奴隷
俺はやはり奴隷として売られるようだ。
あのあとランガに連れられた俺は奴隷商と思われる男に売られた。
「お前はここで生活する。これよりましな生活がしたけりゃ品定めの際に精々アピールしな。」
奴隷商は俺にそう吐き捨て鍵をかけて出ていった。
(ふ~。また31歳にして偉い経験だな。奴隷とかあるんだなこの世界。)
ため息1つだけつき現状の把握に勤める。
相変わらずこんな肉体年齢7歳はいないだろう。
部屋の中を見渡すと同じ歳くらいの子供が二人居た。
男の子と女の子だ。
(差し当たりここにどのくらい居るか解らんがご近所付き合いしときますか。)
「どうも。新しく買われたクレスといいます。よろしく。」
その言葉に男の子が反応する。
「あぁ?よろしくだと?楽観的だな。お前もそこの女も直ぐに売られて一生奴隷として扱われるだけだ。売られた先で今の認識が甘いって思い知ることになるぜ。」
女の子も頷き言葉を発する。
「女の子かと思った…」
沈黙が流れる。
「…………おい。今そんな話関係ねぇだろ?あと、ワンテンポおせーよ。まぁこの檻に入ったってことはダブル以上なんだろ?精々良いところに永久就職出来たらいいな。」
「そうですね。6000万バルを直ぐ稼げる所に就職したいですね。」
その言葉に二人はなにいってんの?こいつ?って顔をむける。
「ん?なにか変なこと言いましたか?」
「あのな6000万バルなんてそんな簡単に稼げるわけないだろ?しかも奴隷だから配金は主人が大半持ってくよ。お前なにも知らねんだな…はぁ毒気抜かれた。」
「そうですね。あまり詳しくないので教えて貰えますか?」
「あぁ。」
説明によると奴隷とは犯罪で奴隷落ちした人や俺みたいに借金で奴隷落ちした人達がいるらしい。
売られる種類として労働、愛玩に大きくわかれる。
売られるまでは保護法があるらしく虐待等は無いが売られた先では何されようがもの扱いのため人権はない。
俺達は珍しい魔法属性ダブル以上の為、貴族に自分の軍隊強化で買われる可能性が高いとの事だ。
因みに男の子はドニ10歳火、水のダブル。女の子はフェイ8歳水、光のダブルとの事だ。 あえて言おう。光羨ましい。
二人とも借金の形にあっさり売られてしまったらしい。
なんとも世知辛い…
奴隷の解放条件は借金の完済。多大な国への貢献による恩賞。雇い主の恩赦等いろいろあるがそう簡単なものではない。
(そう簡単に6000万は稼げると思ってなかったが社畜じゃなくブラックになる可能性が高いとはヤバイな…買われた先がどうかってとこか)
「お前は愛玩でもいけそうだけどな」ドニは軽口を叩き
フェイは隣でコクコクコクコクとものっ凄く頷いていた。
嬉しくないです。はい。
「まぁ次のオークションが一月後だ。短い間だが宜しくな。」
「宜しく…」
「えぇ宜しくお願いします。色々と助かりました。」
「お前が年下ってのが未だに信じらんねぇ」
コクコクコクコク
(まぁ31歳ですから君よりは年上なのですよドニ少年。)
あっという間に1ヶ月が過ぎオークションの日がやって来た。
この1ヶ月は瞑想を集中的に行いドニ、フェイと意見交換を行い意外と悪くない時間だったが今現在は心臓バクバクである。
売られた先がブラックなら死亡決定なのである。
それはドキドキするだろう。
まずは最年長のドニからだ。
ドニは舞台裏から出る前に俺とフェイのもとに来る。
「この1ヶ月意外と悪くなかった。妹と弟が出来たみたいだった。また会うときがあったらいいな。」
俺とフェイの頭をぐしゃぐしゃ撫でてまたなっと舞台裏から出ていった。
舞台裏には音が聞こえてこず奴隷商のフェイを呼ぶ声でドニのオークションは終わったのだと察した。
フェイもこちらをみてニコッと笑った後、ドニと同じように髪を撫で舞台裏から出ていった。相変わらずあんま喋んない子だ。
最後に俺が呼ばれる。
俺は破裂しそうな心臓を抑え舞台裏から出ていくのであった。