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Led by cards  作者: みやぎ
100/131

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木戸先輩が、嵐のように去っていって、僕たちはシーンってしてた。






「友弥………木戸先輩とヤっちゃったの?」






その沈黙を破ったのは、透。



ぶほって友弥がむせた。



僕もぶほってなった。






そ、そんな直球で聞いちゃうの!?カーブとかフォークとかの変化球にしないの!?



っていうか、え?ぶほって、ぶほって?






「ヤってないし」

「じゃあさっきのアレは………?」

「いや、アレは………」

「アレは?」

「そんなの、いくら透くんとまーくんにだって言える訳ないじゃん!!」






バシャンって、透と僕にお湯をかけて、友弥はお風呂を出ていった。






「ヤっちゃったか?」

「ど、どうかな………」

「俺も出るわ。さすがにあちぃ」

「僕もうちょっと入ってるね」

「逆上せる前に出てこいよ」

「うん、ありがと」






透も出ていって、一気にお風呂が静かになる。



一人になるとただでさえ広いお風呂が更に広く感じられた。






本当のところ、友弥はどうなんだろう?透は簡単にヤっちゃった?なんて聞いてたけど、そもそもどうやって………。






「ダメだ、逆上せる。絶対に逆上せる」






ザブンって音と波をたてて、僕も浴槽から出た。











あれ?






あっついなーってとりあえず下だけ履いて、探してみるけどTシャツが、ない。






何で?持って来たはずだよね?



ラッキートランプでラッキーアイテムって出たから持って来たのに。



お風呂に来る時に確かに持って来たはずなのに。



どうしよう?



どうしようって言っても、タオル被って部屋に戻るしかないよね?






ちょっと………だいぶ、恥ずかしいけど。






床に置いたタオルを拾って、被ろうと思ったその時、ガラッと開いた脱衣所の、ドア。






「ひゃあああああっ」

「あ、わりっ」






そこに、真鍋先輩が、立ってて。






「せ、先輩っ」

「Tシャツ、落ちてて。持って来た」

「あ、う、うん………。探してた………」






隠す?でも隠すのも、おかしい?どうする?



どうしたらいいの!?






背中を向けてたドアの方、Tシャツを受け取ろうと、手を伸ばしたら。






「それ………」

「え?」






真鍋先輩の指が、するって、僕肩甲骨あたりをするって、撫でた。






「ひゃああっ」

「ひゃあって」

「だっ………だって」






真鍋先輩が撫でたのは、生まれた時からある、背中のホクロ。



ちょっと大きめでちょっと不思議な形をしているそれは、小さい頃によくからかいの対象になってた。






「クラスの女子が騒いでたやつ」

「え?何で?」

「真尋は片翼の天使だって」

「かたよくの天使?」

「片翼、翼が片っぽの天使」

「何で僕が天使なの?」






真鍋先輩の指がこれさって、ホクロを触る。






「これが、翼なんだって」

「えー、何それ?初めて聞きました」






鏡でしか見たことがないそれは、ちょっと長細くて変な形をしている。






それが翼みたいってことなのかな?



でもこんな小さい翼じゃ、飛べないよ?






「触ると幸せになるって」

「もう、何それ?意味分かんないよ?」






自分が今どんな格好で真鍋先輩の前に立ってるかって、一瞬忘れて、笑っちゃって。また撫でられた背中の手の温もりで、はっとなる。






僕、上、何も着てない。






真鍋先輩の目に、僕はどううつってる?






肩越しに真鍋先輩を見ると。



真鍋先輩は、じっと僕の背中を見ていた。






「俺、これに触ったから幸せになれるな」

「そんなの嘘だよ………」

「そうか?」






真鍋先輩はくすくす笑った。



笑いながらホクロをくるくる指先で触るから、くすぐったくなってきて、身体がピクピクしちゃう。






「先輩、くすぐったいっ」

「真尋」

「なあに?」

「やべぇ、すっげぇエロい」

「なっ…………」






ええええ⁉︎エロいって何⁉︎って焦った。



焦って。焦って。どうしようって。







そしたら、真鍋先輩の唇が。



真鍋先輩の、唇が。






スローモーションみたいに、見えた。僕の背中。僕のホクロに。唇が。ちょんって。






触れた、のが。

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