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ドッペル転生~鑑定&コピー能力で目立たず着々と最強に~ 作者:あまうい白一

一章 転生 そしてダンジョンへ~

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第九話 キマイラと一緒にとれーにんぐ

「ぬううう、天才めがああああ! 器用にものを持つことまで出来るのか!!」
「ああ、うん。まあな」

 あれからキマイラとの五分間トレーニングは毎日のように続けていた。

 毎日といっても、時間間隔が分からないので、寝て起きたらキマイラのところに行ってしゃべっているだけだが。
 そこで、キマイラの動きを盗み取ってよりよい動きを覚えていくのが最近の日課だ。

 もう三日は続けている。

 ……まあ、大体の動きが人間時代に出来ていた事なので、問題なくできてしまうんだけどな。

 今回は人間に変身して『物をつかむ』という技術の伝授だったらしいが、まあ、もともと人間な俺には普通にできるわけで。

「く、くそお。これでは私の宝である、技術が全くすごいものではないように思われてしまうではないか! ぬううう……!」

 いつものようにキマイラが拗ねてしまう。
 ここ最近は毎回この流れだ。

 美女状態で拗ねるキマイラも、通常状態で拗ねるキマイラも見ている限りでは面白いから、問題はないんだけどさ。

 それに今回で、俺はキマイラ状態で物をつかむという技術を得ることが出来たし。
 ダンジョン脱出に向けて、とても有益な時間を過ごしているな、と思っていると、

「ふう、全く。貴様といると、本当に、困るな。こうしているのが楽しく思えてしまう。貴様は同族だというのにな。立場も何もかも忘れて話せるとは、なんともありがたい話だ」

 拗ねて暴れていた、キマイラ(美女バージョン)が、そういってほほ笑んだ。

「うん? 俺が同族だと何か問題があるのか?」
「いや……野良の貴様には問題はないさ。里にいる同族たちとこんな話をしていたら、私の立場的に問題があるだけでな。うん、私は結構偉いんだぞ?」
「へえー」
「あ、なんだ、その態度。信じてないな貴様!」

 いや、信じる信じない以前に、キマイラが里を作って暮らしている事に感心して吐息しただけなんだけどな。

「これでも私は、里では少し有名な存在だったんだぞ! 偉くてお宝も技術もたくさん持っていたんだぞ! ……今ではこんなダンジョンに堕ちた身だけどな……」

 そしてキマイラは勝手に盛り上がって勝手に落ち込んでしまった。
 話してみて分かったが、こいつはかなり感情豊かな奴だ。だからこそ、しゃべっていて楽しいと思った。

「まあ、俺としてはアンタがいてくれてよかったけどな。こんな所で、キマイラの色々な動きを覚えられるってのは、うれしいことだし」
「天才の貴様の事だ。いずれ覚えられただろうさ。ふふ……」

 これは重傷だ。というか面倒くさい状態になっているぞ。
 まあ、ここまで世話になったことだし励ましておくか。

「いやいや、そんなことないって。あんたのおかげで、本当に助かってるって! キマイラの体が半分は魔力(マナ)で構成されているからこそ、変身が可能だっていう情報、俺、知らなかったしさ」
「……本当か?」

 拗ねた瞳に光が戻り始めた。あと一押しだな。

「そうそう。アンタからもらった技術も情報も、日常的にめっちゃ役に立ってるから。本当にありがたいって」
「そ、そうか! そうだよな! 私が長年修行して身に着けた技術なのだから、役に立つよな! うん!」

 よし、元気が戻った。
 このキマイラは、本当に素直だ。
 感情がコロコロ変わってくれるので、とても分かりやすくてありがたいと思う。

「うむ! 良かった、よかったよ! 私の技術を貴様に渡した甲斐があった! こんな所ではあるが、貴様にあえて本当に良かった!」

 キマイラは人間状態でもろ手を上げて喜んでいる。
 ちなみに当然ながらマッパなので、いろいろと女性的な部分が見えているので非常に危ない。まあ、今の俺はキマイラ状態なのと、目の前の美女の正体がキマイラだとわかっているからで、この裸には反応し辛いんだけどな。なんて思いながら見ていると、

「あれ、その背中の傷、前からあったっけ?」

 美女の背中から横腹にかけて、一筋の傷が入っていた。
 前に見たときは、なかったような気がしたのだが、と思っていると、

「……ああ、そうか」

 キマイラ(美女バージョン)は苦笑した。
 そして、そのままキマイラの状態に戻り、俺に向かって声をかけてくる。

「まあ、うん。ちょっとした個性付けみたいなものだ。人間の中には傷を誉とするものもいるだろうしな」

 確かにそういう戦士はいるけれど、

「本当にアンタは人間に詳しいな」
「長生きしてきたからな。さて、では今日はこの辺で終わりとするか。そろそろ貴様も帰る時間だろう」

 このキマイラから帰りを促してくるとは珍しいな。まあ、確かに五分間が終わりそうなので、ちょうどいいタイミングだけれどもさ。

「んじゃ今日は帰るわ」

 そうして俺は踵を返そうとしたのだが、その前にキマイラに詰め寄られる。

「なあ、貴様。明日、そう明日は絶対に来てもらいたいのだが、いいか?」
「ああ、別に構わないさ」

 キマイラの動きは大分覚えて、この部屋の視察も半ば終わらせているから、ダンジョン脱出の計画建てをする以外に予定はないし。
 問題なく来れる。そう告げると、キマイラは牙を見せて笑った。

「うむ、ありがたい。では、また明日、明日会おう……!」
「おう、それじゃあな」

 そうして俺は、今日のキマイラトレーニングを終えて、自らの餌場に戻っていく。
 背後からアビスキマイラの、穏やかな視線を受け取りながら。
●平行連載作品のご紹介
新作です。こちらの連載も応援して頂けると助かります!
元竜騎士が相棒の竜と共に、楽しく運び屋をしていく話です。
 最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます
http://ncode.syosetu.com/n4045ed/

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