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Led by cards  作者: みやぎ
121/131

120

今日はジョーカーかなって、ラッキートランプをえいってひく。






スペードのQ…言わないと伝わらない






ジョーカー、入ってるよね?






残りのトランプはジョーカーを入れてあと3枚。



ピエロの絵のジョーカーは、ちゃんと入ってる。






ジョーカーを入れて、あと、3枚、か。






「ありがと」






僕はトランプに向かってお礼を言った。






真鍋先輩を好きになって、真鍋先輩と想いが通じたのは、このトランプのおかげ。






あと3枚。






次にジョーカーが出ても、僕はもう充分幸せにしてもらったよ。






箱に入れて、リュックにしまった。











ついた






やっぱり素っ気ない真鍋先輩のメールに、僕は急いでリュックを背負って階段を下りた。



今日は年が開けて最初の部活。






真鍋先輩と一緒に行くんだ!!






「行ってきます!!」

「行ってらっしゃーい」






僕は、勢いよく玄関を開けた。






「おす」

「おはようございます!!」






僕は、自転車の後ろに跨がって、真鍋先輩の腰にしがみついた。



行くぞって言って、自転車が、走り出す。






言わないと伝わらない。






トランプで出た言葉。



何だろうな。



って、これしかないよね?






「先輩」

「ん?」

「好き」






おでこを背中にくっつけて、小さく言ってみる。






聞こえたかな?聞こえなかったかな?



ちょっと、ドキドキしちゃう。






「まひろー」

「なあに?」

「やり直し」

「え?」

「それ言うときは先輩じゃなくて」

「………こーちゃん?」

「そう」






先輩、で、慣れちゃったから、こーちゃんって呼ぶの、まだ恥ずかしいのに。






ううんっ、なんて。思わず咳払いをする。






「こーちゃん大好き。キスしたい」

「………朝からヤバイわ、お前」






笑い声と、真鍋先輩の照れた声に、僕は笑った。










「終わりは何時?」





自転車置き場に自転車を置いて、運動部の部室がある方へ一緒に向かう。






「12時」

「一緒だな。部室で待ってろ。迎えに行く」

「うんっ」

「お前んち、寄ってっていいか?」






歩きながら、そっと、こっそりと、触れる手と手の、甲。






繋ぎたいけど、無理だから。然り気無く、触れて、触れさせて。






「うん………いいよ」

「じゃあ後でな」

「うん」

「覚えとけよ」

「ん?」






真鍋先輩が、ふいに笑顔を消して、僕の耳に顔を寄せた。






「お前んち行ったら、死ぬほどキスしてやる」

「………うん。いっぱい、して」






ぽんぽんって、僕の頭を叩いて、真鍋先輩はサッカー部の部室の方に行った。






死ぬほどキスだって。






ふふふって、真鍋先輩の背中を見送りながら思わず笑っちゃう。






真鍋先輩。いっぱいいっぱい。






……………したい。






真鍋先輩がこっちを見て手を振ってくれた。



僕も手を振り返して、野球部の部室に向かった。

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