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白いふかふかの絨毯の上に敷かれた布団に、それぞれがごろごろしてる。
2つ並んだ布団の木戸先輩の隣に友弥。
反対側、頭を合わせるように敷かれた布団の端っこに透、真ん中に僕、その隣は真鍋先輩。
僕は、真鍋先輩の隣。
布団に入った後、こっそり手を繋いだりできるかな?
ふたりきりになれなかったら、夜中に耳元で言っちゃう?
うつ伏せに寝転んで、ソワソワしながら真鍋先輩を見る。
僕が見てるのに気づいた真鍋先輩が、何?って顔で僕を見るけど。
笑って、ごまかした。
「そう言えばさ、ハヤって何が見えてんの?」
木戸先輩が急に思い出したように言って、みんなできょとんってなった。
「え?」
「不思議な目だなーと思ったんだよね。最初。で、気になってお前見てたら時々変なとこ見てんだよ。何かあんのかなーって見ても、おれには見えないし」
「あー」
「それね」
透と僕とで頷く。
そうそう、友弥はね。昔からだよねって。
「実は…………見えちゃいけないものが見えてます」
「あー、やっぱり?」
「はい」
「どんなのが見えんの?」
「え?ちょっとやめようよそういう話。俺苦手なんだけど」
真鍋先輩がすごーく嫌そうに言うのを、友弥がニヤってして見たのが分かった。
あー、真鍋先輩、友弥にロックオンされちゃったかな?
僕も怖いのは苦手だけど、友弥と一緒だともうすごすぎて、話を聞くだけじゃ何とも思わなくなっちゃったんだよね。
それは多分透も同じ。
真鍋先輩がほふく前進でぴとって僕の横にくっついた。
マジやめて、マジやめよって言ってて………かわいい。
「夏休みの野球部のロードワーク中、いっつも見かける男の子が居たんですよね」
「だからやめろってマジで!!」
「いっつも居るから、つい話しかけちゃって」
「知らないヤツには話しかけんなよ!!基本だろ!?」
ああ、そうそう、そんなことあったよね。
ロードワークの途中で、友弥が立ち止まって何か話してて、透と2人でまたか?って。
木戸先輩がワクワクした顔で聞いてて、真鍋先輩は僕にしがみついてる。
笑っちゃいけないんだけど、ぷぷってなる。
「気づいたら、何かよく分かんないところに居て」
「何だよよく分かんないところって!!」
ちょ、ちょっと、真鍋先輩?
「たまたま通りがかった人に道聞いたら、汗がすごいからまあうちでお茶でもって言われて」
「だから知らないヤツにはついてっちゃダメだって」
近いよ?
「行ったら」
「やめろって」
あの、真鍋先輩?
「そこんちの仏壇に、その男の子の写真があったんですよね………」
「わーーーーーーっ」
僕に抱きついてるんですけどーーー!!
「光ちゃんうるさいよ」
「だから苦手なんだって!!」
うつ伏せになってる僕に真鍋先輩の身体半分が乗ってて、ぎゅうって腕が絡みついてる。
嬉しいような、絞められすぎて苦しいような。
「そうそう、こんなことも………」
「もうやめろって!!」
友弥の顔を見る。
友弥と目が合う。
真鍋先輩、ダメだ。
友弥、完全に面白がっちゃってる。