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「おはようございます!!」
部室のドアを開けて挨拶をしたら、ドアの先に何人かの野球部員と。
「滝沢先輩!!」
「おす」
「来てくれたんですねっ」
そこには一際目立つ、野球部伝説の鬼主将、超絶カッコいい滝沢先輩が居て、僕のテンションはかなりあがった。
真鍋先輩もカッコいいけど、真鍋先輩に負けないぐらい、滝沢先輩もカッコいい。
オーラが違う。ぱあああああってその場がキラキラする。
僕は特に、滝沢先輩には本当にお世話になったんだよ。
新井、新井って何かと声をかけてもらって、練習に付き合ってくれて、僕がレギュラー取れたのは滝沢先輩が居てくれたから。
まあ、滝沢先輩の練習メニューは死にそうだったけどね。
「新井、ちょっと見ない間に雰囲気変わったな」
「そうですか?」
「美人度が上がってる」
「何ですか、それ?」
僕はユニフォームに着替えようとロッカーに荷物を置いた。
滝沢先輩が付いてきて、僕の足を指差す。
「足、どう?」
「ほとんど治りました。でも冬休み中は別メニューの練習しろって、坂本先生が」
「その方がいいな。捻挫はきちんと治さないと」
ブレザーを脱いで、ネクタイを外して、カッターシャツを脱いで。
Tシャツ1枚になった所で、滝沢先輩による恒例の身体測定が始まる。
あっちこっちぽんぽんぽんって触って、筋肉チェック。
「真面目にやってるな、筋トレ」
「はい、やってます」
「やってる割りに相変わらずほっそいけどなー」
「ムキムキになれないんですっ」
「新井のムキムキは何かちょっと嫌だけどな」
「何でですか!?」
「その顔でムキムキはないだろ。よし、合格」
「その顔でって、何ですか?え、合格!?やった!!」
最後にぽんぽんって、胸の辺りを叩かれて、うん、よしって言われた。
やった!!真面目にやってて良かった!!
「今日は付いててやるよ」
「うわ、久しぶりの滝沢先輩鬼筋トレ」
「ありがたいだろ?」
「………ありがたいです」
「嫌そうに言うな」
滝沢先輩に笑われた。
真鍋先輩と一緒に来て良かった。僕今日絶対ヨレヨレになるまでしごかれる。
そんなことを考えながら、ユニフォームを着た。