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手を繋いで部屋に戻ったら、布団がもう敷いてあった。
これ、どういう並びで寝るんだろう。
真鍋先輩の隣で寝ても、いいかな?なんて………。
「ごめんね?ふたりとも。さっきは邪魔しちゃって」
僕と真鍋先輩を見てふふふふって笑う木戸先輩。
友弥も言ってたけど、だからどうして木戸先輩ってこういう爆弾を落としてくれるんだろう。
せっかく落ち着いてきたのに、僕はまた顔が赤くなるのを感じた。
「え、真鍋先輩、まーにTシャツ持って行くって言って、結局イチャってたんですか?」
「まーくん襲われちゃったの?」
「んふふふふ」
「りょーうーへーいーくーん」
いたたまれないってこういうことだよね?
僕は持ってたサンタさん服をしまうふりをして、リュックが置いてあるところに一目散に逃げた。
後ろでみんなが笑ってる。
もうやめてよね、本当に!!
「俺風呂行ってくるわ」
あ、真鍋先輩も逃げた。
この状態で残される僕の身にもなって欲しい………。
よし、ちょっとでも時間を稼ごう!!って、脱ぎっぱなしだった服をキレイに畳んでみたり、リュックにつめたりしてみる。
こうしてる間に話題が変わってくれるといいんだけど。
寝る前の歯磨きのため、歯ブラシをリュックの上の方に置く。
その時に、ラッキートランプも出てきた。
ラッキーアイテムTシャツって、きっとさっきのアレだよね?
じゃあ次、ひいてもいいかな?
透たちを見ると何か違う話題で盛り上がってるし。
こっそりトランプを取り出して、シャッフルする。
そろそろジョーカーひいちゃうかな?
僕、そろそろ真鍋先輩と………キスしたい。
自分の考えに自分で赤くなって、えいって1枚ひいた。
ハートのQ…合言葉は好き
「…………え?」
合言葉は好き?
好きって。好きって。
好きって………。
「まー、何やってんの?」
「ううん、何でもないよ」
急いでトランプをしまう。
ドキドキする。
好きって。好きって。
そんなトランプ、出ちゃったけど。
僕、言っちゃって、いいの?
言ったら真鍋先輩、何て言ってくれる?
次に、真鍋先輩とふたりきりになったら。
………好きって、言おう。
僕はトランプの箱をぎゅっと握って、心に決めた。