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Led by cards  作者: みやぎ
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123

「滝沢先輩!?」






痛いぐらい強く、強く、抱き締められた。






やだ。






真鍋先輩の時とは違う。胸の奥がきゅって熱くなるんじゃなくて、背筋に、冷たいものが走る。






やだ。



嫌だ。



離して。






僕が目一杯押し返しても、滝沢先輩は全然離れてくれない。






抱き締められて。首筋に顔を埋められて、僕は何が何だか、分からなかった。






真鍋先輩早く来てって。



早く来て助けてって。






「ずっと好きだった」

「………え?」






その言葉に、僕はびっくりして。






止まる。






「お前が野球部入って来てすぐ、好きになった」

「滝沢先輩、何言って………」

「一生懸命練習してるところとか、どんなにキツい練習でも泣き言言わないところとか、キツいのに一番声出して、まわりを励ましてるところとか」






びっくりして、抵抗するのを忘れて、固まってたら、

滝沢先輩の手が、ほっぺたから首筋を撫でた。






鳥肌が、たった。






違う。嫌だ。






「気づいたら、好きになってた」

「離して、ください」






どう、したらいいの?






滝沢先輩は尊敬する先輩。



お世話になった先輩。



カッコよくて、野球うまくて、面倒見がよくて。






でも。



でも。僕。僕、には。






「冬休み、何があった?」

「何がって」

「すげぇ雰囲気変わった。男相手に何だけど、本当に美人度増してる」

「何にも、ないです」

「本当に?」






真鍋先輩、早く来て。



早く迎えに来て。






離してって腕に力を入れるけど、滝沢先生はやっぱり全然離れてくれない。






滝沢先輩のことは、キライじゃない。



むしろ好き。



でも僕の好きと、滝沢先輩が言う好きは、違うもので。






僕は、真鍋先輩が好き。






「真尋」






嫌だ。



僕を真尋って呼ぶのは真鍋先輩。滝沢先輩じゃない。






「やだ、離して」

「好きだ」

「………っ!!」






囁いた滝沢先輩の唇が、僕のおでこに。






触れた。

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