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ドッペル転生~鑑定&コピー能力で目立たず着々と最強に~ 作者:あまうい白一

二章 出会う者と出くわす者

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第19話 昔とは異なる襲撃風景


「に、逃げろオオオオ! ヴァンパイアだああああ!」

 迷宮リゾートラビリスの中央にある大通りでは、そんな叫びがいくつも重なっていた。そして、

「ははは! 逃げろ、戸惑え、血で道を彩れ! このトーラス様に怯えて、恐怖しろ。ああ、これが見たくてヒトの街に来たのだ!」

 その騒ぎの元凶は、両手にぐったりとした人間を掴んだ状態で、ニコニコと笑いながら闊歩していた。
 大きな蝙蝠羽と、赤く染まった水晶のような目が特徴的な、ヴァンパイアロードの男だ。

 トーラスと名乗った彼はゆっくりと歩きながら、掴んだ人間の肉をむしり取り、口にする。

「んー、やはり恐怖している人間の血肉は美味いな。どうして里の老人どもはこれを食わないのか、理解に苦しむ。あの魔王を名乗るバカ女がいた頃はしたくても出来なかった事が、今は出来る! 何と嬉しい事か!」

 鼻歌交じりに喋るトーラスは、両手に掴んでいた人間を手放す。そして新たな獲物を見つけようかと周囲を見渡していると、

「貴様! これ以上の狼藉は許さんぞ!!」

 ガチャガチャと甲冑の音を響かせて、数人の人間の兵士がやってきた。

「ほう……兵士か。兵士の肉は筋張っていそうだが……相応に食いごたえはありそうだな」
「っ……!」

 舌舐めずりをするトーラスに対し、兵士たちは息をのむ。
 槍や剣を持つ手も震え始めていた。

 だけれども、誰ひとりとして逃げようとはしなかった。

「ラビリスで育った探索者兼兵士の力――な、なめるなよ! 総員、構え!」
「おう!」

 兵士たちは号令に従い、一斉に武器を構えた。
 その瞬間だ。

「遅いぞ、ニンゲン」
「……え?」

 武器を持っていた兵士たちの体に、トーラスの手が触れたのは。

 ――瞬き一つの間に肉薄された。

 そんな考えが兵士たちの頭によぎるよりも速く、

「まずは武器が邪魔だ」

 鋭く伸びた爪で、兵士たちが持っていた鉄槍を切断した。
 更に、そこから、

「ふん!」

 トーラスの膂力によって、兵士は振りまわされた。

「――ッ!!」

 まるで鞭でも振るうかのような、そんな動作で。
 甲冑を着込んだ兵士がぶん回される。

 それは、ほんの数秒間のことだ。

 だが、ほんの数秒で、鞭にされた兵士と、その鞭に打撃された兵士は倒れ伏すことになった。

「ぐ……お……」

 各部から出血しながら地面を転がる兵士たちを見て、トーラスは更に笑みを深くする。

「ははは、吸血鬼の力にヒトの身で叶うと思ったか! 種族的なパワーが違うのだよ。ああ、楽しい……!!」

 恍惚の表情で、トーラスは手についた血を舐める。
 そしてほんの少し目を見開いた。

「おお、これは……人間にしては魔力が芳醇だ。うむ、そうだな。貴様たちを記念すべき第一号だ。ワタシの糧になった存在として、その首、落とさせて貰おう」

 そう言ってトーラスは片手を振り上げた。
 その手から伸びる爪は、非常に禍々しく、鋭い物になっていく。

 鉄槍ですら両断されたのだ。
 首くらいは簡単に落ちる。

 逃げねば、と思いながらも、兵士たちの体は動かなかった。

「ぬ……ぐ……」

 悔しいと思った。
 目の前にいる吸血鬼に殺される事よりも、街を守るという使命を果たせないことが、兵士たちにとっては何よりも辛かった。

 だが、そんな思いをあざ笑うかのように、

「ははは、呻くな。今、楽にしてやろう」

 トーラスはニヤニヤとした笑みのまま、その手を振りおろしてこようとした。
 ――その時だ。

「おい。随分と楽しそうだけど、その辺にしておけ、ヴァンパイアロード」

 ローブを着た男が、ヴァンパイアロードの腕を斬り飛ばしたのは。

●平行連載作品のご紹介
新作です。こちらの連載も応援して頂けると助かります!
元竜騎士が相棒の竜と共に、楽しく運び屋をしていく話です。
 最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます
http://ncode.syosetu.com/n4045ed/

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