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フィッツ•イン•プロミス 〜約束の旅〜  作者: えれべ
第四章『地下都市奪還作戦』

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第四章46話『俺たちの戦い』

 暗闇の世界。

 手も足も存在しない暗闇の世界。

 ただ意識だけがそこにあって、存在しないはずの足から、痛みが走る感覚に見舞われる。


 そんな暗闇の世界から抜け出そうと、存在しないはずの手足を使って踠く。

 

 光が見えた。必死にそこへ向かって踠いた。踠いて踠いて踠いて、それでーー、


「ーーう、あぁ」


 目を開けると、そこは知らない天井と壁とベット。それだけでも十分驚くための材料は揃っているが、それ以上に一番驚いたことがあった。

 

 それは、レックスのことを上から見知らぬ銀髪の少女が覗き込んでいたことだ。


「ーーあ! 目、覚ました!」


「えぇっ! ーーそうだ、確か俺は門番に襲われて、それでーー」


「私に、助けられたのよねぇ」


「おまーーいや、君は?」


 咄嗟に初対面の女性に対して、お前呼ばわりは良くないと、レックスなりに気を回した発言の訂正だった。

 そしてレックスはベットから体を起こし、その少女に名前を尋ねる。


「私はネイレス•アン。アンでいいわ」


「俺はジュリアス•レックス。レックスでいいぞ。それで、アンが俺のこと助けてくれたのか?」


「そうよ。感謝しなさい……ってもうしてたか」


 アンは悪戯っぽく笑って、助けたことのお礼を要求したが、先にレックスが感謝を伝えたことにより、それができないことを思い出して、残念そうに自分の額を叩いた。


「それで、ここはどこだ?」


「ここは地下都市ワイレスの南区ーーの中にある、私たちの家。すなわちーー」


 アンの発言は、レックスをものすごく驚かす発言だった。なんせ、レックスはそこを目指してここに来たのだから、驚くのも当然だろう。


「私たちのリーダー、ーーハンディル•グレイさんの家よ」


「ここが、グレイさんの、家」


 少し気持ちを落ち着かせるための間が入り、その後レックスがアンに再び話しかける。


「なぁ、俺グレイさんに会いに来たんだよ。会わせてくれねえか?」


「えーっと……」


 アンが困った様子でそう言い、そして静かにレックスの後ろを指差す。

 まさかと思い振り向くと、そこには屈強な体をしたナックラーのような男が椅子に座っていた。


「え、えぇー! いつからいたんだ!?」


「いつからいたかと言われれば、そりゃもうずっとよ」


「ずっと……気づかなかった」


 完全に気配を消していた。じゃないと、レックスは気づくことができていたのだから。

 


 こうしてレックスは目覚め早々、さっそくハンディル•グレイというナックラーの力を見せつけられることとなった。


「改めて、俺がハンディル•グレイだ。よろしくな」


「そんじゃ俺も改めて、ジュリアス•レックスだ。よろしく」


 レックスはベットから立ち上がり、そして二人は互いの手を強く握って固い握手を交わした。


「そういやよ、レックス。ジュリアスって言ったが、まさかお前、ルーカーさんの孫だったりするのか?」


「あぁ、そうだぞ。ーーそれも踏まえて、グレイさんにお願いがあるんだ」


「ーーなんだ? 聞いてやるよ」


 レックスは深呼吸を挟み、緊張に包まれながらもそのお願いを話すことにした。


「実は、ーー俺の仲間がホール魔帝国に連れ去られて、助けて欲しいんだ」


「ほ、ホール魔帝国って言った!?」


「ーー何があったか、詳しく聞かせろ」


 レックスはアンとグレイに、ロンとスイプと共にルーカーの家で半年間特訓していたこと。そして、そこに魔王軍特別幹部Rと二大幹部が襲撃してきて、ロンとスイプが連行されたことを全て話した。


 そのレックスの様子を、グレイとアンは真剣な眼差しで見つめ、そして聞いていた。


「ーーってことがあったんだ」


「なるほどな。しっかしまぁ、ルーカーさんがいても食い止められなかったってのは、どんなに強いんだか。その特別幹部と二大幹部ってのは」


「恐ろしいわね」


 そのレックスの話に、ただ二人は驚くことしかできなかった。


 そしてそれと同時に、二人から助けてあげたいという気持ちを強く感じ取れた。

 だが、二人の顔はいずれも、すぐに助けるという感じではなかった。


「なぁレックス。お前の状況は分かった。……だがよ、俺たちも今、俺たちの戦いをしてるんだ。だから助けられねぇ」


 グレイは、レックスにはレックスの戦いがあり、グレイたちにはグレイたちの戦いがあることを、今この場でレックスに示した。


「ーー詳しく聞かせてくれないか?その、グレイさんたちの戦いってのを」


「気持ちは嬉しいが……悪い。これは俺たちの戦いなんだ。だからレックスには関係ーー」


 だが、レックスには他人の戦いだのなんだの、そんな細かいことは分からない。だってーー、


「関係ないことなんてねえよ。だって、俺はもうアンも、グレイさんも知ってる。その二人が戦ってるって言うなら、俺が黙って見過ごすわけにはいかねえよ」


「ーー仮にだ。仮にレックスが協力して俺たちの戦いに勝利しても、俺たちがレックスの戦いに協力できるかは分かんねえぞ?」


「いいぞ。俺がやりたくてやろうとしてるだけだし。それに」


「ーーーー」


「グレイさんたちの問題を知ってるのにほっといてロンとスイプを助けに行っても、多分モヤモヤして集中できないしな」


 ーージュリアス•レックスとは、こういう人物なのだから。


 グレイとアンは顔を合わせ、静かに微笑み頷いた。何かを決意したようだ。

 そして二人が心の中で共に考えた、レックスに対しての言葉を、アンが伝える。


「ーー分かったわ。レックスが底知れずのお人好しってことが」


「へへ」


 そしてナックラー、ハンディル•グレイは改まったように畏まり、頭を下げてお願いをする。


「ジュリアス•レックス。ーー俺たちと、共に戦ってくれ!」


 レックスには、レックスに課せられた戦いがある。

 そんなことは分かっている。だが、分かりながらも、レックスはグレイに協力させてくれと頼んだ。


 グレイはその決意も真摯に受け取り、さっきレックスに対して俺たちの戦いだからと言ってレックスを他人扱いしたことを浴びる気持ちも込め、レックスに頭を下げてお願いをした。

 共に、戦うことを。


「おう! むしろ俺の方から頼むよ」


 二人は再び固い握手を交わした。

 それは先ほどの出会ったばかりの他人同士という関係ではなく、共に戦う戦士としてのものだった。


 そして、そんな感動的な場面に新たに居合わせる影が二つあった。


「あ! 起きたんですね!」


「元気そうで何より」


 一つは紫色の短い髪の小柄な少女。

 一つは長い金髪を風で揺らし、大人びた雰囲気の少女だ。


 突然新しく二人がやってきて混乱するレックスを察して、グレイが二人のことを紹介することにした。


「あー紹介するぜ。そこの小柄のやつがダクサ•ネオ。そんで、その右にいるのがヘクセ•リサだ」


「その小柄っていう表現、とっても引っかかるんですけど? 私これでも十六ですよ。ーーまぁ私がネオです。よろしくお願いします」


「私の紹介の言葉が、少し足らない気がするのだけれど……とりあえず、私がリサよ。よろしく」


「おう! 俺はレックスだ。よろしくな!」


「ネオ、リサ。こいつは俺たちと共に戦う戦士だ」


「ーーっ、いいんですか?」


「レックスからすれば、全く関係ない話のはずなのに」


「いいよ。だって、やりたいって言ったの、俺だし」

 

 二人は顔を合わせ、呆れたような嬉しいような、どこか曖昧な顔を互いに合わせ、頷いた。


「分かりました。それでは、私からもお願いします」


「私も同じよ」


 こうして、この場にいる全員が、レックスの参戦を理解し、そして歓迎したのだ。


 二人が落ち着いたのを見て、グレイが口を開く。


「ーーそんじゃあ、さっそく俺たちの戦いについて話していくぜ」


「おう!」


「まず、俺たちの目的は」


「ーーーー」


 おそらく一瞬、グレイは言うのを躊躇(ためら)ったのだろう。

 だが、レックスの決意を無駄にしないためにも、重い口を開いて驚愕の事実を話すことにしたのだ。


「ーーこの都市を奪うことだ」


「ーーえっ?」

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