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ドッペル転生~鑑定&コピー能力で目立たず着々と最強に~ 作者:あまうい白一

二章 出会う者と出くわす者

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第六話 昔の技も役に立つ


 ダンジョンの出入り口に向かう中、俺はミィルと喋って、外界の情報を集めることにした。
 というのも、彼女の装備がダンジョンを潜るにしてはやけに軽装過ぎたからだ。

 ……迷宮都市はあんな状態で人を潜らせるような都市では無かった筈だ。

 街中の出入り口を使ったのだとしたら、少なくとも関所の兵士さんには止められるだろう。
 そんな思いとともに俺は彼女に軽い世間話を振ってみる。

「そういやミィル。アンタ、どこから来たんだ? 随分と軽装だったが」
「め、迷宮都市のリゾート街出身ですので。そのスタート地点を使っています」」

 少女戦士はどもりながら答えて来た。
 迷宮都市にリゾート街があるなんて知らないのだが。

 俺の故郷がいつリゾート化したんだろう。俺が勇者として旅立ってから変わったんだろうか。なんて考えていると

「グルル……」

 モンスターが来た。

 と言っても、いつものグレムリンウルフとウインドラビットだ。
 だから普通に処理しようとミィルの前に出たのだが、

「ま、またグレムリンウルフ……しかも今度はウインドラビットとセットですか……! こ、こんなに強力なモンスターが低階層に出てくるなんて……!」

 なぜか彼女は戦いていた。ウサギとウルフが強力なモンスターだなんて、この子は今まで、どんなダンジョンを潜ってきたんだろう。

 俺が迷宮都市にいたころは、そこらへんの冒険者が鼻歌交じりに狩りまくっていた存在だというのに……などと思っていたら、

「グルゥアッ!」

 グレムリンウルフが一直線に突っ込んできた。
 相変わらずの狂暴性でこちらの首元を狙ってくるが、それこそ、キマイラの呪言を使うほどの敵でもない。

「よいしょっと……!」

 俺は手にしていた剣を引き抜いて、グレムリンウルフの牙にぶち当てた。

「グッ!?」

 こちらへの噛みつきを防がれたグレムリンウルフは驚きで目を見開いた。
 その隙に、鞘から引き抜かれた金属の刃は牙にめり込む。

 牙は程々に堅いが、切れないほどでもない。だから俺はそのまま、牙ごと狼の体を一刀両断した。

 さらに続けて、俺はウサギに剣を走らせる。
 グレムリンウルフの影に隠れて俺を狙っていたウサギは、そのまま刃に腹を捌かれる。

 ……久々に剣を使ったけれど、体が動くもんだなあ。

 勇者時代の剣技は、とりあえずは使えるようだ。ただ、

「あー、でも、やっぱり実体化が面倒くさいわ」

 剣を振るうには上半身を実体化し続ける必要があり、そのためには力む必要がある。
 その状態で剣を振るうというのは、なかなか面倒くさい。

 モンスターでのスキルを使った狩りを覚えてしまうと、そっちの方が何倍も楽だ。

 俺は人間時代に特段凄い魔法を使えた訳じゃなく、剣術や戦技方面に技量を伸ばして行ったから、剣を握れば多少は色々な事が出来る。
 だけれども、

 ……すぐに使えるモンスターのスキルの方が今は便利だよなあ

 なんて思いながら剣を振って血を払い、綺麗に拭っていたら、不意にミィルの視線に気付いた。

 彼女はぽかんと口を開けたまま、剣を握る俺の手を見ていた。
 そこで俺は気付いた。

「あ、すまん。これ、アンタの剣だったよな。何も言わずに使っちまった」
「い、いえ、それは別に構わないんです。普通の剣ですし、構わないんですが……えっと、その剣技、どこで身に付けられたんでしょうか? グレムリンウルフの鉄よりも堅い牙を容易く切り捨てるだなんて、とても華麗で、洗練されているというか……。それに非常に見覚えある動きなのですが……」

 ミィルはそんな事を言ってきた。 

「えっと……俺の剣技は、テイルウッド流っていうんだけど、知っているのか? テイルウッドっていう冴えないおっさんが個人レッスンで教えてる奴。迷宮都市ではマイナーな奴だと思うんだけど」

 もしも知っているのだとしたら余程の剣術通だな、なんて続けようとしたら

「テイルウッドというと、剣王テイルウッド……ですか?! 確かに彼の道場はありますが、入門希望者が多すぎて、今は新人を受け入れていないとの話ですが、どうしてレイスの貴方が覚えているのでしょうか……」

 ミィルはそんな事を言い出した。

「道場? 入門?」

 ちょっと話がかみ合わないな。
 アイツが道場を開いていたなんて初耳だし、そもそも、

「俺はアイツから直々に教わったんだけど」
「じ、直々にですか!? いや……確かにそれなら、あの強さには頷けますけれど……モンスターの貴方が、一体どうやって……!?」
「あー……まあ、色々と関わり合いがあってな」
「なるほど。そうですね。剣王ほどの人であれば、高位のモンスターと渡り合っていてもおかしくはないです……か」

 また剣王という言葉が出てきた。
 俺が教えてもらった時はただの一冒険者だったのに、いつの間にそんなに偉くなったんだ。というか冒険者辞めて剣の王になるとか、何をやったんだ、アイツ。

 一年そこらでそんなにも変わるんだろうか。まあ、困窮していないならいいことだ。一時は俺が作った野菜が無いと餓死するレベルで飢えていたしな。

 ……ああ、そういう話をしていたら、少し会いたくなってきたな。

 とりあえず街に出たら、昔馴染みに挨拶してみようか。
 街中にモンスターが入らないように関所があるだろうから、ドッペルゲンガーの特徴である薄れた体は隠さないといけないけれども、ミィルの姿が手に入ったので彼女に化ければ街も歩ける。

 魔力がこもった服であれば霊体状態でも着れるので、それがあればドッペルゲンガー状態でも歩くことも出来るし、やりようはいくらでもある。

 ……よし、とりあえず、ダンジョンから出たら街を見回ってみようか。その足で、俺の家に行くか。

 そうして方針を固めた俺は、ミィルと共に、どんどんと上層に昇っていく。

 久々の地上を懐かしく、そして楽しみに思いながら。
●平行連載作品のご紹介
新作です。こちらの連載も応援して頂けると助かります!
元竜騎士が相棒の竜と共に、楽しく運び屋をしていく話です。
 最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます
http://ncode.syosetu.com/n4045ed/

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