進め! ウォーターメロガンダー!
この宇宙には、数えきれない不思議生物が存在する。肉体を自在に操る巨獣は地球に住み着き。人間を襲い、宇宙から襲来する星獣。その中でも地球防衛軍が注視するのは、禍々しい姿をした星獣だ。
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喧しい警報の音が日本政府に木霊した。
「局長! 星獣が新宿に現れました!」
「ウォーターメロガンダーを出せ。私が乗る」
「なりませんっ。ウォーターメロガンダーはまだ試作機の段階です!」
オペレーターを務める女性の声が響いた。それを黙って聞いていた一人の青年が現れる。
黒髪をウルフカットに切った青年だ。耳にはリング型のピアスを嵌め、パワーバーを咥えている。
青年に気付いた局長の男性は、目元を細めた。どうやら青年の着ている制服が問題だったらしい。
「ここは訓練生が来てもいいところではないだろう?」
刃物のように鋭い声が青年――ヤイバに落とされる。それを口端を吊り上げてヤイバは笑った。
「すんませんね、父さん。まず、そのウォーターメロガンダーに乗るのは俺じゃない? だって俺は……」
「その為に生み出された『人間』だからな。そうやって遺伝子を組み込まれて生み出されたからなぁ、俺」
ヤイバは不敵に笑って、ベルトについたチェーンを指で弄った。
「じゃあ、新宿に向かいますか」
返答を待たずに、ヤイバは期待に満ち溢れた背中を局長――父親に見せて、颯爽とオペレーター室から出た。とても頼もしい背中だ。その背中を黙って見詰めていた局長は、静かに呟いた。
「ウォーターメロガンダーに飲まれるなよ、馬鹿息子」
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スイカを象ったロボットアニメムービー。近日公開。