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異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手しちゃうから!  作者: 明衣令央
第二章:のんびりまったりスローライフ?

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第67話・お使いクエストに行こう


「結局、モネとジャンが行く事になったんだね」




 そう言ったユリウスに、「はいっ!」とモネちゃんは嬉しそうに頷いた。


 モネちゃんの隣で、同じようにジャンくんも頷いている。




「本当は、俺が行くつもりだったんですがねぇ」




 眉間にしわを寄せて、ため息まじりに言ったのは、モネちゃんのお父さんマイコル・ハロンさんだ。


 マルコルさんはハロン商店の店主として、村の人たちが望む商品を自ら仕入れに行くつもりだったのだが、若い娘とその恋人が、その役をやりたいと言って聞かなかったのだ。




「まぁまぁ、マルコルさんが行くと、顔バレしますからねぇ、モネちゃんの方が良いのかもしれませんよ」




 のんびりと言ったのは、アルバトスさんだ。




「顔バレって?」




「シルヴィーク村の、ハロン商会のマルコルだ! 今、シルヴィーク村には、結界のようなものがあって、村の中に入れないようになっているのに、マルコルはどうやって出入りをしているんだ? 捕まえて、中に入る方法を聞き出せ! みたいな事になる可能性もあるのではないかという事です」




 少し芝居がかったアルバトスさんの説明に、私はなるほどと頷いた。


 確かにその可能性はあるし、それにジュニアスが近くの村や町を、兵士たちに見張らせている可能性もあるだろう。




「その点モネさんなら、マルコルさんほど顔バレしていないのではないでしょうか?」




「まぁ、そうですね」




 マルコルさんは頷いたが、でも、とモネちゃんとジャンくんを、少しきつい目つきで見た。




「でもお前ら、久しぶりの外だからって、羽目を外すんじゃねぇぞ! ちゃんと仕入れなきゃいけない物を、仕入れて帰って来いよ!」




「は~いっ」




「任せてよ、おじさん」




 良い子の返事をする、モネちゃんとジャンくん。


 だけどマルコルさんは、まだ怪しんでいるようだ。


 まぁ二人とも、ものすごーくお酒好きだからねぇ。


 今回も、お酒を仕入れる気、満々だし。




「だいじょーぶだよ、マルコルさん! ユリウスくんとオリエちゃんが一緒なんだよ! それにぼくだって一緒なんだ! モネちゃんとジャンくんを見張っててあげるよ!」




 ちっちゃな手でちっちゃな胸を叩き、ドヤ顔で言ったのは、サーチートだ。




「そ、そうか、でもなー」




 だけど、マルコルさんの表情は渋いまま。


 その理由は――モネちゃんたちとサーチートが、酒飲み友達だから、だ。


 つまり、マルコルさんが娘と恋人を信用していない=サーチートも信用がないという事だ。




「ユリウス様、オリエちゃん、こいつら、頼みましたよ! めちゃくちゃ浮かれてて、心配でしかねえ!」




 深い息をついて、マルコルさんが言う。


 サーチートが信用されていないと知ってショックを受けたのを眺めながら、私は、ユリウスと共に頷いた。


 でもね、マルコルさん。私もユリウスもお酒を飲まないけど、すごく浮かれているのは、モネちゃんたちと同じかもしれない。








 しばらくシルヴィーク村を離れるために、私は、大魔結晶の充電をいっぱいにした。


 大魔結晶をあと何個か作った方がいいかなと思ったんだけど、




「オリエさん、あなた、何日出掛けるおつもりですか?」




 と、アルバトスさんに笑われてしまった。




「でも、なんか心配で」




「何も心配はないと思いますけどねぇ。オリエさんが心配されているのは、村の事ですか?」




「はい。お出かけは嬉しいんですけど、村から離れている間に何かあったらと思うと、心配で……」




 私がそう言うと、アルバトスさんは笑った。




「大丈夫ですよ、オリエさん。何かあったらすぐに連絡をしますし、あなたが居れば、すぐに戻って来られるでしょう?」




「それは、そうですけど……」




 すぐに連絡、というのは、テレパシーの呪文の事だ。


 今や立派なアルバトスさんの弟子であるサーチートは、アルバトスさんとテレパシーの呪文で、いつでも話す事ができるようになっているのだ。


 あと、すぐに戻れるというのは、瞬間移動呪文のテレポートの事だ。


 以前、オブルリヒトの王宮から、ホームの呪文でシルヴィーク村へと瞬間移動したけれど、そのホームの呪文の上位呪文で、一度行った場所ならどこにでも移動できるという、優れものだ。




「だから、心配する事などありませんよ。安心して、お買い物を楽しんで来てください」




「はい、ありがとうございます」




 今回の外出は、仕入れをするモネちゃんたちのボディーガードとしていくんだけど、私自身もいろいろと見て回って買い物をするつもりだ。


 お買い物資金も、ユリウスが狩った獣から取った素材や、私がコツコツと作り貯めたポーションがたっぷりあるので、売れば結構なお金になると思うんだよねぇ。


 お金といえば、元の世界で私が老後のためにコツコツと貯めていたお金は、どうなったんだろう。


 老後のために頑張って貯めていたんだけどなぁ~。




「オリエさん、何を買うかは、決めているんですか?」




「はい。とりあえす調味料類と、それから……私も、武器が欲しいかなって思ってます」




「ほう……」




 私の返事を聞いたアルバトスさんは、意外だったようだ。


 今私はユリウスの狩りに付き合って、一緒に結界の外の森に出かけたりしているんだけど、何の装備もしていないんだよね。


 現れる獣や魔物はユリウスが倒してくれるし、いざとなれば私も魔法で倒す事ができるんだけど、やっぱりこの異世界では、冒険者っぽく冒険してみたいし、装備を整えたいんだよね。




「あとは……」




「ユリウスの装備、ですね」




「はい」




 私よりも、ユリウスの装備を揃えてあげたい。


 今のところ、シルヴィーク村近くの森の中で出現する獣や魔物は、蹴ったり殴ったりで倒せる彼だけど、やっぱりちゃんとした装備を整えてあげたいんだよね。


 元の姿に戻ったユリウスは、パワーアップし過ぎていて、普通の武器が合わないのだそうだ。


 剣とか槍でも、短剣みたいに投げちゃうし、普通に剣とか槍とかを使うと、力が強すぎて、すぐに武器が壊れちゃうんだよね。


 だから今は、強化魔法で体を強化して、殴ったり蹴ったりと、自分が武器そのものになって戦っているんだけど、この村になくとも、他の村や町には、もっといい武器があるかもしれないから……。




「良いものが見つかればいいですね」




 そう言ったアルバトスさんに、はい、と私は頷いた。




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