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「何、お前ら。どうしちゃったの?」
いつものように僕の部屋に来た透が、僕と友弥を見て言った。
どうしちゃったのって言われても。言われても、さ。
僕はベッドの上で、友弥はクッションを枕にして、ゴロゴロして、ぼんやりしていた。
だって、だって、だって、だよ。だってなんだよ。
真鍋先輩が3日までおじいちゃんの家で、4日の部活行く時まで会えないから。
いっぱいキスさせろって言われて、いっぱいキスしてって言って。
キス、した。
優しい、触れるだけのから、頭がぼーっとしちゃうような、びっくりしちゃうようなの、まで。
耳や首筋も、たくさん。
今日はずっとそんなこと、してた。
ただ、今日は。今日は。
服をちょっと捲られて、お腹の辺りにまで、キスされて。
背中にキスされた時と同じ。くすぐったいような、それだけじゃないような。
真鍋先輩の唇が触れるたびに、身体も顔も、熱くなった。
「何かあったの?」
「何でもないよ」
「何も」
「二人して顔赤いけど」
「赤くないよっ」
「赤くないわっ」
友弥と同時に言って、同時に起き上がって、友弥と顔を見合わせて、友弥の顔が赤くて。
「友弥、赤いよ?」
「まーくん赤いよ」
「だから言ってんじゃん」
いや、だから。言えないでしょ?さすがに、こんなこと。
「ついに二人ともヤっちゃったの?」
「え?」
「ちがっ…………」
一瞬何のことか分からなかったけど、ニヤニヤする透に友弥が更に真っ赤になって、それを見て分かって、つられて僕まで更に赤くなった。
こ、これじゃあヤっちゃったって思われちゃう!!
「ヤってない!!ヤってないよ!!」
「まーはまだっぽいな。でも友弥はビンゴだろ」
「ええええええっ!?」
「やめろや!!」
「ほら」
「ほらって何だよ!?」
「キャラ変わってる」
「変わってねぇよ!!」
「諦めろ。バレバレだ」
「ばっ…………」
友弥が左手で顔を覆って項垂れて、ぼふってクッションに沈んだ。
え?ちょっと、待って。
って、ことは。てことは!?
「と、友弥…………?」
「ヤっちゃったな」
「ホントに………?」
「うるさいよ、もう………」
友弥の、クッションに突っ伏したくぐもった声。
否定、しないし。
友弥………友弥が。大人になっちゃった………。
「まー」
「な、なに?」
呆然とする僕に、透がニヤニヤしてる。
もう、透の顔ニヤけすぎ!!
「どうヤるのか、友弥に聞いといた方がいいぞ」
「なっ、なっ、なっ………」
「透くん!!」
「まーももうすぐだろ?」
「ええええええっ!?も、もうすぐ!?」
いや、ちょっと、ちょっと、待って!!
ちょっと待って!?
そりゃ何か色々触られたりしてるけど!!
何か色々…………色々だけど!!
でもっ、でもーーーー!!
「………まだまだ先、か」
「まーくんだからね」
「真鍋先輩は大変そうだなぁ」
「だね」
「え!?何!?どういうこと!?」
あわあわしてる僕を、2人が笑った。