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Led by cards  作者: みやぎ
116/131

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真鍋先輩の家で結局お昼ごはんまで出してもらっちゃって、何をしてたって訳でもないけど、もう夕方。






部屋の中が薄暗くなってる。さすがにもう帰らなきゃ。






一緒に見ていた雑誌や食べていたお菓子のゴミを片付け始めた。






「そろそろ、僕、帰りますね」

「だな。送ってく」

「大丈夫。道分かります」

「ばーか」

「何でっ」

「ちょっとでも長く一緒に居たいだろ」

「え」





ちょっとでも長くって。そんなこと言われたら………嬉しくて。






「そこで照れるな。余計に恥ずかしいわ」






ごろごろしてる真鍋先輩に、べしっておでこを叩かれた。






「明日から、部活?」

「うん………。部活」

「だよなぁ」






時間は?



って聞きながら、真鍋先輩が腕を引っ張るから。



四つん這いになって片付けてた僕は、真鍋先輩の上に乗り上げちゃう。





これじゃあ僕が襲ってるみたいなんだけど………。






「明日は12時までです」

「そのあと予定、ある?」

「宿題やるぐらい」

「お前んち、行って………いい?」






会いたい。






って、小さい声で言われて。




うんって小さく、答える。






会いたい。時間があるなら。僕も。






こてんって、真鍋先輩の胸の辺りに、頭をくっつける。






「分かんないとこあったら教えてやるよ」

「………うん」

「初蹴りは俺、行くことになってるから、時間合ったら一緒に行こう」

「………うん」






部屋が、どんどん暗くなっていく。



そんな中で、こんな風にくっついてて、そう意識したら、僕は段々ドキドキしてきちゃって。






「ドキドキしてない」

「ん?」

「こんなにくっついてるのに、先輩全然ドキドキしてない」

「そう?」

「僕なんか超ドキドキしてるのに………わあっ」

「どれどれ」






しまった、と思った時にはもう手遅れで、僕はぐるんって回って、今度は真鍋先輩が僕の上になった。



そして真鍋先輩の耳が、僕の心臓のあたりにくっつく。






もちろん服の上、だけど、夜のこと、思い出しちゃう。



耳にがぶってされたとか。キス。とか。







「すげぇな」






笑われる。






「先輩のこと、好きだからだよ」






何気なくそう言ったら、真鍋先輩がはあああああって、超大きなため息をついた。



言っちゃった僕は、ますますドキドキして、ドキドキ聞かれてるよね?って、何か余計に恥ずかしくなってくる。






「帰したくねぇー」

「え?」

「真尋を家に帰したくない」

「………うん。僕ももっと一緒に居たい」

「でも、帰さないと俺がヤバイ」

「ヤバイ?」

「よく我慢できたわ、マジで」

「我慢?」

「天然小悪魔は手強かった」

「先輩?」

「………真尋は分かんなくていい」






真尋。






僕を呼ぶ真鍋先輩が、じっと僕を見下ろす。






このまま時間が止まっちゃえばいいのに。






真鍋先輩のほっぺたに、触る。






このまま。



このまま、さ。






「先輩………キス、して」

「………じゃあ名前、呼んで」

「えええええ」

「えええええじゃねぇって。ほら、呼ばないなら帰るぞ」

「………いじわる」

「いじわるだよ」






どうすんの?って、すぐ真上で、笑ってる。






「………こーちゃん、キスしてください」

「何か………ごめんなさいって言いたくなるわ」

「え?」

「いや、俺事情」

「先輩って時々よく分かんない」

「だから分かんなくていいって」

「こーちゃん………」

「ん?」

「キス」

「マジ最強で困る」






先輩眉毛下がってるよって笑ったら、真鍋先輩はうるせぇって言って。






暗い部屋。そっと唇が重なった。

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