やっぱりドキドキする。
「ごめんね、こーちゃん」
「いいって。俺もがっつき過ぎた」
『さっきの続きして』って僕が言って、制服のままだったから、ブレザーを脱がされてネクタイをほどかれて、カッターシャツとTシャツがベッドの下に落とされた。
こーちゃんも同じで。
初めて見て、初めて触れるこーちゃんの何も着ていない身体に、僕の中の何かが這い出そうとしていた。
たくさんのキス、深くてぼーっとしちゃうキス、そしてこーちゃんの手と唇で感じた感覚に。
僕はもう、訳が分からなくなった。
少し大きい、変な形のほくろがある背中にも、いっぱいいっぱい触れられて、キス、された。
ズボンのベルトにこーちゃんの手がかかった時に。
急に我に返って。
こわくなって。恥ずかしくなって。
待ってって。こわいよ、恥ずかしいよって。
泣きそうになって訴えた僕に、こーちゃんは、熱い熱い息を吐いて。
ごめんって。
低く囁いた後、僕の上でじっとしてる。
「こーちゃん、あの………大丈夫?」
やっぱりさ、色々と、あの………大変、だよね?
いや、それは僕も同じなんだけど。
同じなんだけど、多分………きっとこーちゃんの方が大変、かも。
「………大丈夫じゃねぇ」
「ご、ごめんなさい………」
「真尋は?大丈夫か?」
「うぇっ!?僕っ!?ぼ、ぼ、僕………!?僕は………えっと…………」
焦りまくる僕を、こーちゃんが、笑う。
「ゆっくり、な」
「うん………ごめんね」
「もうちょっとこうしてていいか?」
「ずっとしてていいよ…………。気持ちいい」
「あのなぁ…………」
ズボンは履いたままだけど、上は何にもない、素肌同士が重なってる。
気持ちいいって。
こーちゃんの、遮るものが何もない身体が気持ちいいって思ったからそう言ったら、ごつっておでこをぶつけられた。
「いたっ。痛いよ、もうっ」
「頼むからこれ以上煽るな」
「だって、気持ちいいんだもっ…………」
最後まで言うことは、できなかった。
こーちゃんの唇が、僕の唇を塞いだ。
「止まらなくなるから、マジでやめろ」
「う………。ご、ごめんなさい」
「キスだけさせて」
「うん………いっぱい、して」
大好き。
ぎゅって抱き締めて。抱き締められて。
僕たちは、たくさんのキスを、交わした。