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ちょ、ちょっと待って!?何か僕今すごいことされてない!?
背中!!僕の不思議な形のホクロがあるそこを、そこを、そこを!!
何回も、真鍋先輩の唇がっ………!!
「せ、んぱっ…………」
くすぐったいのか、何なのか。
ゾクゾクってして、身体がぎゅうってなる。
「誰かに触られたこと、ある?」
「ないよっ………!!」
「俺が、初めて?」
「そう、だよっ………」
もう、やだ。変な感じになってくる。ゾクゾクする、ゾワゾワする。
「やっ……………」
すーーーーっと背中をまっすぐ、縦になぞられて、自分の意思とは関係なく身体がびくってなっちゃって。
熱が上昇する。
「真尋………」
熱っぽく僕を呼ぶ声にも、何でか身体は跳ねちゃうんだ。
「や、だ。もう、やだ」
「何で?」
「何でって………」
僕、好きって言ってないよ?真鍋先輩に、好きって言われてないよ?
僕たちまだ、キスもしてないよ?
それなのに、これって。
「やだ、もう、いやっ…………」
込み上げてくるおかしな感覚に、こわくなる。
熱い息が、漏れてしまう。
真鍋先輩に身体を反転されて、今度は真っ正面から向き合う。
「マジで、ヤバい」
「先輩………?」
僕の額に、ほっぺたに、首筋に、左肩に、真鍋先輩の唇が触れる。
「先輩、待って………!!」
「無理」
「やだよ」
「やだって言うな」
「やだ!!」
「真尋」
真鍋先輩の身体を押し返そうとする腕をつかまれる。
視線が絡まる。
すごい、目だよ。
そんなの、見たこと、ないよ。
熱っぽくて、透んでて、刺さるみたいな。
そんな目で見られたら、頭の奥が、ショート、しちゃって。
「キス、して」
「ま、ひろ………」
「キス、して………?」
何かと葛藤しているように、真鍋先輩の目が、揺れる。
もう、やだ。我慢できない。したくない。
その唇を。
唇で。
感じたい。
「真尋………」
真鍋先輩の顔が近づいて来る。
鼻先が触れる。
あと、少し。
絡む視線が言ってる。
好きだよって。
欲しいよって。
僕もだよ。
僕も好き。
僕も、欲しいよ。
目を、閉じる。
来る。
息が、止まる。
そして。
「光ちゃん、ちょっといい?」
「ひゃああああっ」
「なっ……………」
突然開いたドアに。
僕の心臓は絶対に一瞬止まった。