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ドッペル転生~鑑定&コピー能力で目立たず着々と最強に~ 作者:あまうい白一

二章 出会う者と出くわす者

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第七話 脱出成功からの侵入開始



「あ、親分さん! あそこが私が入ってきた出入口ですよ!」

 しばらく歩いた後、ミィルが前方を指さして声を上げた。
 そこには、魔石の明かりとは異なる光が照らしている林があった。

 ……意外と早く着いたな。

 モンスターの襲撃も少なかったし、楽に進めて助かった、そう思う間に、ミィルは歩きを速めていた。

 ダンジョンから出れるという事が嬉しいからだろうか。ただまあ、気持ちは分からないでもない。
 俺も彼女に合わせて足早に光の刺す方向へ向かって歩いていき、そして、

「さ、親分さん。レオさん。着きましたよ! ここがダンジョンの外です!」 

 俺達は青空の下に出た。

 周囲には緑が生い茂る木々があり、洞窟とは明らかに違う色合いがそこにある。
 それに久々の外の空気は美味しいものだ、と感じながら空を眺めていると、

「うおおお、何か空が眩しいぞ、親分!」

 俺のまねをして空を見ていたレオが目をゴシゴシと擦っていた・

「ああ、そうか。レオには知識として教えていたけど、太陽を見るのは初めてだもんな。あんまり直視するなよー」
「わん! 分かったぜ親分。でも、なんか、目がちかちかするー」

 レオもテンションが高い。
 ダンジョンの外を見れて楽しいのかもしれない。

 実の所、俺も少し興奮しているし。
 なにせ、視線の先には見覚えのある外壁と街が見えるのだから。

 ……懐かしの迷宮都市に戻ってきたと思うと感慨深いな。

 ただ、同時に、気になったこともある。それは、

「随分と街から離れた場所にダンジョンの出入り口を作ったんだな。迷宮都市って言えば、都市の中に出入り口があることで有名だと思ったんだが」

 自分たちがいる場所は森林の中だ。
 街にいくつもの出入り口を持っていたからこそ、迷宮都市はその名前を持っていた。だからこんな街の外にある出入り口はとても珍しい、と思っていると、ミィルは驚いた顔でこちらを見て来た。

「よく街の事をご存知ですね。流石は剣王のお知り合いです。それに、迷宮都市だなんて古い名前を知っているだなんて、ええ、ビックリです」

 古いとか言われたよ。
 まあ確かに、俺の知識は一年前のものだから古いけどさ。

「あ、話をずらしてすみません。話を戻しますと、このダンジョンの入り口は最近になって作られたばかりなんです。ただ作ったはいいのですが、少し出てくるモンスターの強度がおかしいということで、私が調査に入ったのです」
「随分と行き当たりばったりな作り方をしているな」
「ああ、はい。そこは私が所属するダンジョン運営組合の痛い所でして。今回は報告する事が沢山ありそうです……」
「ほー、ミィルはギルドの役人だったんだな」

 迷宮都市のダンジョンには運営ギルドがいて、維持・管理・開発など様々な業務を担っている。今回のは調査用の装備だったということだろう。だとしたら、あの軽装も頷けなくもない。

「ええ、そうなんです。一応、役職にもついている程度にはダンジョン探索になれているつもりだったのですが、今回は死ぬかと思いました。……危険性はしっかり報告しないといけませんね……」

 そう言ってミィルは深い吐息をしながら、今さっき出てきた洞窟を見やった。
 役職を得ているという事は、それなりに長くギルドに努めているんだろうか。
 一年前、俺がいた時はこんな子に見覚えは無いので、どこかからの転任なのかなあ、と思っていると、彼女はこちらに視線を向けてきた。そして、

「親分さん、今回は本当に助かりました。ありがとうございます」
「ん? ああ、良いって。俺もダンジョンから出て、街に行きたかっただけだし。自分の為にやった事だから気にしなくていい」
「いえ……それでも感謝です。お陰さまで命が助かったのですから。あ、それで、親分さんの事も報告させて貰ってもいいですか? 良識があり、人間に友好的なモンスター――というか親分さんが、私を助けて頂いたことは明記させて貰いたいのですが」

 ミィルの言葉に、俺はどうしようかと一瞬迷った。
 人間に友好的なモンスターがいるということは、一般的に知られている。
 迷宮都市だと、友好的だと判断されたモンスターは街に入れるということも分かっている。だからギルドの方に敵対の意思が無いのを知ってもらえるのはかなりのメリットなのだが、

 ……俺の正体を知られると面倒ではある。

 少なくとも顔は見せないようにやっていこうかなあ、と思案していると、

「あ、あの、親分さん? そんな難しい顔をして、報告するのはダメ、でしたかね」

 ミィルが心配そうな顔でこちらを見上げていた。

「あー、いや、ダメって訳じゃない。是非報告してもらえると助かるんだが……敵意を持っていないだけで友好的とは限らないモンスターって思われると厄介だから。その辺は注意して報告してくれると助かる。ギルドの連中、敵に回したくないし」

 そんな事を言ったら、ミィルの目が感心するようなものになった。

「あっ、は、はい! そうですね。そこは気を付けます。……な、なんだか、色々な事を教えてもらって、親分さんが、先生みたいに見えてきました」
「親分は、オレの親分だからな! 色々な事を教えてくれるんだぞ!」
「二人して何言っているんだか。まあ、なんにせよ、敵対したくないのは確かだから、適当に報告してくれ」
「了解です。……それで、親分さんはこの後、街に入られるんですよね?」
「ああ、それが目的だしな」

 俺が頷くと、ミィルは手持ちの鞄をごそごそと漁った。そして一枚の布をずるりと取り出してきた。

「でしたら、これを使ってください。魔力がこもったフード付きローブです。これなら霊体でも纏えると思うので、半透明の姿もカバー出来ると思います」
「おー、有り難いな」

 着用してみると、確かにすっぽりと体が隠れてくれた。
 そこらへんの人間に化けて入ろうかと思ったけれども、これがあれば体を覆い隠せるし。かなり楽に入ることが出来る。ただ、

「俺、一応モンスターだけど、ここまで協力していいのか? さっきの台詞じゃないけれど、友好的じゃないモンスターかもしれないのに」
「本当に友好的じゃない人は、そんなこと言いませんよ。……外に出る、と言う目的を終えても私を殺していない時点で、人間そのものに敵意は無いんだなあ、と思っていますし」

 無事に外に出れたこともあって、かなり信用度が上がっているようだ。
 それはそれでこちらの人柄を信用してもらって嬉しいことではあるが、

 ……モンスターであることは変わりないんだから、もっと警戒するのが普通だろうに、いいんだろうか……。

 有り難いような、迷宮都市の警備は大丈夫なんだろうかと心配になるような、奇妙な気持ちになっていると、

「あ、それでも、念のため、報告するまで組合の方まで来て頂きたいとは思っています。申し訳ないですが、少しだけお時間頂いても大丈夫でしょうか?」
「ああ、うん。それくらいの警戒をしてもらうのは全然オッケーだ。それにアンタがいてくれれば、関所も通り易いだろうしな。あそこ、モンスターに対して鼻の利く兵士さんいるし」

 そして誰もが、かなり強かった。街に紛れこもうとした高位レイスなどのモンスターをボコボコにしていたのはいい思い出だ。
 だから面倒を避けるためにもミィルがいてくれると助かる、と思っていたのだが、

「関所の兵士さん……ですか? 昔はいらっしゃったようですが、今は、ギルドの方に委託されているので、そこまで厳重ではないですよ?」
「あ、そうなのか?」

 一年間で随分と変わったものだ。
 魔王がいなくなったことで何らかの緩くなったのかもな。
 こちらとしては、そっちの方が有り難いのだけれども。

「うん、だとしたらレオは、このままで大丈夫かな」

 見た目は大きな犬か狼だ。
 これくらいなら街中で飼っている奴もいるだろうし。
 モンスターテイマ―職の連中は、狼や犬型モンスターを普通に引き連れていた記憶もあるし。うん、大丈夫だろう。ダメなら変身してもらえばいいだけだし。

「わん? なんだかよく分からないが、オレは親分に付いていく為なら、何でもやるから何でも言ってくれよ―」」
「おう、ありがとうよ、レオ。……それじゃ、行くか。ミィル。関所までも案内頼むわ」
「はい。お任せください!」

 久々の帰郷で、帰宅だ。
 一年間放置していた自宅と畑が心配で、もしかしたら勇者の家ということで使えるような状況じゃなくなっているかもしれないけれど、それでも、帰れる事を嬉しく思いながら俺は歩いていく。
●平行連載作品のご紹介
新作です。こちらの連載も応援して頂けると助かります!
元竜騎士が相棒の竜と共に、楽しく運び屋をしていく話です。
 最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます
http://ncode.syosetu.com/n4045ed/

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