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真鍋先輩と会えなかった2日の昨日。そして3日の今日。
もう日が沈んで、外は真っ暗。
会えない。
どうしてたったそれだけで1日がものすごーーーく長く感じるんだろう。同じ24時間なのに。
しかも電話がかかってこない。メールも来ない。
ジョーカー覚悟で朝ひいたラッキートランプは
スペードの2…電話が鳴らなくても心配しないで
心配しないでって言われてもさ。
このまま連絡が来なくなったらどうしよう、なんて、つまんないことを考えちゃう。
たったの2日間なのに。
そんなことないない。真鍋先輩はただおじいちゃんの家に行ってるだけで、ただ電話とかメールができない理由があるだけ。
そう自分に言い聞かせるのに。
やっぱり………どうしちゃったんだろうって。
こんな風に誰かを好きになって、触れて、抱き締め合って、キスしてって、初めてだから、どうしていいか、分かんないんだよ。
メールしてもいいのかな。電話しても、いいのかな。
でも真鍋先輩から連絡が来ないってことは、しない方がいいのかな。
はああああああ。
大きくため息をついて、テーブルにゴンって頭をぶつけた。
何か僕、自分で自分がぼりしょんだよ………。
「真尋ーーーー」
テーブルにおでこをくっつけたまま、スマホを持ってどうしようーーーって悩んでいたら、下から母さんの呼ぶ声。
誰かと何か言って、階段をのぼる足音が聞こえた。
「なあにーーー」
何だろうとドアを開けて、階段を覗いたら。
「せんぱい⁉︎」
真鍋先輩が、居た。
ど、どうして?何で?
今日の夜に帰って来るって。だから会えるのは明日って。そう聞いてた、から。
「もう遅いからすぐ、帰るけど」
部屋に入って、ドアを閉める。
「会いに来た」
「………うん」
優しく笑う真鍋先輩が、ふんわりと、抱き締めてくれた。
「悪い、スマホの充電器持ってくの忘れて、電池切れてメールできなかった」
「………そうだったんだ」
「父さんの用事で早く帰ることになったから、そこで降ろしてもらった」
「え………?」
「家帰ってから電話しようかとも思ったけど」
真鍋先輩の手が、ほっぺたに触れる。
僕を見てる、甘いあまーい顔。
「やっぱ顔が見たくなった」
「………うん」
「30分ぐらいしたら、帰るな」
30分。
それだけのために、来てくれたの?
「先輩」
「ん?」
嬉しくて、しがみつく。
「……………こーちゃん」
「どうした?」
「ありがと。………大好き」
ばーか。
照れた声に、顔を見たら。
俺もって、キスされた。