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それまでの日常

【錆びた町】の〈僕〉目線ですが、キャラのバランス上、〈俺〉に変えました。

わかりにくくてすみません。詩は〈僕〉のままにしておきます。

 



「コウヤ、ちょっと来てよー!」

 自分の名前を呼ばれて、俺は振り返った。

「僕の育ててたトマトが、どこかに行っちゃったんだ。知らない?」

「……トマトはひとりでは動かないぞ。植物だからな」

 目に涙を浮かべ、俺の親友――バンは首をかしげる。

「じゃあ、どこ?」

 もう俺たちは十六になるというのに、どうしてこいつは乙女な仕草が似合ってしまうのだろうか……。

「知らねぇよ。どこかの食いしん坊が食っちまったんじゃねぇのか」

「じゃあ、どこかの食いしん坊さんの居場所を教えてよ」

 さっきまでの不安げな泣き顔はどこへやら。

 バンはにっこり微笑んだ。

「……お前、知ってんだろ」

「ふふふー」




「バンにぃ、いつもトマトありがとね」

 ベットに横たわる妹のミゾレは、いつもより頬が赤く、元気そうだった。

「いいえー。どういたしまして」

「ミゾレがトマト食べたい、って言ったらお兄ちゃんが、『バンに貰ってきてやる』って言うの。ミゾレが、バンにぃのトマト好きなの、お兄ちゃんはしっかりわかってるんだよ!」

 チッと、心の中で舌打ちをする。ミゾレは、無意識のうちに人の心をピンポイントで突くことが得意だ。まあ、本人は知らないことだろうけど。

「へぇー。『貰ってきてやる』かぁー」

 バンはちらりとこちらを見る。

「ちょっとお兄さんとお話ししてくるね」

 そして、強引に部屋の外へ連れ出された。


「お兄ちゃん。まずは言いたいことをすべて言いましょう」

 バンの優しそうな言葉は、生徒を叱る直前の学校の先生を思い出させた。

「妹のためとはいえ、勝手にトマトを盗んですみませんでした」

「それだけ?」

「……妹に嘘をついてすみませんでした」

「まだあるでしょ」

「知らないふりしてすみませんでした」

そこまで聞くと、バンは俺の脳天にチョップを一撃。

「いってぇ!」

「ミゾレちゃんに、体の冷えるもの食べさせたらダメでしょう!? ちゃんと考えてあげないと。いうこと聞いて甘やかすだけが教育じゃないんでからね?」

プンスカプンスカ、と音の出そうな勢いな説教だ。

「……はい」

俺が素直にうなずいたのを見ると、バンは親指を立てた。

「よろしい。グッジョブだ」


その時。

突然外の方で、鼓膜が破れそうなほどの音が聞こえた。

「な、何だ!?」

「大変よ!」

窓から、隣に住むおばさんが顔を出していた。

「一体、何があったんですか?」

「来たのよ!ついに……」






前から言われていた。

たくさんの町を破界し、人々の叫びにも微動だにしないという―――――


破壊する者――【ブレイカー】がこの町にもやってくる、と。






……バンのキャラが詩を作ってるときに描いてたキャラと全然違います!最初はもっとこう……「よっ!」みたいなチャラい(?)感じだったんですけど。さっき乙女系男子の出てくる小説読んだばっかりだからですかね?


もう少しキャラが増えて、ストーリーも進んだら、キャラクター一覧を作ろうかなーと思っています。

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