第四章 幕間『冷たい声』
目が覚めると、そこには自分と同じくらいの見知った黒髪の少年がいた。思わず触れようとして右手を伸ばしてみた。でも、何故か動かしていないはずの左手も一緒に伸びた。
両手にに金属のようなものがつけられていて、うまく動かせず、何より重たい。
思えばこの部屋は真っ暗でその少年の顔も確認することができなく、なんとかそこに一人の少年がいることが分かる程度だ。
「ーーぁ」
声を出そうとしてみたが、うまく声が出せず、思わず掠れた蚊が鳴いたような大きさの声が漏れた。
「スイ、プーー」
赤髪の少年が、目の前にいる少年の名前を呼ぶ。
「起きたのね」
ひとぐ冷たく、冷酷な女の声が真っ暗な視界を通り越して世界を凌駕した。
「お前は、誰だ」
赤い瞳で暗闇を睨んで、その冷たい声に名前を尋ねる。
しかし返ってきたのは名前でも有益な情報なんでもなく、長い長い沈黙だけだった。
やがて少しして、また冷たい声が世界を凌駕する。
「私の名前はーー」
「ーーーー」
赤髪の少年はぐっと息を飲んでその答えを待ち望んだ。その一秒一秒がとてつもないほど長く、とても険しいものだった。
「Aよ」
「A……」
その冷たい声の出した答えに、イストス•ロンはただ唖然とするしかなかった。




