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Led by cards  作者: みやぎ
118/131

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初詣は駅で解散して、真鍋先輩は僕んちに来ていた。






「真鍋くん、あけましておめでとうっ。今年も真尋共々よろしくねっ」

「あ、はい、よろしくお願いします」






いつものように飲み物とお菓子を運んで来てくれた母さんが、どさくさに紛れて真鍋先輩の手を握ってぶんぶんしている。



真鍋先輩も律儀に挨拶をしていて、僕は受け取ったトレイをテーブルに置いて、母さんをえいえいって押して、部屋から追い出した。






本当に母さんは油断も隙もないんだから!!






「母さんはよろしくしなくていいの!!」

「あら、どうしてよー」

「そんなの聞かなくても分かるでしょ!?」

「えー?母さん分かんないなぁ」

「お菓子ありがと!!ほら、早く下行って!!」

「ちょっとぐらいいいじゃない、真尋のけちー」

「けちでいいっ」






バタンってドアを閉めたら、真鍋先輩が超笑ってた。






「真尋の母さんやっぱ面白いわ」

「面白くないです!!もうっ、毎日毎日!!」






どすんって真鍋先輩の隣に座って、母さんが焼いてくれたクッキーを口に放り込む。






むむ。今日も美味しい。






もう1枚クッキーを取って、真鍋先輩の口にも入れる。



パクって指まで食べられて、慌てて手を引っ込めた。






「もう!!」

「うまいな、これ」

「………うん。美味しい」






ふふふって笑って、ミルクティーを飲んだ。






「今日は、早めに帰るな」

「え?」






これ、真鍋くん専用のマグカップって母さんが買ってきたのは、僕が使ってるマグカップの色違い。



それをコトンと置いて、真鍋先輩は僕に言った。






「夜からじいちゃんち。で、3日まで泊まり」

「………うん、分かった」

「4日から部活だろ?」

「うん」

「サッカー部は9時から。野球部は?」

「一緒だよ」

「じゃあ迎えに来る」

「うん」

「真尋」

「ん?」

「すぐだから、んな顔すんな」

「え?」

「寂しいーーーって、顔」






眉毛を下げて笑う真鍋先輩が、僕の頭をぎゅっと抱き寄せてくれた。



毎日のように会ってるから、会えないのが何か変な感じだなって。






「………寂しい」






真鍋先輩の肩に凭れて、小さく呟く。






「真尋」

「なあに?」






呼ばれて真鍋先輩の方を見たら、キスを、されて。






「先輩、大好き」

「先輩じゃなくて」

「こー、ちゃん?」

「そう。はい、もう1回」

「………こーちゃん、大好き」

「よくできました」

「何、それ」






おでことおでこをくっつけて、笑う。






「寂しいなぁ」

「すぐだよ」

「先輩は寂しくないの?」

「ばーか。そういうことは聞くなっつーの」

「どうして?」

「カッコ悪ぃだろ?寂しいって言ったら」

「僕は嬉しい」






寂しいって言ってくれたら嬉しい。






それってだって。



好きと同じことじゃない?






「お前には敵わんわ」

「ん?」

「寂しい、よ。寂しいから」






ラグの上にそっと倒される。






「いっぱいキスさせろ」






目を、閉じて。






「いっぱいキスして」






答えた。

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