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フィッツ•イン•プロミス 〜約束の旅〜  作者: えれべ
第四章『地下都市奪還作戦』

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第四章47話『四人の戦士』

 もしかしたら、まずいことに足を踏み入れてしまったのかも知れない。そう思った。


「この都市を奪うことだ」


 グレイは悪い人なのか。分からなくなってきた。奪うってなんだ。


 グレイの衝撃の発言によって、レックスの頭の中に無数の疑問が生まれる。


 そう思っていた矢先、その様子を見て察したアンが、グレイにちゃんと説明するように言う。


「グレイさん。その言い方じゃ、レックスがすごく混乱しちゃうわ。ちゃんと一から教えてあげて。ーー念のため、レックス。私たちは悪者じゃないからね」


「わりぃ、わりぃ。ちょっとばかり、驚かせてみたかったもんで」


「グ〜レ〜イ〜さ〜ん……ッ!」


 アンのグレイを見るーー否、睨みつける黒い瞳の目つきがより一層悪くなる。


 グレイもアンのそれに恐怖を抱いたのか、きちんとレックスに話す気になったようだ。


「えーっとだな、まず一から話すぜ。まずここ、ワイレスのリーダーは魔王軍の幹部、プロテス•スローンという男なんだ」


「なっ、ほんとか? ーーいや、そういえばあの時、門番は俺のことを狙ってた……」


 レックスはワイレスに入った時に、門番に襲われたことがあった。

 今の魔王軍は、なぜかレックスのことを執拗に狙ってくる。それも特別幹部が直々に動くほどに。


 その理由は依然として未解明だが、門番がレックスのことを捕らえると言った時点で、この都市と魔王軍との関係性は明白だ。


 そんなことがあり、レックスには思い当たる節があったのだ。


「そんで、どうやってそのスローンってやつを倒すんだ?」


「それを話す前にまずこの都市の構造を知ってもらわねえとだな」


「確かに、俺なんも知らねぇ」


「ついて来い。ガツンと説明してやるよ」


 そう言って、グレイはレックスについて来るように言って、この部屋から出た。


 長い木造の廊下を歩き、やがて一つの扉にたどり着いた。

 その扉を開いて中に入ると、そこはさっきまでの温かいような雰囲気の部屋ではなく、いかにも戦うための会議を取り行ってるかのような部屋だった。


 レックスたちは真ん中にある鉄製のテーブルを囲み、椅子に座った。

 するとグレイが何やら大きな紙を取り出してきて、広げるとそれは何かの地図だった。


「これが地下都市ワイレスの地図よ」


 アンの説明もあり、レックスはこれがワイレスの地図であることを理解した。


 地図を見る限り、ワイレスは十字架の形の都市で、その真ん中に大きな正方形の区があり、その周りを北と西と東と南の長方形の区が囲んだ形になっている。

 なお、周りの四つの区はそれぞれの間にある通路で繋がって行き来できるようになっていた。


「真ん中の丸いやつが政治を取り締まるための専用区ーーすなわち、スローンたちがいる中央区だ。っで、俺たちが今いるのが、その南側の南区ってとこだ」


「そんで、俺たちはそこを攻め落とすのか」


「そういうことだ」


 グレイは地図上を南区から中央区を指でなぞってレックスに説明した。


「だが、いきなり中央区に攻め入るってのは得策じゃねぇ」


「え、そうなのか?」


「言っただろ? 中央区にいるのはスローンだけじゃねえって。中央区には、スローンとその右腕と呼ばれている一人の幹部、それに加えて五百人の兵士がいるんだ」


「ご、五百!? どうするんだ?」


「そこでだ。中央区以外の四つの区には、それぞれ区庁舎ってのがあるんだ。そして、そこにそれぞれの区長がいる。そいつらも魔王軍の奴らだがな」


 グレイは、南区の地図の真ん中にある円状の建物を指差した。そこには確かに区庁舎と書かれてあった。


 「そんで、その中に牢屋があるんだ。そこには一つの区につき約百人の囚人が収監されてやがる。そいつらは、俺たちと同じ反乱を目論んだ奴らだ」


「……つまり?」


「つまり、そいつらを味方につけて、中央区に攻め入る。ってのが俺たちの作戦ってわけよ」


「なるほど。ーーいいな、それ!」


 グレイは「だろ?」と自慢げに言って、得意げに笑った。ーー否、グレイだけではない。

 アンもネオもリサもみんな、レックスに対して得意げに笑っていた。


「ーーそんで、まず初めに俺たちは、ここ南区を制圧するつもりだ」


「それで、いつやるんだ?」


「作戦の決行は、明日だ。ーーあと、俺たちはこの作戦を『地下都市奪還作戦』と呼ぶことにする!」


 レックスは突然のことに驚き、どこを向いたらいいのか分からず、ついアンの方を見た。


 レックスが見たアンの顔は、凛々しく微笑んでその黒い瞳でレックスを見返した。

 無論、その瞳にどれだけの決意が秘められているのかなど見当もつかないが。それはまるで戦士のようだった。ーー否、戦士だ。


 そしてネオとリサの方向も見たが、アンと同じ戦士の顔をしていた。もうすでに決意を固めているようだ。


 ならば、レックスも中途半端なことはできまい。無論、そんなつもりは初めから微塵もないが。


 レックスは再び共に戦う戦士として、決意をより一層固めた。


「ーー分かった。絶対勝ってやろうぜ!」


「おうよ!」


「当ーったり前よ。絶対、スローンの顔をぶん殴ってやるんだから!」


「ですね!」


「ええ。必ず!」



 四人の戦士は共に決意を固め、共に戦い抜き勝利を手にすることを誓った。この『地下都市奪還作戦』を成功させるために。


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